【ターコイズS(G3)展望】牝馬史上初の偉業へ「トルコ石の女王」ミスニューヨークが3連覇にチャレンジ! 桜花賞2着コナコースト、中山巧者ヒップホップソウルら3歳馬にも注目
16日、中山競馬場では牝馬限定ハンデ重賞のターコイズS(G3)が行われる。重賞に格付けされた2015年以降の8回で、3歳馬が4勝、4~5歳馬が2勝ずつ挙げているが、今年は6歳馬の古豪に注目が集まりそうだ。
重賞2勝の実績馬、ミスニューヨーク(牝6歳、栗東・杉山晴紀厩舎)の主な勝ち鞍は、過去2年の当レース。つまり、今年は3連覇を目指すことになる。
重賞での好走歴なしで臨んだ2年前は53kgの軽ハンデを生かして、4角後方2番手から差し切り勝ち。55kgを背負った昨年は4角8番手からゴール前の接戦を制し、ミスパンテールに次ぐレース史上2頭目の連覇を達成した。
今年は京都牝馬S(G3)から始動し、夏のクイーンS(G3)まで4戦すべて7着以下と低迷していた。しかし、前走の京成杯オータムH(G3)で、ソウルラッシュに0秒1差の3着と好走。中山巧者の本領を発揮した。
JRAの平地重賞で3連覇は、2013~15年阪神大賞典(G2)のゴールドシップ、15~17年ステイヤーズS(G2)のアルバートなど、これまで7頭が達成しているが、いずれも牡馬・セン馬によるもの。ミスニューヨークが史上8頭目の偉業を達成すれば、牝馬として初の快挙となる。
そんなミスニューヨークの対抗格が、7か月ぶりの実戦を迎えるサウンドビバーチェ(牝4歳、栗東・高柳大輔厩舎)だ。
4歳となった今年は初戦の洛陽S(L)で11着に惨敗したが、春の阪神牝馬S(G2)で重賞初制覇。続くヴィクトリアマイル(G1)は5着に敗れたが、上位3頭はいずれもG1馬で、4着もその後に本格化したディヴィーナだった。ナミュールやナムラクレアといった実力馬には先着しており、G3では力上位のはず。
ミスニューヨークほどではないが、中山コースで、菜の花賞(3歳1勝クラス)勝ちと、紫苑S(当時G3)2着の実績もある。休み明けでも持ち前の先行力を生かすことができれば、あっさり重賞2勝目を飾っても全く不思議ではない。
過去8年で4勝している3歳馬だが、今年は牝馬クラシックに出走した馬が複数出走を予定。中でも次の4頭が上位争いに加わってきそうだ。
コナコースト(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)は、牝馬三冠レースを皆勤。桜花賞(G1)ではリバティアイランドから3/4馬身差の2着に入った。
D.レーン騎手に乗り替わったオークス(G1)は、スタート後に他馬と接触する痛恨の不利もあり、先行できず7着。ぶっつけで臨んだ秋華賞(G1)は鮫島克駿騎手を背に果敢に逃げたが、8着に敗れた。一息入れて迎える今回は、「0-3-0-0」と得意のマイル戦。近2走の凡走で評価を落とすようなら、ノーマークの積極策で重賞初制覇を飾る可能性は十分ある。
ヒップホップソウル(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)は、中山で4戦1勝2着2回とコース実績は十分。フラワーC(G3)と紫苑S(G2)は、どちらも勝ち馬から半馬身差の2着だった。コナコーストと同様に秋華賞以来の実戦となるが、同レースでは4角では最後方に位置。しかし、そこからしぶとく脚を伸ばして9着まで追い上げている。
ソーダズリング(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、兄姉にマジックキャッスル、ソーグリッタリングがいる良血。春のフローラS(G2)で2着して、オークスに出走したが、武豊騎手を背に5番人気で8着に敗れている。秋はローズS(G2)で秋華賞の権利獲りを狙ったが8着。自己条件から再出発となった前走の三年坂S(3勝クラス)を快勝して、再び重賞舞台にたどり着いた。
ライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)は、今年1月のシンザン記念(G3)を制し、桜花賞で武騎手を背に2番人気に支持されたが、8着に沈んだ。続くオークス、クイーンSで逃げの手を打ったが、それぞれ17着と9着に惨敗。マイルに戻って復活を期す。
ソーダズリングとライトクオンタムの2頭は、この日から戦列に復帰予定の武騎手が主戦。復帰後初重賞で、どちらに騎乗するかにも注目が集まる。
この他には、東京サラブレッドクラブが所有する「ルージュ軍団」の3頭も要注意の存在だ。
ルージュエクレール(牝4歳、美浦・萩原清厩舎)と、ルージュリナージュ(牝4歳、美浦・宗像義忠厩舎)は、いずれも前走の3勝クラスを豪脚一閃で勝ち上がった。ルージュスティリア(牝4歳、栗東・藤原英昭厩舎)は、重賞で1番人気に3回推された期待馬だが、最高着順は中京記念(G3)3着と、ことごとく人気を裏切っている。C.ルメール騎手との初コンビで変身できるか。
ミスニューヨークが3連覇を遂げるのか、それともサウンドビバーチェが阪神牝馬S以来の重賞2勝目を飾るのか、はたまたリバティアイランドに苦杯をなめさせられてきた3歳馬が混戦を断つのか……。注目の一戦は、16日の15時45分に発走を迎える。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
武豊「復帰目前」ドウデュース有馬記念の後は「G1完全制覇」へ。「僕は帰ってきました」から約10年…キズナ産駒で偉業達成なるか
エスコーラ「川田不在」で2年半ぶり敗戦…同じ競馬場にいながら噂の大器に乗れなかった理由
香港国際競走「負けるわけにはいかん」名伯楽も重圧…武豊×ステイゴールド、福永祐一×エイシンプレストン、そして四位洋文×アグネスデジタルの記憶【競馬クロニクル 第34回】
J.モレイラ、B.ムルザバエフに代わる「刺客」が来日!? 凱旋門賞ジョッキーに今夏話題の女性騎手…年明けも「大物」が短期免許を予定
【GJ読者アンケート】イクイノックス無双に、福永祐一引退、今村聖奈らスマホ事件まで…競馬ファンが選ぶ2023年競馬10大ニュース