
「若手実力派」が高松宮記念に続く大金星! 今年の重賞勝ちはすべて穴馬、思い切りの良さとマッチした「4年ぶり」中京開催のカラクリ

4年ぶりに中京で開催された今年のCBC賞(G3)を7番人気の伏兵ジャスパークローネ(牡4、栗東・森秀行厩舎)で制したのは、デビュー5年目の団野大成騎手だ。
今年の重賞勝ちは、ステラリアとのコンビで制した4月の福島牝馬S(G3)に続く3勝目。自身初のG1勝利を遂げた高松宮記念(G1)と同舞台で、またしても若手実力派が存在感を発揮した。
「予想以上に楽に逃げることができました。マイペースで行けたのが一番良かったと思います」
会心の勝利をそう振り返った団野騎手だが、「調教に乗った時にも溜めて切れる感じでも無かったので、気分良く行かせた方がいいと思いました」と話していたように、戦前から思い描いた作戦もズバリ。思い切りの良さが前残りする馬場とマッチした。
ただ、近3年で逃げた馬が連勝中のCBC賞については、やはりコース替わりを気にするファンも少なからずいただろう。
2006年からハンデ戦のG3として開催されている同レースだが、逃げ切り勝ちを決めた馬は中京以外で開催された年ばかり。「中京のCBC賞」で逃げ馬が勝てないジンクスも存在していたのだ。
こうした逃げ馬苦戦の傾向もあった中、逃げ切ったジャスパークローネだけでなく、2着に入ったサンキューユウガも3番手からの粘り込み。トップハンデ58.5キロを背負わされた大本命マッドクールが好位から伸びを欠いたのは、斤量や状態の関係もありそうだが、後方待機勢には厳しい展開となった。
その一方、気になったのは中京コースの異常な前残りだ。雨の影響により、不良や重で開催された土曜中京から芝1200mのレースで2回、芝2000mのレースで1回と逃げ切り勝ちが多発。前残りの傾向は稍重から良に回復した日曜中京でも同様で、芝はCBC賞を含む6レース中4レースで逃げ切り勝ちが決まっていた。
特筆すべきはCBC賞のラップ構成である。団野騎手とジャスパークローネは前半3Fを33秒7で飛ばしているが、後半3Fも33秒5と失速するどころか、さらに加速して逃げ切っていた。逃げ馬にこれだけの末脚を使われては、差し追込み馬が成す術もなく敗れたのも仕方ない。
「春のG1開催でも顕著でしたが、主開催における馬場の回復力の早さは目を見張るものがあります。これには馬場造園課の尽力もあると思いますが、前日に重や不良になっても翌日に雨が降らなければ、すぐに良馬場まで回復しています。
先週末の中京にしても土曜は雨で不良まで悪化していましたが、日曜の昼には良馬場まで回復。おまけに開幕週の絶好馬場と、ジャスパークローネにとって絶好の条件が揃っていました。かといってそれを味方につけたのも団野騎手の好騎乗があってのもの。もし中途半端に控えていれば捕まった可能性もあります」(競馬記者)
また、現在のスプリント戦線で抜けた存在がいないことも、波乱の起きやすい背景となっているだろう。
グランアレグリアが2020年のスプリンターズS(G1)を1番人気に応えて勝利したのを最後にスプリントG1は荒れ放題。そういう意味でも主要ステップに出走する全馬にチャンスがあったといえる。
そうなると、より比重が大きくなるのは騎手。今年挙げた重賞3勝を7番人気(CBC賞・ジャスパークローネ)、8番人気(福島牝馬S・ステラリア)、12番人気(高松宮記念・ファストフォース)といった穴馬で制した団野騎手の実力はなかなかのもの。
全国区になってしまう前が高配当ゲットの狙いどきだけに、頼りになる穴騎手として覚えておいて損はなさそうだ。
PICK UP
Ranking
11:30更新「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 競馬場のはずが何故か「刑務所」に……”コワモテ”調教師の珍エピソード爆笑も、中には「本物のコワモテ」に目をつけられてしまった人も……
- お宝馬券がザクザク…2024年の荒れたレース、3連単とWIN5には夢がいっぱい
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- JRA戸田博文調教師「悪評」松若風馬蹴りだけじゃない「遺恨」
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
関連記事
ダービー馬近親「希望の星」が1番人気で大惨敗…新種牡馬レイデオロが初勝利またも持ち越し
D.レーン「将来は注目されるジョッキーに」2年目新人が武豊参戦の函館で大暴れ! 同期の今村聖奈、角田大河ら「失速」から大逆転の若武者
単勝1.8倍マッドクール「謎の58.5キロ」9着惨敗でスプリンターズS(G1)に黄色信号…「どうなんでしょう」事前に調教師も不満タラタラ
37年連続勝利の背景に「バンブーメモリー牧場」の徹底した”推し戦略”!? 爆速ビッグドリームが鮮やか6馬身差の大楽勝デビュー!
「ブロードアピールの再来」砂の超大物候補が異次元の豪脚でV! 祖母は重賞7勝の女傑「久々に衝撃を受けた」キズナ調教師も驚愕