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スプリント戦から長距離まで幅広く爆走したタケシバオーの記憶…少年の心に刻まれた元祖怪物の伝説【東大式必勝馬券予想】

スプリント戦から長距離まで幅広く爆走したタケシバオーの記憶…少年の心に刻まれた元祖怪物の伝説【東大式必勝馬券予想】の画像1

 今週末の日曜からはや10月、神無月。競馬の神様も出雲にお帰りになるのか?せめて秋のG1緒戦だけは駿馬たちの走りを見守って頂きたいのだが……。

 そんな訳で10月1日は中山競馬場でスプリンターズS(G1)が開催される。記念すべき第1回は、最初の東京五輪と大阪万博の中間となる1967年。奇しくも今年は2度目となるそれらの中間だ。

 創設当初のスプリンターズSはハンデ重賞。1984年のグレード制導入時もG3、そしてG2、G1と駆け上がったブリやハマチもびっくりの出世魚、いや大出世レースである。

 その理由はタマミ、キョウエイグリーン、サクライワイ、ブロケードといった歴史的名牝たちが、余すところなく韋駄天自慢を発揮したからだ。G1昇格後も牡馬サクラバクシンオー(93~94年)、ロードカナロア(12~13年)の連覇で評価は確固たるものに。種牡馬としても前者はキタサンブラックの母父、後者はアーモンドアイの父として末永く日本競馬の血統表にその名を輝かせてゆくだろう。

 また個人的に最も思い出に残る馬は古くて恐縮だが、第3回を優勝した“元祖怪物”タケシバオー。私がこの目で見た最初にして最強の1頭である。3歳(現在の年齢表記)の春はスプリングSから皐月賞もダービーも含め7戦連続2着。善戦マンの名が付きかけた明け4歳春、ダートの東京新聞杯をレコードで圧勝して開眼したか、4連勝で迎えた春の天皇賞ではクラシックを争ったアサカオーやマーチスに影を踏まさぬ楽勝劇だった。

 京都競馬場で私が10歳の時、目の当たりにした鮮烈な光景が、今でも大の競馬ファンとして雑文を認めさせているのだが、3200mの長丁場を爆走した馬が、1200mのハンデ戦に挑むと聞いた時には小学生の私でも耳を疑った。

 1969年9月28日、この年だけ「英国フェア開催記念」と命名され、課せられた斤量は酷量といえる62キロ。後の三冠ジョッキー(ミスターシービーの主戦)吉永正人騎手を背にタケシバオーは危なげない先行策で前年の有馬記念馬リュウズキや“尾形四天王”の一角ハクエイホウを問題とせず、勝ち時計は何と!当時日本レコードの1分10秒4。“怪物”の異名を揺るぎないものとした。

 獲得賞金も日本初の1億円超え。国内にもう敵はおらず、前年レース中のアクシデントで最下位に敗れたワシントンDCインターナショナルのリベンジ壮行戦として、馬主がファンサービスのため出走させたと聞く。

 しかし無理が祟ったのか渡米後に熱発、レースでも前年に続く大差の最下位7着に敗れてしまった。引退戦にしたかった有馬記念も疲労が抜けず断念。結局スプリンターズSが日本での最後のレースとなってしまった。

 そして種牡馬となった不世出の怪物は、父チャイナロック譲りの性豪ぶりを発揮、南関東公営三冠のハツシバオー、6年連続重賞制覇のドウカンヤシマらを送り出し27歳で天に召された。父の方は怪物引退の翌年に次の“怪物”で希代のアイドルホース・ハイセイコーを輩出、日本競馬の神話となった。※当時のグレード表記は省略。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。過去10年で1番人気が5勝、2番人気が1勝と、さすがG1と言えるがロードカナロア、グランアレグリアのような絶対的な存在が今年はいない。

 去年のジャンダルム(8番人気)、一昨年のピクシーナイト(3番人気)、そしてグランアレグリアにも言えるのは「1600mでも勝ち鞍がある」。順にニューイヤーS(L)、シンザン記念(G3)、桜花賞(G1)、安田記念(G1)なのだが、G1ともなると件のタケシバオーまでは望まないが、一介のスプリンターでは勝てないのだ。

 そういう意味で登録馬を見渡すと、マイルのチューリップ賞(G2)を遊びながら勝った(同着だが)メイケイエールに目が行く。

 終わってみれば(現時点で)メンバー最多の重賞6勝、全7勝馬でした!ゴメンね♡とアイドルホースっぽく囁くかも。去年のこのレースも今春の高松宮記念(G1)も1番人気だったことをお忘れなく!

 でも深入りしないでね。YOASOBIも歌っている。♪完璧で嘘つきな君は天才的なアイドル様~。ここは1年下の女の子、ナムラクレアの複勝とテイエムスパーダの単勝で楽しむのが怪物でない我々の身の丈に合っているかも。両嬢とも前哨戦1着、過去データも好走を後押しする。

 競馬の神様も微笑んでくれるか?出雲に帰って知らん顔か?神のみぞ知る!

尼崎昇

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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