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「馬券購入ほう助疑惑」の名手や世界のデットーリも騎乗…日本で唯一の産駒オフトレイルが重賞制覇、注目の種牡馬「ファー」ってどんな馬?

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地元福島の開催で力が入る田辺騎手 撮影:Ruriko.I
地元福島の開催で力が入る田辺騎手 撮影:Ruriko.I

 6月30日に福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞(G3)は、後方から鋭い末脚を繰り出した6番人気オフトレイル(牡3、栗東・吉村圭司厩舎)が優勝した。

 先に抜け出したシリウスコルトがゴール前で抜け出したところを末脚一閃。先行した前走とは一転して最後方追走から鮮やかな差し切り勝ちを演じた。勝ちタイムは1分45秒3(良)。アタマ差の2着に4番人気シリウスコルト、さらに1馬身1/4差の3着に5番人気ヤマニンアドホックが入った。

前走から一転して最後方から差し切り勝ち

 手綱を取った田辺裕信騎手も「あそこまで後方から行くとは考えていなかった」と振り返った通り、道中は12頭立てのレースを最後方から追走する展開。2着に敗れた前走の白百合S(L)では、自身も先行してミナデオロの逃げ切りを許したが、今回は末脚を爆発させて勝利した。

 これが初騎乗だった田辺騎手は「今日のようなレースができれば、好位で運ばなくてもいい脚が使えると証明できましたし、レースの幅も広がったと思います」と、これからの活躍に期待するコメントを残している。

 その一方でオフトレイルの父ファーの名前が、ピンとこなかったファンも大勢いたはずである。

 というのも、唯一日本で走っているファーの産駒がオフトレイルだったからだ。オフトレイル自身もイギリス生まれの馬であり、日本に輸入された異色の経歴の持ち主。欧州で走っていた父だけに、日本のファンになじみが薄かったのも無理はない。

 現役時代のファーは欧州で10戦5勝の成績。芝のマイルから中距離を中心に走り、欧州最強マイラー・フランケルと2012年のサセックスS(G1)、英インターナショナルS(G1)で戦ったことがある。結果はそれぞれ6馬身差、7馬身差と力の差を見せつけられる完敗だったものの、相手はG1競走10勝を含む14戦14勝の無敗で引退した怪物。こればかりは相手が悪過ぎたというしかない。

 ファーがトップクラスの実力を持っていたことは、13年のロッキンジS(G1)と英チャンピオンS(G1)を優勝したことでも証明された。英チャンピオンSで2着に下した相手は後のG1・7勝馬シリュスデゼーグル、3着のルーラーオブザワールドは同年の英ダービー馬でもあった。

G1で勝利に導いたパートナーには不穏な噂も…

「現役時代のファーの主戦はL.デットーリ騎手でしたね。同騎手とは5戦でコンビを組みましたがG1を勝てないままコンビを解消しています。ただ、バトンを受け継いだS.デソウサ騎手とのコンビでG1を連勝しました。

さすがイギリスで3度のチャンピオンジョッキーに輝いた名手ですね。6月18日にアスコットで開催されたクイーンアンS(G1)でチャーリンを勝利へ導いたのもデソウサ騎手でした。ただデソウサ騎手といえば、過去に不穏な噂のあった騎手でもあります」(競馬記者)

 ちなみにどのような噂だったのかというと、昨年5月にデソウサ騎手と同じブラジル出身の騎手が馬券を買うのを手伝った事実を認め、香港ジョッキークラブ(HKJC)から10ヵ月間の騎乗停止処分を下されたことである。

 とはいえ、現在のファーにそんなことは知る由もない。代表産駒オフトレイルの今後の活躍次第では、注目の種牡馬として認知される未来もあるだろう。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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