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リーディング2位でも“どん底”の1年を糧に…戸崎圭太が挑む2年ぶりのG1勝利

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戸崎圭太騎手

 2023年の中央競馬も開幕から2カ月目に入り、今年最初のG1競走が開催される。19日に東京競馬場で行われるのが、上半期のダート王決定戦・フェブラリーS(G1)だ。

 今年はフルゲートを超える19頭が参戦を表明した中、有力馬の一頭だったギルデッドミラーが調教後の故障により出走を回避。まさかの現役引退となってしまったのは寂しい限りだが、地方馬に加えてカナダからシャールズスパイトがエントリー。例年以上にバラエティーに富んだメンバー構成となった。

 そんな大注目のフェブラリーSを語る上で、欠かせない存在となるのが戸崎圭太騎手だ。

 前哨戦の根岸S(G3)を制したレモンポップの主戦として知られるトップジョッキーだが、今回は先にこのレースへの出走が決まっていたドライスタウトとのコンビでG1獲りに挑むことになった。

 レモンポップはその根岸Sの疲労度なども見ながら出走の可否を慎重に見極めた結果、8日に正式に参戦を表明。今回は坂井瑠星騎手との新コンビで臨むこともあわせて発表された。

 ドライスタウトで2021年の全日本2歳優駿(G1)を制し、レモンポップと先月の根岸Sを制している戸崎騎手。お手馬にダート界の頂点を目指せる逸材が2頭もいるのは喜ばしいことだが、その2頭が揃って同じレースに出走となれば、当然ながら騎乗することができるのはどちらか1頭だけ。今回はまさに嬉しい誤算といったところだろう。

 さらにこの2頭に留まらず、昨年の同レースでコンビを組んで4着と善戦したソリストサンダーも出走を予定。それだけ有力馬と縁があるというのは戸崎騎手の信頼度の高さの証明でもあるのだが、今回に限っては自身の相棒を打ち破らなければ、渇望するG1勝利を手にすることはできない。

 昨年はリーディング2位となる年間136勝を挙げた戸崎騎手だったが、G1のビッグタイトルとは縁がなかった。それどころか、重賞勝利はクイーンC(G3)と新潟2歳S(G3)の2勝だけ。これは2013年のJRA移籍以降でワーストの成績となった。

リーディング2位でも“どん底”の1年を糧に…

 なかでも自身が大きな出来事だったと語るのが、昨年3月にドゥラドーレスと挑んだ毎日杯(G3)。1番人気を裏切る3着に終わったレースについて、『競馬ラボ』のレギュラー連載では「本当に申し訳ない騎乗だった」と振り返り、『netkeiba.com』掲載の川田将雅騎手との対談企画でも「本当に情けなくて、どん底に落ちたっていう感じで…」と悔しさを露わにしていた。

 事実、毎日杯を経て臨んだ昨年4月は月間7勝で勝率14.0%とやや成績が落ち込み、5月は16勝を挙げて立ち直りの気配を見せたかに思われたが、6月には月別でワーストの5勝止まり。勝率7.8%と不振を極めた。

 それでも、「吹っ切れました。あれで切り替えられた面はあります」と一度“どん底”を見たことで発奮し、そこから徐々に成績もアップ。その間には誘われた食事会で後輩の川田騎手からハッパをかけられたこともあったと言い、結果として最後はリーディングの座を脅かすまでの復調を見せている。

 苦しんだ2022年を乗り越え、迎えた2023年は年始早々に中山金杯(G3)をラーグルフで優勝。幸先良いスタートを切ると、上述したように根岸Sもレモンポップで制覇。早くも昨年に並ぶ重賞2勝目を挙げてみせた。

 中山金杯のレース後には、「去年は大きいところを勝てませんでしたが、まずひとつ勝てたのはよかった。他の馬でも活躍して、大きなレースを勝ちたいです」とコメント。大舞台への思いが素直にこぼれた裏には、不振から抜け出して充実期を迎えている手ごたえがあったからだろう。

 上でも触れたように昨年はG1勝ちがなく、最後にJRAのG1を勝利したのは2021年にアカイトリノムスメで勝った秋華賞(G1)まで遡る。2021年10月の天皇賞・秋(G1)から昨年のホープフルS(G1)にかけて現在G1で16連敗中。自身の良い流れに乗って、ここで終止符を打っておきたいところだ。

 また、もとは地方で騎手デビューを果たした戸崎騎手。JRA移籍後も11年間の通算で芝の勝率が14.6%に対してダートでは15.9%と、わずかながらダート戦の方が優れた成績を残している一方で、JRA移籍前も含めG1に限ると全9勝のうち芝が8勝でダートは1勝。2020年のチャンピオンズC(G1)にチュウワウィザードで勝利したのがダートで唯一のG1タイトルとなっている。

 地方交流も含め、現行の国内ダートG1競走で勝利がないのがJBCの3競走(レディスクラシック・スプリント・クラシック)と東京大賞典、そしてフェブラリーSという計5レース。計10回目の挑戦となる今回、初制覇にかける想いは当然強いはずだ。

 地方から叩き上げで中央に乗り込み、3年連続リーディング獲得などの栄光を掴みながら、40歳を超えて“どん底”も味わった10年間の歩み。苦境を乗り越えたベテランに勝利の女神は微笑むか。この週末はドライスタウトとともに悲願のG1獲りに挑む戸崎圭太から目が離せない。

木場七也

木場七也

29歳・右投右打。

本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。

ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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