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「異次元の逃げ」に熱視線…レッドベルオーブが示した近走の“意外な可能性”とは?

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レッドベルオーブ 撮影:Ruriko.I

 東京競馬場でフェブラリーS(G1)が開催される19日、小倉競馬場では伝統のハンデ重賞・小倉大賞典(G3)が行われる。

 いわゆるG1の裏開催にはなるが、今年も歴戦の強豪が早春の小倉に集結。中でも注目を集めているのが、レース展開のカギを握るレッドベルオーブ(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。

 かつてはデイリー杯2歳S(G2)を制し、続く朝日杯フューチュリティS(G1)でも勝ち馬グレナディアガーズと0秒4差の3着という実績を持つ実力馬。しかし、ぶっつけで挑んだ翌年春の皐月賞(G1)は8着に終わり、その後は骨折もあって約11カ月もの長い休養を余儀なくされてしまった。

 復帰後も2歳時の実績から大きな注目を集めたが、重賞はおろかリステッド競走でも馬券内が遠い日々。気性面の課題をなかなか克服することができず、長いトンネルをさまようこととなった。

 そんなレッドベルオーブの転機となったのが昨年8月の小倉日経OP(OP)。初コンビだった幸英明騎手は「調教で折り合いが苦手なイメージを受けた」ことと、「調教師からは行くなら行ってもいいという指示を受けていた」ことから、これまで経験がなかったハナを主張するレースを展開する。

 大外11番枠から少し勢いをつけると、頭を上げながら暴走気味に1コーナーに突入。2コーナーから向正面にかけても抑えきれず大逃げの格好となったが、終わってみれば最後まで後続に影を踏ませることなく3馬身差の逃げ切り勝ち。実に1年9カ月ぶりの勝利を手にした。

 能力の高さを示した一方で、この白星と引き換えに負った代償も大きい。一度この戦法を採ってしまったことで、次走の毎日王冠(G2)でも前半1000mを57秒9で走った末に、東京競馬場の長い直線で失速してしまった。

 さらに距離が2000mに延びたチャレンジC(G3)では、かつての主戦・福永祐一騎手の手綱に替わっても大逃げのレースぶりは変わらず、この時の前半1000mは57秒7。そして前走、小倉・芝2000mの関門橋S(OP)では前半1000mを56秒6で駆け抜ける過去最速のハイラップを刻み、やはりラストは一杯になって馬群に飲み込まれた。

レッドベルオーブが示した近走の“意外な可能性”とは?

 今ではすっかり逃げてどこまで行けるか、というキャラクターが定着しつつある。今回は勝った4走前と同じ小倉・芝1800mの条件に戻ることで期待を抱く声も多くなっているが、気がかりなのは走る距離に関係なく前半1000mの通過タイムがどんどん速くなっているという点だ。

 勝利した当時も大逃げにはなっているが、前半1000mの通過は57秒6だった。馬の気を損ねないように運びつつも、前走ほどのペースにはさせてはならないという絶妙なコントロールが鞍上の北村友一騎手には求められる。

 行きたがる馬をいかになだめながら走らせるかというのは騎手の腕が問われるところ。だが、見方を変えれば、この爆発力を武器として活かすことができる舞台があるのではないかという考えも浮上してくる。そのひとつが、“さらなる距離短縮”という奥の手である。

 レッドベルオーブが前走の関門橋Sで刻んだ区間ごとの通過タイムを振り返ってみると、前半3ハロンを33秒7で入り、1000mの通過が56秒6、そして1200mの通過は68秒3。忘れてはいけないのが、これをほぼ馬なりの状態で記録しているということだ。

 ここで関門橋Sの翌週に小倉の芝1200mで実施された北九州短距離S(OP)のレースラップを見てみよう。前半3ハロンは33秒1で流れ、1000mの通過が56秒4。そして勝ったヴァトレニの走破タイムは68秒2である。

 関門橋Sの日が良馬場で行われたのに対し、この日の芝は稍重だったという違いはあれど、レッドベルオーブがスプリント戦線でしのぎを削ってきた猛者たちにも引けを取らない流れで1200mを走破できていることが分かるだろう。

 しかも、小倉コースはいわゆる“平坦・小回り”に分類されるものの、JRAのコース紹介にも「ゴールラインから2コーナーにかけて緩やかな上りが続き、ここで上ったぶんを2コーナーから向正面、さらに3コーナーから4コーナーにかけて下るレイアウト」とあるように、コース全体を見ると3メートルほどの高低差が存在している。

 すなわち、今回比較したのは同じ小倉・芝コースの区間タイムだが、レッドベルオーブの時計はスピードが出にくい上りのセクションを通って記録したものであり、反対に北九州短距離Sの数字は下りのみの最もスピードに乗りやすい区間で計測されたものであるということも付け加えておきたい。

 もし今のレッドベルオーブがスタートから全速力で1200mの距離を走ったとしたら…?関門橋Sは単なる“暴走逃げ”ではなく、そんな新たな可能性も感じさせるパフォーマンスだったと見ることもできる。

 直近ではパンサラッサが「令和のツインターボ」として脚光を浴びるなど、注目度が高まっている“個性派逃げ馬”という存在。それだけに、今回もレッドベルオーブの逃走劇を楽しみにしているファンの方も多いことだろう。

 4走前のように1800mの距離でその個性が爆発するのか、はたまたさらに短い距離に新たな可能性を求めるのか。小倉大賞典の結果はもちろんのこと、このレースを終えた後の動向にも引き続き注目していきたい。

GJ 編集部

GJ 編集部

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