C.ルメールと横山武史で争奪バトルも?「天賦の才」持つ良血に重賞当確ランプか
6日、東京競馬場で行われた9Rの百日草特別(1勝クラス)はキングズレイン(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)が制した。
頭数は9頭立てと少ないながら粒揃いのメンバーが集まり、人気も拮抗していたこの一戦。1000m通過のラップは、61秒7の緩い流れだった。その後も道中で大きな動きはなくスローペースの瞬発力勝負となる。抜群の手応えで直線に進入したキングズレインは残り400m過ぎで先頭に立つと、最後まで内ラチ沿いを力強く伸び、2着ロードプレイヤーに1馬身半の差をつけてゴールした。
キングズレインに騎乗したC.ルメール騎手は「終始手応えが良かった。伸びしろがあり、上のクラスでもやれると思う」とその素質を絶賛。クラシック路線に向けてまた楽しみな馬が現れた。
名手がそう称えたパフォーマンスは、時計的にも優秀だ。昨年の勝ち馬オニャンコポンは後に京成杯(G3)を勝ち、2年前の覇者エフフォーリアは言わずとしれたG1・3勝馬に飛躍するなど、出世レースとしても知られる百日草特別。現在と同条件で行われるようになった過去9年において、キングズレインのタイムは最速で、2位の2014年ルージュバックのそれを1.1秒も上回るものだった。
加えて、このレースを上がり33秒台の末脚で制した馬は過去に6頭いるが、そのすべてが後にOPクラスのレースを勝利。さらにオークス(G1)3着のアドマイヤミヤビなど、内5頭は重賞を勝っている。キングズレインがマークした上がり3Fのタイム33.7秒も、この条件を満たしており、前例に倣えば重賞勝ちにも期待できるパフォーマンスだったといえるだろう。
また、単純比較はできないものの、素質馬パラレルヴィジョンが圧勝した前日の3歳以上2勝クラスに混じっても2着に相当する好タイムだ。この時期の2歳が年長馬と比べられるだけでも特筆すべきことだが、その高い素質を早い段階で見抜いていた人物がいたという。
C.ルメール騎手と横山武史騎手で争奪バトルも?
「これが3戦目となるキングズレインですが、ここまでの2戦は横山武史騎手が鞍上を務めていました。デビュー前の追い切りに騎乗した際には『生まれ持った走り方が良い』とその素質を絶賛。同馬が所属するサンデーサラブレッドクラブのホームページには、『同時期のシュネルマイスターより良い』とまで記載されていたほどでした。
横山武騎手といえば、エフフォーリアのデビュー前に調教で跨った際、興奮気味に感触を語ったというエピソードが有名です。確かな“相馬眼”を持った横山武騎手が惚れ込んだ馬となれば、今回の完勝も納得ですね」(競馬誌ライター)
血統的にもキングズレインは、2015年のローズS(G2)を制したタッチングスピーチの2番仔で、英G1馬リッスンを祖母に持つ良血馬だ。その母系はSadler’s Wellsの入った重厚感ある血統で、産駒の成長も遅咲きの傾向にある。母タッチングスピーチや叔父サトノルークスも、秋に飛躍を遂げた馬でもあった。
手塚調教師もレース後に「仕上げ途上で、筋肉も付ききっていない。そんな中でこれだけのパフォーマンスができた」とコメントしており、これからの伸びしろを十分に期待できそうな走りを披露したことにも価値がある。次走は未定だが、同師も「間隔を詰めて使えないかもしれない」と話すなど、当面は成長を促しつつ、来春のクラシック参戦を視野に入れていくだろう。
キングズレインの素質をいち早く見抜いていた横山武騎手が、同日の阪神で騎乗することもあってか、乗り替わりとなった今回の勝利。次走以降で再登板の可能性もあるが、厩舎と繋がりの強いルメール騎手で結果を残したことで気が気でないはず。
2人の名手から高い評価を受けた逸材だけに、両者の主戦争奪バトルという事態に発展するかもしれない。
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