【ヴィクトリアマイル(G1)展望】連覇狙うソダシはD.レーンと新コンビ!二冠牝馬スターズオンアースと初対決!アートハウスは無念の骨折で回避
14日、東京競馬場では古馬牝馬による春の女王決定戦、ヴィクトリアマイル(G1)が行われる。G1馬が4頭集結した一戦を早速展望していこう。
特別登録馬19頭の中で最多となるG1・3勝の実績を誇るのは、昨年の覇者ソダシ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
デビュー当初から白毛のアイドルとして人気を博し、2歳時に阪神JF(G1)を制覇。さらに3歳時に桜花賞(G1)、4歳時にはヴィクトリアマイルを勝っている。
ちょうど1年前は、10着に敗れた秋華賞(G1)以来となる芝のレースで4番人気まで評価を下げていた。しかし、好位4番手を追走し直線で難なく抜け出すと、後続の追撃を許さず。2着のファインルージュに2馬身差をつける完勝で、改めてマイル戦での能力の高さを証明した。
その後は連覇を狙った札幌記念(G2)で5着。さらに府中牝馬S(G2)で惜しい2着に敗れると、秋の大目標、マイルCS(G1)は3着と勝ち切れない競馬が続いている。
その前走から約半年の間隔が空いたが、桜花賞をぶっつけ本番で制しているように休み明けは不問。3月上旬に帰厩後は約2か月間にわたり栗東でじっくり乗り込まれており、久々を不安視する必要はなさそうだ。
また、ソダシにとって大きな変化も訪れる。デビューから一貫して吉田隼人騎手が手綱を取ってきたが、今回はJRAの短期免許で来日中のD.レーン騎手に乗り替わるのだ。
同騎手が初めてソダシに跨ったのは2週前追い切り。『日刊スポーツ』の取材に対する「動きは良く、満足できる調教内容。馬も良かったし、自分としても満足」というコメントから確かな手応えをつかんだのは間違いないだろう。
次走に予定している安田記念(G1)との春のマイルG1・2連勝へ向けて、牝馬限定戦のここは落とすことができない。
そんなソダシを抑えて1番人気に推される可能性が高いのはスターズオンアース(牝4歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)だろう。
昨年は7番人気で桜花賞、3番人気でオークス(G1)を制し、見事に二冠牝馬に輝いた。しかし、オークス後に両前肢を剥離骨折していたことが判明。三冠達成に黄信号が灯った。
幸いケガの症状は軽かったため、秋華賞には無事出走。骨折明けにもかかわらずファンはこの馬を1番人気に支持した。
レースではスタートで後手を踏んでしまい後方からの競馬。4角でも絶望的な位置にいたが、直線で馬群をさばきながら鋭く伸びて、0秒1差の3着まで追い上げた。まさに「スタートだけが残念でした」というC.ルメール騎手の言葉通りの結果で惜しくも三冠を逃した。
今年は大阪杯(G1)で始動。ジャックドールと人気を分け合う形で1番人気に支持されたが、再び直線で脚を余す競馬で2着に敗れている。
しかし、このレースも負けてなお強しの内容だった。逃げたジャックドールがそのまま粘り込み、4角3番手の先行馬2頭が3~4着に残る完全な前残り。そんな展開にもかかわらず、スターズオンアースは1頭だけ後方から脚を伸ばしてジャックドールをハナ差まで追い詰めた。
スターズオンアースにとってカギとなるのはゲートと距離だろう。近2走はどちらも出遅れているだけに、スタートをしっかり決めたいところ。また、桜花賞以来となるマイル戦で思わぬハイペースになるようなら、位置取りを大きく下げてしまう可能性もありそうだ。
過去6年でこのレースを3勝しているルメール騎手が二冠牝馬をオークス以来の勝利に導けるか。その手綱さばきに注目が集まる。
秋華賞でスターズオンアースの牝馬三冠を阻止したのはスタニングローズ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)。ただし、その後がパッとしない。
秋華賞を勝利し、続くエリザベス女王杯(G1)でも2番人気に支持されたスタニングローズ。古馬との初対戦は、自身初の重馬場に加えて秋3戦目の見えない疲れもあったか、全くいいところなく14着に大敗した。
さらに3か月半の休養を挟んで出走した中山記念(G2)では3番人気に支持されたが5着。好位から抜け出しを図る勝ちパターンに持ち込んだものの、逃げたドーブネを捉えられず。さらに後ろからヒシイグアス、ラーグルフ、シュネルマイスターにも交わされ、掲示板を確保するのがやっとだった。
脚質的にはソダシを前に見ながら、後方にスターズオンアースが控える位置取りが濃厚。ソダシが早めに動いたときについて行くのか、それともスターズオンアースを意識して追い出しを我慢するのか。この馬の仕掛けるタイミングがレースのカギを握るかもしれない。
ソングライン(牝5歳、美浦・林徹厩舎)は、昨年の当レースで5着に敗れたが、続く安田記念でシュネルマイスターを破りG1初制覇。5戦4連対と得意にしている東京マイルコースでG1・2勝目を狙う。
コース実績はメンバーでも屈指だが、気掛かりなのは安田記念後にやや順調さを欠いている点。昨秋はアメリカ遠征のプランもあったが、始動戦のセントウルS(G2)でいいところなく5着に敗れると、咽頭蓋の腫れにより予定していたブリーダーズCマイル(米G1)への遠征を回避。さらに12月の香港マイル(G1)も右前脚の蹄を痛めたため回避し、結局秋は1戦だけに終わった。
名誉挽回を期して臨んだ今年は2月のサウジアラビアで始動。1351ターフスプリント(G3)で連覇を狙ったが、いいところなく10着のブービー負けを喫している。
ここに来て大きく評価を落としているソングラインだが、今回は戸崎圭太騎手との新コンビ。15~16年にストレイトガールを連覇に導いた関東の名手に復活が託された。
ナミュール(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)は、昨年の牝馬三冠路線で主役級の扱いを受けた1頭。しかし、桜花賞10着、オークス3着、そして秋華賞2着と勝利を挙げることができず。エリザベス女王杯で5着に敗れると、マイル路線へと矛先を向けた。
今年初戦は今回と同舞台の東京新聞杯(G3)。逃げたウインカーネリアンが粘り込む前が有利の馬場と展開の中、5番手から必死に追い込んだがアタマ差届かず。3か月ぶりの実戦で待望のG1初制覇を視野に入れる。
アートハウス(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)は、4勝すべてを2000mで挙げている中距離馬。ただし、この春は大阪杯には向かわず、愛知杯(G3)から中山牝馬S(G3)と牝馬限定路線を歩んでヴィクトリアマイルに照準を合わせていたが、残念ながら左腸骨を骨折してしまい回避になる見込みだ。
スプリント路線を歩んでいた2頭も侮れない。
ナムラクレア(牝4歳、栗東・長谷川浩大厩舎)は、前走・高松宮記念(G1)がファストフォースの2着。この距離は昨年の桜花賞以来となるが、その時はスターズオンアースと差のない競馬(0秒1差で3着)をしたように上位に食い込む力はあるだろう。
これまで重賞6勝を挙げているメイケイエール(牝5歳、栗東・武英智厩舎)は、2年前の桜花賞以来となるマイル戦。同じシラユキヒメ一族のソダシとは、その時以来の直接対決を迎える。一気に2ハロン距離が延びるだけに、やはりポイントは池添謙一騎手の“腕”となりそう。
この他には、前哨戦の阪神牝馬S(G2)を2番手から抜け出して完勝したサウンドビバーチェ(牝4歳、栗東・高柳大輔厩舎)、約1年ぶりの実戦で福島牝馬S(G3)を勝利したステラリア(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)、キャピタルS(L)、京都牝馬S(G3)を連勝中のララクリスティーヌ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)の同厩2頭も軽視は禁物だ。
ソダシとスターズオンアースのクラシックウイナー2頭に注目が集まる今年のヴィクトリアマイル。発走は14日、15時40分を予定している。
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