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「天才ルーキー」登場から史上初の日本ダービー連覇、そして失意のどん底へ…『武豊』でも結果が出ないとこういう状況になる

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武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 2023年は卯(うさぎ)年である。一般的にはウサギにちなんだ「飛躍」「向上」といった発展が期待される年と言われているが、そんな縁起のよさを体現するが如く、卯年を重ねるたびに大きな発展を遂げてきたのが競馬界である。

 そして、その“原動力”となったのが、今から36年前の卯年に登場した稀代のレジェンドジョッキー・武豊騎手だ。

 1987年の春、「魔術師」と言われた名手・武邦彦騎手の息子として、デビュー時から注目されていた18歳の少年は、わずか6か月で当時の関西新人最多勝記録を更新。10月の京都大賞典(G2)で重賞初制覇を飾ると、最終的には69勝を挙げて新人最多勝記録を大きく更新した。武豊騎手の登場は、競馬界の「新時代の幕開け」と言っても過言ではないほど歴史的な1ページである。

 翌年、日本ダービー(G1)初騎乗を成し遂げた武豊騎手は、秋にスーパークリークで菊花賞(G1)を制し、瞬く間にトップジョッキーへ。それから11年後となる次の卯年1999年には競馬の第一人者として国民的なスターになっていた。

 前年にスペシャルウィークとのコンビで「それまでの人生で、最大、最高の瞬間」というダービージョッキーになった武豊騎手はこの年、アドマイヤベガと日本ダービー連覇を達成。これは日本ダービー史上でも初の快挙だった。

 また、この年には自己最多を更新する178勝を挙げ、通算10度目のリーディングジョッキーという節目を迎えている。さらに3年連続の騎手大賞と、まさに向かうところ敵なしの状態。そういった背景もあり、この頃から日本だけでなく、世界で戦うために積極的な海外遠征を行っている。

 しかし、それから12年後。次の卯年となる2011年、武豊騎手は失意のどん底にいた。

「武豊は終わった――」

 前年の春、毎日杯(G3)に騎乗した武豊騎手は最後の直線で落馬。騎乗馬のザタイキが故障を発症したことでバランスを崩して前のめりに投げ出されると、騎手になって初めての大怪我となる全治半年の重傷を負った。

 その後、わずか4か月のスピード復帰を果たした武豊騎手だが、決してケガが完治したわけではなかった。特に左肩の症状が重く、思ったような騎乗ができない日々が続く。「『武豊』でも結果が出ないとこういう状況になる。シビアな世界だからしょうがない」と本人が振り返っている通り、結果が出なければ相応の立場に追いやられるのが競馬の世界。例え「天才騎手」であったとしても、弱肉強食の宿命から逃れる術はなかった。

 そうして迎えた2011年は、武豊騎手にとってはキャリア最大の試練となった。

 年間64勝は、デビューイヤーの69勝を下回る自己最低記録。また、この年はJRAでG1を勝つことができず、23年続いた連続勝利記録も途絶えている。これまで競馬のすべてを勝ち取ってきた武豊騎手が「競馬が楽しくなかった気がする」とさえ漏らすほど、本当に苦しい時間が続いた。

 あの苦境から12年経った2023年。騎手として4度目の卯年を迎えた武豊騎手は、未だ第一線を走り続けている。

 一時は引退説さえ囁かれた武豊騎手だったが「僕は帰ってきました」と日本中を感動させた2013年の日本ダービー制覇をきっかけに復活。今年54歳になる大ベテランは全盛期を取り戻してはいないが、今なお唯一無二の輝きを放ち続けている。

「Et le rêve un jour」

 2023年のオフィシャルカレンダーに掲げられた抱負は「そして、いつかの夢」というフランス語で記載されている。本人は明言していないが当然、フランスの凱旋門賞(G1)に対する積年の思いを記したものだろう。

 もし挑戦が叶えば、通算11度目となる。今回の卯年こそ、大きな「飛躍」を遂げてほしい。

GJ 編集部

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