GJ > 競馬ニュース > 「英愛ダービー制覇」オーギュストロダンは凱旋門賞でも有力視…ディープインパクト「ラストクロップ」が突き付けた日本競馬の課題
NEW

「英愛ダービー制覇」オーギュストロダンは凱旋門賞でも有力視…ディープインパクト「ラストクロップ」が突き付けた日本競馬の課題

「英愛ダービー制覇」オーギュストロダンは凱旋門賞でも有力視…ディープインパクト「ラストクロップ」が突き付けた日本競馬の課題の画像1
競馬つらつらより

 2019年に天国へと旅立ったディープインパクト。現役時代のみならず、引退後に種牡馬となった以降も、多くの名馬たちを世に送り出してきた。

 そんな偉大な父のラストクロップは、世界でわずか12頭しかいない現3歳世代となる訳だが、日本調教馬ではなく欧州のアイルランドで育成されたオーギュストロダン(牡3、愛・A.オブライエン厩舎)が、英ダービー(G1)に続き愛ダービー(G1)も優勝したという朗報が舞い込んだ。

 この快挙によって国内外に名の知れ渡った本馬は、ブックメーカーによっては、29日に行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)や秋の凱旋門賞(仏G1)の前売りオッズでも急上昇。ネットの掲示板やSNSなどでは、日本のファンからも「ジャパンC(G1)に来てくれないかな」というリクエストも出ていた。

 競馬発祥の地であるイギリスの「The Derby」を制した馬の父が日本で生産されたディープインパクトの産駒という事実に驚きを隠せないものの、改めてディープインパクトの凄さを思い知らされた気もしている。

 その一方で、サクソンウォリアーやスノーフォールにオーギュストロダンなどのディープインパクト産駒が欧州でG1を勝つほどの活躍を見せたことについては、別の意味でも驚かされた。

 というのも、今や「日本競馬の悲願」とすらいわれるようになった凱旋門賞で、過去に挑戦したディープインパクト産駒が悉く苦戦を続けてきたからだ。

■凱旋門賞に出走したディープインパクト産駒

※カッコ()内は勝ち馬

2013年 キズナ4着(トレヴ)
2014年 ハープスター6着(トレヴ)
2016年 マカヒキ14着(ファウンド)
2017年 サトノダイヤモンド15着、サトノノブレス16着(エネイブル)
2019年 フィエールマン12着(ヴァルトガイスト)

 こういった苦い経験を重ねた結果、スピードと瞬発力を要求される日本の馬場で好走しやすいディープインパクト産駒に対し、パワーとスタミナ色の濃い欧州の馬場への適性を疑問視されるようになった。

 にもかかわらず、そのディープインパクト産駒であるオーギュストロダンが、本来なら鬼門となるはずの欧州競馬でダービーを2勝してしまった。母系が欧州血統の馬だったとしても、これには幼駒時代からの育成やオブライエン厩舎の調教技術も大きく関係していると言えそうだ。

 となると厳しい現実を突きつけられることになるのは日本の調教方法か。これまで凱旋門賞攻略のために適性や血統で試行錯誤していながら、日本のディープ産駒が克服できなかった欧州の馬場を欧州のディープ産駒が克服した事実は大きい。

 まさに「氏より育ち」といったオーギュストロダンの大活躍だが、今後の凱旋門賞対策の課題として見直しを迫られる事態にも繋がりそうだ。抜群の相性を見せたオルフェーヴルという例外はあれど、欧州での長期滞在から2着に入ったエルコンドルパサーのような戦略についても見直す必要が出てくるかもしれない。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

「英愛ダービー制覇」オーギュストロダンは凱旋門賞でも有力視…ディープインパクト「ラストクロップ」が突き付けた日本競馬の課題のページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

5:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
  2. 宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
  3. 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
  4. 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
  5. 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
  6. 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
  7. JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
  8. 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
  9. 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
  10. 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆