「弱小世代」と言われた皐月賞馬がレコードで大反撃の狼煙! ダイワメジャー、ハーツクライ世代にもあった嘘のようなスランプ【この日、何の日】4月3日編
ダイワメジャー、キンカメ、ハーツクライが弱小世代?
皐月賞(G1)がダイワメジャー、日本ダービー(G1)がキングカメハメハ、菊花賞(G1)がデルタブルース。さらにダービー2着馬にはハーツクライ……。
2004年にクラシックの覇権を懸けて争い、種牡馬として今なお日本競馬に多大な影響をもたらしている2001年世代を「弱小世代」と呼ぶ競馬ファンは、まずいないだろう。
その一方で、秋に神戸新聞杯(G2)を勝ったダービー馬が故障で早々に引退すると、皐月賞馬がオールカマー(G2)で9着に敗れ、天皇賞・秋(G1)では最下位の17着に大敗。ダービー2着馬も菊花賞で1番人気を裏切ると、ジャパンC(G1)で10着、有馬記念(G1)でも9着と全く振るわず。代わって世代の頂点に立ったはずの菊花賞馬がジャパンCこそ3着するものの、有馬記念では5着と掲示板がやっと……。
これらは「輝かしい」はずの2001年世代の3歳秋の主な成績である。
詳細は下記の通りだ。
キングカメハメハ 神戸新聞杯1着→引退
ダイワメジャー オールカマー9着→天皇賞・秋17着
ハーツクライ 菊花賞7着→ジャパンC10着→有馬記念9着
デルタブルース 菊花賞1着→ジャパンC3着→有馬記念5着
まるで、絵に描いたような「弱小世代」のそれではないだろうか。唯一、地方の雄として皐月賞で2着したコスモバルクがジャパンCでも2着と奮闘していたが、クラシックを彩ったJRA勢はさっぱり……。
上には、この年に秋古馬三冠を達成するゼンノロブロイを筆頭とした強い4歳世代がおり、明け4歳を迎える2001年世代はとても大きな期待は掛けられそうにない状況だった。
そんな低評価の風向きが変わったのが、翌2005年の4月3日に行われたダービー卿チャレンジT(G3)だった。
ノド鳴りを乗り越えた皐月賞馬の復活劇
当時、皐月賞馬ダイワメジャーの不振の理由は明白だった。兄のスリリングサンデーも発症した喘鳴症、いわゆる「ノド鳴り」である。骨折や屈腱炎などの脚元の故障ではないものの、呼吸が満足にできなくなることは競走馬にとって致命的。喉頭形成術など治療する方法はあったものの、この頃はまだ費用やリスクに見合った結果が出ていなかった。ダイワメジャーも回復の可能性は低いと判断され、陣営としても「やれるだけのことはやってみよう」という面持ちだったそうだ。
そんな中で迎えたダービー卿CTは、結果によってはダイワメジャーの引退レースになっていたかもしれない。
しかし、デビュー以来のマイル戦となったダイワメジャーは楽に番手につけると、最後の直線であっさりと抜け出して見せた。終わってみれば2着チアズメッセージに2馬身差をつけたコースレコードである。不振に喘いだ皐月賞馬が完全復活を遂げた瞬間だった。
その後のダイワメジャーの活躍は、多くの競馬ファンの記憶に残っていることだろう。皐月賞に加えて、天皇賞・秋、安田記念、マイルCS連覇とG1・5勝を達成。本馬は、当時はまだ不治の病に近かった「ノド鳴り」を乗り越えた成功例としても、歴史にその名を残すこととなった。
また、皐月賞馬のダイワメジャーだけでなく、菊花賞馬のデルタブルースが豪州競馬の祭典メルボルンC(G1)を制し、日本史上初の快挙を達成。ダービー2着馬のハーツクライに至っては、その年の有馬記念で無敗の三冠馬ディープインパクトを撃破。翌年もドバイシーマクラシック(G1)を楽勝するなど、ダービー馬キングカメハメハが引退した穴を埋めて余りある活躍を見せた。
あのダイワメジャーの復活勝利から19年。今年の4歳牡馬も、先日の大阪杯(G1)で遅咲きの大器ベラジオオペラが一矢報いたものの皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラがそれぞれ7着、11着に沈むなど、一部のファンから「弱小世代」と言われている。
ここから反撃の狼煙を上げるのは、今月末の天皇賞・春(G1)に挑む菊花賞馬ドゥレッツァか、皐月賞馬ソールオリエンスか、それともあの時のダイワメジャーと同じようにノド鳴りの症状を抱えるダービー馬タスティエーラか――。
いずれにせよ彼らの競走生活は、まだ折り返し地点に差し掛かったばかり。「弱小世代」と呼ばれる2020年世代が、その評価を覆す日を楽しみにしたい。
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