大穴・武豊も急浮上!? 実質「Wレコード」秋華賞トライアル組の真実…マスクトディーヴァ、モリアーナよりも警戒すべき「隠れ実力馬」とは
1996年に牝馬三冠最終章として秋華賞(G1)が創設されて以来、春の二冠女王が敗れたケースは2009年のブエナビスタ、そして昨年のスターズオンアースの2例しかない。
逆転女王となったレッドディザイア、スタニングローズはいずれもオークス(G1)2着馬。つまり歴史が推す、逆転筆頭はハーパーということになる。だが、オークスでリバティアイランドにつけられた6馬身差を逆転するのはそう簡単な話ではないだろう。
そして、それはハーパーに限った話ではない。今年は完全なるリバティアイランドの1強状態、競馬ファンの興味はむしろ2、3着に向かっている。ならば、女王と未対戦の「トライアル組」にもチャンスはあるはずだ。
トライアル組で本当に警戒すべきは……
前日段階では、ローズS(G2)を制したマスクトディーヴァが3番人気、紫苑S(G2)を勝ったモリアーナが5番人気の評価を集めているが、狙いたいのはむしろ「敗れた馬」たちだ。
今年の紫苑SとローズSには、明確な共通点がある。先行馬にとって過酷なレースになったことだ。
紫苑Sの前半1000mは58.1秒だったことに対して、後半の1000mが59.9秒と1.8秒も後半の方が遅い。後半の勝負所でこそ加速しなければならない競馬において、このペースの落ち方はレースの過酷さを物語っている。実際に勝ち時計1:58.0は紫苑Sが重賞になった2016年以降のレコードタイ。それもレースは稍重だった。
そんな中で、4コーナー14番手から異次元の末脚で差し切ったモリアーナが注目されている。だが、本当に評価すべきはこのハイペースを3番手から2着に粘り込んだヒップホップソウルの方だ。また、2番手から12着に大敗したソレイユヴィータも、5番手から10着に沈んだグランベルナデットも着順ほど弱い馬ではないはずだ。
また、ローズSに至ってはマスクトディーヴァの勝ち時計1:43.0が日本レコード。逃げたユリーシャが最下位に沈んだ一方、上位陣は中団から後方にいた馬たちで占められているように、こちらも先行馬にとっては厳しいレースだった。
その上で、評価を見直したいのが4番手から12着に大敗したコンクシェルだ。
ここ2戦、ハナに立つ競馬で連勝していたコンクシェルだが、この日は先行争いが激化した影響もあって4番手から。レース後にJ. モレイラ騎手が「折り合いをつけようとしたところに、外からプレッシャーを受けてキツい形だった」と話している通り、本来のリズムを掴めないままレースが終わってしまった。
夏の自己条件の連勝はともに5馬身差の圧勝劇。自分の走りさえできれば、世代トップクラスでも通用する力は持っているはずだ。
以上、先行馬にとっては過酷なトライアルだったが、本番では大きく条件が好転する。
何故なら、ローズSでコンクシェルの前を走っていたユリーシャ、リサリサ、セーヌドゥレーヴ、さらには紫苑Sでヒップホップソウルの前を走っていたフィールザオーラ、アマイら先行勢が不在だからだ。
その上、リバティアイランド、ハーパー、マスクトディーヴァ、モリアーナ、ドゥーラといった有力馬は中団から後ろの競馬になりそうな馬。トライアルとは一転して、スローペースになることが濃厚だ。
逆転女王となったレッドディザイア、スタニングローズは、ブエナビスタ、スターズオンアースよりも前にいた。今年も迫りくる二冠女王の豪脚から“生還”を果たす先行馬がいるかもしれない。
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