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【阪神JF(G1)展望】ボンドガール、コラソンビート、サフィラらに「103頭で1勝」の壁!? 逆転候補はB.ムルザバエフと新コンビのハーツクライ産駒

【阪神JF(G1)展望】ボンドガール、コラソンビート、サフィラらに「103頭で1勝」の壁!? 逆転候補はB.ムルザバエフと新コンビのハーツクライ産駒の画像1
ボンドガール 撮影:Ruriko.I

 10日、阪神競馬場では2歳女王の座を懸けて阪神ジュベナイルF(G1)が行われる。昨年の当レースを制したリバティアイランドは、今年の牝馬三冠を達成し、ジャパンC(G1)でも2着に入った。リバティアイランドに続く女王候補は現れるか。早速展望していこう。

 出世レースのアルテミスS(G3)を制したチェルヴィニアが出走していれば、最有力と目されていたが、残念ながら左後肢に違和感が出たため回避。代わって主役を務めるのは、新馬戦でチェルヴィニアを下したボンドガール(牝2歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。

 6月の1週目に東京・芝マイル戦でデビューしたボンドガール。この時はチェルヴィニアに次ぐ2番人気に甘んじたが、逃げたライバル馬をマークする形で好位の3番手から競馬を進めると、直線で2頭による叩き合いを制した。当日の馬場は稍重発表だったが、かなり速い時計が出る状態で行われ、切れ味で勝った。

 その後は出世レースのサウジアラビアロイヤルC(G3)へ。怪物級と評されたシュトラウスと2強を形成したが、3番人気のゴンバデカーブースに間隙を突かれ、ボンドガールは2着まで。勝ち馬には2馬身差をつけられる完敗だった。ただシュトラウスには先着しており、牡馬の一線級とも力の差がないことを証明した。

 4か月ぶりの休み明けを叩かれ、前走以上の状態で出走できれば2歳女王の最右翼といえる。兄は昨年の日本ダービー(G1)で1番人気に支持された逸材のダノンベルーガ。兄よりも先にG1タイトルをゲットできるか。

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コラソンビート 撮影:Ruriko.I

 そのボンドガールとチェルヴィニアが接戦を演じた6月の新馬戦で、3着に敗れたのがコラソンビート(牝2歳、美浦・加藤士津八厩舎)だ。

 初戦はボンドガールから0秒6差とやや離されたが、その後は勢いに乗って3連勝中。初戦から中2週で臨んだ2戦目の未勝利を逃げ切ると、ダリア賞(OP)は中団から進める危なげない競馬で2勝目を挙げた。

 一息入れて3か月ぶりの実戦となった前走の京王杯2歳S(G2)は、牡馬に交じって1番人気に支持された。スタートを決めて中団6番手で末脚を温存。直線で外目を鋭く伸びると、最後はロジリオンとオーキッドロマンスの伏兵2頭に競り勝ち、新種牡馬の父スワーヴリチャードに初の重賞タイトルをプレゼントしている。

 5戦目となる今回は、初めての関西圏への長距離輸送、初めての右回りなど課題は少なくないが、メンバー唯一の3勝馬として無様な姿は見せられない。特に、ボンドガールには初戦の借りを返しておきたいところだろう。


 2019年に朝日杯フューチュリティS(G1)を制したサリオスの全妹という良血馬、サフィラ(牝2歳、栗東・池添学厩舎)も主役候補の1頭だ。

 ハーツクライが残した最終世代の1頭で、その血統から注目度は高かった。実際に8月に新潟で行われた2歳新馬戦では、単勝オッズ1.7倍の断然1番人気に推されていた。

 ところが、そのデビュー戦は最後の直線で内ラチに接触する不利もあり3着。精神的ダメージも心配されたが、2戦目を3馬身半差で快勝して払拭。出世レースのアルテミスSへと駒を進めた。

 そして迎えた初の重賞舞台は初めて1番人気を譲り、やや離れた2番人気。圧倒的1番人気に支持されたチェルヴィニアが好位を進み、サフィラはその直後をマークするように追走した。

 直線入り口ではいったんチェルヴィニアを外から交わしたが、残り200m辺りで差し返され、最後は1.3/4馬身差をつけられて2着。レースレコードで駆けた勝ち馬には突き放されたが、自身の1分33秒9も、例年なら勝利に値する走破時計だったといえるだろう。チェルヴィニアが不在なら、サフィラが他の有力馬をまとめて撫で切っても全く不思議ではない。

 さて、ここまで名前を挙げたボンドガール、コラソンビート、サフィラの3頭には、それほど馬格に恵まれていないという共通点がある。

 前走時の馬体重を見ると、ボンドガールは454kg、コラソンビートとサフィラは442kgと、いずれも小柄な部類に入る。

 実は過去10年の阪神JFで、前走時の馬体重が460kg未満の馬は103頭いて、僅か1勝(13年レッドリヴェール、勝率0.97%)しか挙げていない。75頭で9勝(勝率12.0%)の460kg以上の馬とは明らかな差がある。阪神の芝1600m外回りはスピードと切れ以上に、ゴール前の急坂をこなすパワーが求められるのかもしれない。

 そこで3頭に代わって浮上するのが、前走時460kg以上だった馬たちだ。

 前走の萩S(L)時が488kgだったルシフェル(牝2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は、サフィラと同じハーツクライのラストクロップ。

 初戦はエコロヴァルツの2着に敗れたが、2戦目の未勝利を4馬身差で圧勝。続く萩Sで川田将雅騎手を背に勝利し、自身初の牝馬限定戦に駒を進めてきた。

 これまでの3戦は1800~2000mを使われており、初のマイル戦でスピード競馬になった時に対応できるかは大きなカギになりそう。さらに、これまで12頭、9頭、6頭立てと少頭数の競馬しか経験していない点も不安要素として挙げられる。

 3戦全てで異なる騎手が手綱を取ってきたが、今回もテン乗りのB.ムルザバエフ騎手が相棒を務める。ルシフェルがこれらいくつかの課題をクリアできれば、勝つだけの実力はあるだろう。

 前走の新潟2歳S(G3)を472kgで走ったアスコリピチェーノ(牝2歳、美浦・黒岩陽一厩舎)は、東京・芝1400mの新馬戦、そして新潟2歳Sで、いずれも上がり3ハロン33秒3の末脚で差し切り勝ちを収めている。関東馬だが、11月中旬には栗東に移動済み。滞在競馬で無傷の3連勝はなるか。


 前走の赤松賞(2歳1勝クラス)を472kgで走ったステレンボッシュ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)も侮れない1頭だ。

 こちらは7月の札幌の芝1800mで不利をはねのけてデビュー勝ち。続くサフラン賞(2歳1勝クラス)は伏兵馬に足をすくわれて2着に敗れたが、赤松賞を快勝し、初重賞に挑戦する。牝馬王国と呼ばれる厩舎だけに、ここを勝つようなら来春の桜花賞(G1)とオークス(G1)が楽しみになるだろう。


 この他には、サフラン賞でステレンボッシュをハナ差で破り、デビュー2連勝中のスプリングノヴァ(牝2歳、栗東・鮫島一歩厩舎)、初戦はボンドガールに1秒2差で大敗も、その後に未勝利とアスター賞(2歳1勝クラス)を2連勝中のキャットファイト(牝2歳、美浦・上原博之厩舎)、15番人気でファンタジーS(G3)を制覇したカルチャーデイ(牝2歳、栗東・四位洋文厩舎)などが出走を予定している。

 本命馬不在で混戦模様を呈している今年の阪神JF。思わぬ伏兵の台頭で大荒れの結末が待ち受けているのか。発走は10日、15時40分を予定している。

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