吉田隼人「勝ち切るあたりが能力」矢作芳人厩舎の新兵器を絶賛! 絶望的デビュー戦“大逆転勝利”に相手も「相手が悪かった」と脱帽
12日、阪神競馬場で行われた2R・3歳未勝利戦は、1番人気のアンジュフィールド(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が勝利。このレースがデビュー戦となったが、ゴール前で鮮やかに差し切った。
額面だけを見れば中団から差し切った勝ち時計1:14.1は、前日に同じ阪神ダート1200mで行われた牝馬限定の未勝利戦よりも0.3秒遅い地味なもの。クラスが上がる次走以降は厳しい戦いを強いられそうにも見えるが、関係者の評価は上々のようだ。
「馬に助けられました」
レース後、アンジュフィールドをそう労ったのは鞍上の吉田隼人騎手だ。「色々と不利があった」とコメントしている通り、1枠1番の最内枠が仇になって、道中砂を被り続ける厳しい展開。初出走の馬だけに、この時点で馬がレースを投げてもおかしくないほどだった。
さらに、勝負どころの3コーナーでは前を走っていたフェアリーピコが同じく砂を被って、フラフラと蛇行……。吉田隼騎手が「進路をカットされました」と指摘するほどの不利を受け、外に進路を求めざるを得なくなった。
ここでもさらに砂を被り続け、アンジュフィールドも明らかに嫌がっている様子。1番人気だけに応援していたファンも少なくないはずだが、この時点で諦めてしまったのではないだろうか。
しかし、最後の直線で外に持ち出されて進路が開けた途端、ここからは脚色が違った。吉田隼騎手のムチに応えるように加速したアンジュフィールドは「猛然と追い込んできた」と実況されるほどの末脚を披露。2番手から抜け出したカゲマルが後続を引き離し、ほぼ決まったかに見えたが、最後の最後でアンジュフィールドがクビ差だけ差し切った。
“大逆転勝利”に相手も「相手が悪かった」と脱帽
「石橋脩騎手が『一旦は完全に抜け出した』と話していた通り、完全にカゲマルの勝ちパターンだと思いましたが、アンジュフィールドも最後はねじ伏せるような凄い末脚でした。今回が初出走の上に、最内枠から砂を被り続けるという厳しい状況でしたが、『勝ち切るあたりが能力でしょう』と吉田隼騎手も絶賛していましたよ。
追い切りの時計が良かったこともあって人気になりましたが、個人的には『もう1本(追い切りが)欲しい』と思っていたので半信半疑でした。時計は目立ったものではないですが、慣れが見込める次走の上積みは相当大きいでしょうし、上のクラスでも十分に勝ち上がりが狙えると思います」(競馬記者)
記者がそう話した通り、2着に敗れたカゲマルも後続に3馬身差をつけている。ダート1200mでは決定的といえる差だが、それを差し切ってしまったアンジュフィールドの走りには、石橋騎手も「相手が悪かった」と脱帽する他なかったようだ。
「揉まれる競馬もできましたし、これからさらに良くなりそうです」
レース後、そうアンジュフィールドの今後に期待をかけた吉田隼騎手。まだ少し気が早いかもしれないが「距離はもっとあっても良さそう」とも話しており、来年のフェブラリーS(G1)で成長した姿を見てみたい1頭だ。
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