
調教師も「満点」の好騎乗で武豊と並ぶ“8勝目” 6年目の夏男が見せた新境地

2日に福島競馬場で行われた3歳馬による名物ハンデ重賞・ラジオNIKKEI賞(G3)。勝ったのは3番人気のエルトンバローズ(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だった。
内目の枠から好スタートを決めて道中は3番手を先行すると、直線では2番手から進めたシルトホルンを捕えて一気に先頭へ。最後は鞍上・西村淳也騎手の投げキッスも出た会心の勝利で、キャリア7戦目にして重賞初挑戦初勝利を掴んだ。
同馬を管理する杉山晴師も、レース後は「状態がすごく良く、重賞に挑戦できるだけのデキにありました」とコンディションの良さに自信があったことを明かしつつ、「西村淳也騎手はとにかく福島が上手。今日はジョッキーに満点をあげたいと思います」と見事なエスコートを見せた23歳を称えた。
西村淳騎手はこの勝利が今年の42勝目となり、全国リーディング第9位と好調。重賞勝利も6月18日のマーメイドS(G3)以来で2カ月連続、早くも今年3勝目と充実のシーズンを過ごしている。
さらに今回のラジオNIKKEI賞やマーメイドSは対象レースではないにもかかわらず、この夏は函館スプリントS(G3)の2着と米子S(L)の優勝により、サマージョッキーズシリーズでも首位を快走中だ。
思えば昨年の同シリーズでも、優勝した浜中俊騎手が24ポイントに対し、わずか2ポイント差の3位タイと善戦を見せていた。
しかし、シリーズ最終戦となる京成杯オータムH(G3)では、サマーマイルシリーズのタイトル獲得の可能性があったベレヌスとともに挑むも5着と敗戦。人馬ともに栄冠には手が届かずという悔しい思い出も残っている。
収穫と苦い思い出を糧に、雪辱を期す2023年の夏。ここまで好調な西村淳騎手の歩みの中で、特に目立っているのが“メインレース”での活躍だ。
先週も福島メインの重賞を制覇したことにより、JRAの重賞は6月11日の函館SS(ジュビリーヘッド/2着)から6月18日のマーメイドS(ビッグリボン/1着)、そしてラジオNIKKEI賞(エルトンバローズ/1着)と騎乗機会3連続で連対を果たしている。
そこで重賞に限らず、今年の「第11R」に絞った各騎手の成績を出して見ると、西村淳騎手は【8-7-4-26/45】で勝率17.8%に連対率33.3%、複勝率も42.2%という優秀な成績を残していた。8勝はレジェンド・武豊騎手と並ぶ3位タイの好位置。その3位で並ぶ2名を含めた上位4名の成績は以下の通り。
▼2023年・JRA「11R」リーディング
1位 【14-4-9-15/42】 C.ルメール騎手
2位 【13-3-3-25/44】 川田将雅騎手
3位 【8-7-4-26/45】 西村淳也騎手
4位 【8-4-2-32/46】 武豊騎手
2強は今年すでに75勝以上を挙げ、全国リーディングの座を争っているC.ルメール騎手と川田将雅騎手となった。一方、西村淳騎手は全国リーディングでは9位でありながら3位タイにあたる8勝をマークし、2着の回数では武豊騎手をも上回っている。
しかも、騎乗馬の平均オッズはルメール騎手が「6.0倍」、川田騎手は「10.1倍」で武豊騎手も「20.1倍」であるのに対し、西村淳騎手は「29.6倍」と上位騎手とは騎乗馬の質が異なる中での奮闘という部分も強調材料と言える。
その証拠に単勝回収値は驚異の「336」、複勝回収値でも「137」だから、実は今年の中央競馬は場所を問わず“11Rの西村淳也を買えば儲かる”という状態となっているのだ。
ただの“夏男”ではなく、ここに来て輝きを放っている「(だいたい)15時30分の男」としての素質。培ってきた勝負強さを武器に、今年こそは“夏の王”に君臨することができるか。この夏は6年目・23歳の躍進に注目だ。
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