【ステイヤーズS(G2)展望】タイトルホルダーに“肉薄”!? あのお騒がせ馬が復帰
JRAの平地競走で最も距離が長い重賞、ステイヤーズS(G2)が12月3日に中山競馬場で行われる。
中山名物の直線坂下からスタートし、内回りコースをぐるりと2周する年に1度のマラソンレースを制するのは果たしてどの馬か。早速展望していこう。
近4走すべてが3000m以上というシルヴァーソニック(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)。その起点となったのが昨年の当レースで、3着に好走していた。
その後も万葉S(OP)でマカオンドールの3着、阪神大賞典(G2)はディープボンドの3着と長距離戦で安定した走りを披露。長距離界の“ブロンズコレクター”と呼ばれ始めた矢先にアクシデントに見舞われる。
それが8番人気で迎えた天皇賞・春(G1)。スタート直後に躓くと、鞍上の川田将雅騎手が落馬して競走中止となってしまった。カラ馬となったシルヴァーソニックは止まることなく、そのまま3200mを“完走”。タイトルホルダーに次ぐ“2位”でゴールを通過した。
アクシデントはさらに続く。レース後には勢い余って外ラチを飛越すると、背中から派手に転倒。ただし、大きなケガはなく、その後は目黒記念(G2)を視野に入れていた。ところが追い切り後に歩様が乱れたため回避。その直後には骨膜が出てしまい、休養に入っていた。
アクシデント続きのシルヴァーソニックが始動戦に選んだのはアルゼンチン共和国杯(G2)だった。ところが4分の2の抽選であえなく除外され、結局、紆余曲折を経てようやくここで実戦復帰が叶いそうだ。
鞍上にはD.レーン騎手が配され、半年以上に及ぶ鬱憤を晴らしたいところだろう。
ユーキャンスマイル(牡7歳、栗東・友道康夫厩舎)は重賞3勝の実績馬。うち2勝が3000m以上の長距離戦だが、ステイヤーズSは初出走となる。
20年の阪神大賞典を最後に勝利からは遠ざかっているが、今年9月の新潟記念(G3)で2着に追い込み、健在ぶりをアピール。前走・アルゼンチン共和国杯は後方から末脚に懸けたが、直線で他馬に寄られる不利もあり消化不良の7着に終わった。
今回もいつも通り後方からの競馬が濃厚で、道中しっかり脚をためて、自慢の切れ味を発揮できるか。鞍上は2走前の新潟記念を2着に導いた石橋脩騎手が引き続き騎乗する。
現役では最も小柄な1頭、メロディーレーン(牝6歳、栗東・森田直行厩舎)は得意の長距離戦で一発を狙う。
350kg前後の小柄な馬体にもかかわらず高い心肺機能を持ち、過去にはワールドプレミアが勝利した菊花賞(G1)で上がり最速の末脚を駆使して5着に好走するなど、牡馬とも渡り合ってきた。
古馬になってからは天皇賞・春に3年連続で出走。昨年10月には念願のオープン昇級を果たしたものの、重賞では苦戦が続いている。なんとかスタミナを生かす展開に持ち込んで、強豪相手に一泡吹かせたい。
昨年の当レース1~2着馬も出走を予定している。
連覇を狙うのはディバインフォース(牡6歳、栗東・寺島良厩舎)だ。昨年は道中中団で脚をためると、直線で先行集団をまとめて差し切った。その後は苦戦が続いているが、リピーターが多いレースだけに無視できない1頭といえるだろう。
昨年は超スローペースを作り出し、2着に逃げ粘ったのがアイアンバローズ(牡5歳、栗東・上村洋行厩舎)。ディバインフォースとは半馬身差の僅差敗戦だった。
スランプに陥ったディバインフォースとは対照的に、こちらはこのレースをステップに阪神大賞典2着、天皇賞・春5着と長距離戦で好成績を収めた。その後は宝塚記念(G1)15着、京都大賞典(G2)6着と結果は出ていないが、得意の長距離戦なら昨年のリベンジを果たしてもおかしくないだろう。
長期休養明けを叩かれ上昇が期待されるのはディアスティマ(牡5歳、栗東・高野友和厩舎)だ。1年2か月ぶりとなった前走の京都大賞典は道中2番手を進み、直線でもしぶとく粘って5着を確保した。ハナを切った方がしぶとさを生かせるタイプで、今回はすんなり自分の形に持ち込めれば面白い。
カウディーリョ(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)は、昨年の当レースで1番人気に支持された実力馬。しかし、スローペースの中2番手追走から直線伸びを欠いて7着に敗れた。2月のダイヤモンドS(G3)以来、久々の実戦で、昨年の借りを返すことはできるか。
この他には、前走の古都S(3勝クラス)を快勝してオープン入りを果たしたプリュムドール(牝4歳、栗東・奥村豊厩舎)、H.ドイル騎手との初コンビを予定しているマンオブスピリット(セ5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)なども侮れない。
3度の坂越えがあるタフなマラソンレースを制するのはシルヴァーソニックかユーキャンスマイル、それともメロディーレーンか。注目のステイヤーズSは12月3日、15時25分に発走予定だ。
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