
宝塚記念(G1)歴代最多4勝の武豊に立ちはだかる「13連敗中」の壁
25日、阪神競馬場ではサマーグランプリ・宝塚記念(G1)が行われる。
今年もファン投票により選出されたスターホースを中心に、人気と実力を兼ね備えた現役屈指の強豪たちが仁川に集結した。
史上最多21万6379票を集めたイクイノックスが大きな注目を集める中、そこに待ったをかけるのが牝馬最上位となるファン投票3位を獲得したジェラルディーナ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。
昨年末の有馬記念(G1)では、スタートで出遅れる不利を跳ね返し、勝ったイクイノックスとは0秒7差の3着を確保した。重馬場のエリザベス女王杯(G1)を勝利してから1カ月と少しと間隔が詰まった中で、関東への輸送もありながら牡馬の強豪たちと渡り合った内容は結果以上に濃かったと言える。
今年に入ってからの2戦が大阪杯(G1)で6着、香港でのクイーンエリザベス2世C(G1)も6着と馬券外に沈んでいるのは気がかりだが、管理する斉藤師は『サンケイスポーツ』の取材に「2000mは少し忙しい」と語っており、今回の宝塚記念に向けては「2200mなら負けないと思っている」という心強い言葉も飛び出した。
思えば昨年、はじめてのG1勝利を掴んだエリザベス女王杯は京都競馬場が改修工事中だったことに伴い、阪神の芝2200mコースで実施されたレースだった。思い出の舞台で巻き返しに期待がかかる。

さらに頼もしいのが、宝塚記念で歴代最多の4勝を挙げているレジェンド・武豊騎手を鞍上に迎えることができた点だろう。
同騎手にはイクイノックスと“現役最強”の座を争うドウデュースというお手馬がいるが、こちらは海外遠征中の故障により、この春は“全休”となることが決まり、現在は秋の大舞台に備えて休養中。こうした巡り合わせもあって、上半期ラストの大一番での初コンビが実現した。
今年は阪神競馬場で大阪杯を勝利しているほか、ドウデュースとのコンビで宝塚記念と同舞台で行われた京都記念(G2)を快勝しているのも強調できるポイントだ。
阪神競馬場がコース改修を経てリニューアルされた2006年12月以降、今回の舞台となる阪神・芝2200m戦の騎手別データを見てみると、武豊騎手は【21-14-7-48/90】で勝率23.3%に連対率は38.9%、複勝率も46.7%とすべてにおいて高水準の数字を叩き出している。
21勝も川田将雅騎手(20勝)を抑えて堂々のトップ。単勝と複勝の回収率を見てもそれぞれ128%、110%となっており、武豊騎手をベタ買いするだけで儲かるという驚異的な相性の良さを誇っているのだ。
阪神・芝2200mコースと言えば、宝塚記念でもここ10年で1番人気の馬が2勝しかしていないというデータもあるように、これまで多くの実力馬たちが苦戦を強いられた“魔境”として知られている。イクイノックスが落とし穴にハマり、終わってみれば武豊を買うだけでよかった。そんなオチが待っていても驚けないだろう。
ベストな舞台に、これ以上ない騎手とともに挑むジェラルディーナに死角はないのか。そこでもう一度データを振り返ってみると、数字上は“得意舞台”であるはずの武豊騎手に気がかりな要素が浮かび上がってきた。
2006年のコース改修以降、すなわち2007年以降の宝塚記念における武豊騎手の成績を見てみると、こちらは【0-2-2-9/13】となるのだ。あれだけ阪神の芝2200m戦で好成績を残しているにもかかわらず、宝塚記念では勝利を挙げることができていない。
宝塚記念がやってくるたびに名刺代わりに付いてくる「歴代最多4勝」の陰で、武豊騎手が最後に宝塚記念を制したのは今から17年前までさかのぼる。ディープインパクトとともに単勝1.1倍の人気に応えて勝利した2006年の一戦だ。
しかし、この年は阪神競馬場が改修工事に入ったため、宝塚記念は京都競馬場での開催となった。翌年に阪神へと舞台が移って以降は、昨年まで実は13連敗中。2008年は1番人気のメイショウサムソンに騎乗するも、逃げるエイシンデピュティを捉えることができずにアタマ差の2着に泣いた。
さらに2016年と2017年はキャリアでG1を7勝する名馬・キタサンブラックとともに挑んだが、最初の年は逃げ切りを図るもマリアライトとドゥラメンテに捕まってクビ・ハナ差の3着。翌年は単勝1.4倍の支持を受けながら、3番手から進めて最後の直線はまさかの失速。9着というショッキングな敗戦を喫している。
武豊騎手が「阪神競馬場の宝塚記念」を制したのは、1997年のマーベラスサンデーとのコンビが最後。これまで良いデータを紹介してきた一方で、実に四半世紀以上も優勝から遠ざかっているというのは見逃せない。
過去の実績やデータから「阪神・芝2200m」という条件はピッタリの人馬だが、だからと言ってそう簡単ではないのが“宝塚記念”という大一番。新たなパートナーとともに自身の連敗を止めることができるか、“魔境”に挑むレジェンドの手綱さばきに注目だ。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆
関連記事
宝塚記念(G1)のイクイノックスだけじゃない。「1倍台問題」には、そろそろケリをつけなければいけない【徒然なる神のくず競馬トーク】
宝塚記念(G1)3戦無敗「川田将雅キラー」に一発の期待十分! 阪神コースはすべて馬券圏内を確保…「激走条件」は当日の○○?
「ルメールも後悔?」“捨てられた”ジャスティンパレスに反撃の狼煙! 宝塚記念(G1)打倒イクイノックスへ、代打騎乗した英国の名手の誤算と逆転のシナリオ
「あの乗り方をするなら勝てよ」武豊が声を荒らげた宝塚記念(G1)から15年……レース後にぶつけた不満と未練
「宝塚記念で2億円ゲット」ミラクルおじさんは本当に存在したのか? オーナー反対も調教師が自分で出資して菊花賞挑戦…怪奇満ちるヒシミラクル伝説【競馬クロニクル 第13回】