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第二のダイアトニック出現?まさかのコンビ解消でも目が離せない勝負師・岩田康誠

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岩田康誠騎手

 22日、中山競馬場で行われたAJCC(G2)。1月の中山開催を締めくくるビッグレースは、4番人気のノースブリッジ(牡5歳、美浦・奥村武厩舎)が快勝した。

 もともと能力の高さを評価されながら、気性の難しさから出世が遅れていた同馬。前走の天皇賞・秋(G1)でも外目の枠から主張して行ったが、内からパンサラッサの抵抗にあうと首を上げてフラフラと蛇行。直後のインにいたマリアエレーナの進路を妨害してしまい、騎乗していた岩田康誠騎手には2日間の騎乗停止処分が下されている。

 それでも今回はしっかりと馬群の内で折り合い、岩田康騎手も「道中はなだめながら。難関なコースで向正面では動きもありましたが、馬が冷静でいてくれました」と、その成長ぶりに舌を巻いたほど。

 距離延長も久々の右回りもまるで苦にせず、最後はインを伸びて先頭でゴール。大きなガッツポーズを見せた鞍上はレース後に「この馬にとって一歩踏み出せた、G1に届くようなレースができたと思います」と大きな期待感を口にした。

 かつては当然のように年間100勝を重ねていた岩田康騎手だが、ここ2年は年間50勝にも満たないシーズンが続く。それでも存在感に陰りが見えないのは、大一番での勝負強さが光っているからだろう。

 昨年はG1勝利こそなかったものの、年間で8つの重賞タイトルを獲得。これは9勝の松山弘平騎手に続き、川田将雅騎手と並ぶ2位タイの好成績である。

 とはいえ、この2人とは馬質や騎乗数も大きく異なる。そこで昨年の岩田康騎手の重賞成績を詳しく見てみると、【8-2-2-30/42】で勝率19%をマーク。これは上記の2名に勝っているどころか、10回以上に騎乗した騎手の中で最も高い数字であった。

 白星に対する重賞勝ちの割合を見ても、松山騎手が7.6%(9/118)で川田騎手は5.6%(8/143)だった一方、岩田康騎手は17.4%(8/46)と圧倒。全国リーディング50位以内の騎手で岩田康騎手以外に勝率10%超えを記録したのは、11.4%(5/44)の浜中俊騎手と13.7%(7/51)の池添謙一騎手の2名だけ。こちらも全体No.1の数字を叩き出していたのだ。

 まさに“勝負師”と呼ぶにふさわしい活躍ぶり。今年も1月から幸先良く重賞タイトルをゲットするなど勢いを持続させているが、気がかりなこともある。昨年の重賞8勝のうち3つを挙げたダイアトニックが引退したこと。そして、昨年の根岸S(G3)を勝利したテイエムサウスダンとのコンビが解消となったことだ。

 2週連続の重賞勝ちに期待を膨らませながら、今週末に東京競馬場で開催される根岸Sの想定を見てみると、テイエムサウスダンの名前は入っているものの、騎手欄には「C.ルメール」の文字。報道によると陣営の意向もあり、今年は心機一転の新コンビでフェブラリーS(G1)を目指していくという。

 勝負の世界にこうした厳しさはつきものとはいえ、交流重賞3勝にG1でも奮闘を見せた相棒との別れは受け入れがたい現実だろう。そこで事実上の“降板”を突き付けられた岩田康騎手の名前がどこにあるか探してみると、中京競馬場で行われるシルクロードS(G3)の方にあった。

第二のダイアトニック出現?

 今回コンビを組むのはグルーヴィット(牡7歳、栗東・松永幹夫厩舎)。前走のタンザナイトS(OP)では2年9カ月ぶりのコンビで見事に勝利を挙げ、同馬に2019年の中京記念(G3)以来となる3年5カ月ぶりの白星をもたらしている。

 年が明けて7歳となったが、前走は「体は重かった。絞れてくればもっと良くなる」というコメントが騎手から出ているように、上積みを残した状態での勝利だった。「やはり力があります」とも語っており、その能力はまだまだ衰えていない。

 そして何より、前走の感触を知る騎手が引き続き騎乗できるという点は大きなプラス。乗り替わりがなければ、テイエムサウスダンと府中にいた可能性もあったが、シルクロードSで継続騎乗が実現。この運命のいたずらが、グルーヴィットと岩田康騎手の双方にとって良い方向に転がる可能性は大いにある。

 思えば昨年のダイアトニックも7歳にして岩田康騎手と出会い、1年以上も勝利がなかったところから復活して1400mの重賞を3勝。最後のひと花を咲かせてキャリアを終えた。グルーヴィットも岩田マジックによって、同じような道を歩むことがあっても不思議ではない。

 戦前はナムラクレアやウインマーベル、トウシンマカオにマッドクールといった明け4歳馬の激突が大きな注目を集めているが、48歳の勝負師はそこに待ったをかけることができるか。新たな相棒候補と2週連続の重賞勝利に挑む岩田康誠騎手に注目だ。

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