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七夕賞「ターボエンジン全開!」でもツインターボじゃない方のターボ!? 平地騎手から総スカン…初勝利まで19戦が一世一代の大駆け

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 今週末9日は福島競馬場で伝統の重賞・七夕賞(G3、芝2000m)だ。織姫賞、彦星賞、天の川賞も同日に行われるので、年に一度の邂逅を現地で楽しもうかと思う。

 私の定番コースは東京駅八重洲口を23:50に出発する夜行バス「ドリーム福島号」に揺られ福島駅から電車で飯坂温泉に翌朝6:34着。松尾芭蕉も訪れた共同浴場「鯖湖湯」(入湯料200円)で長旅の疲れを癒して、まだ時間がある。

 いざ飯坂電車で折り返し福島駅から車で20分、秘湯・高湯温泉へ。「あったか湯」という共同浴場があるが(同250円)標高750mの大自然の山中に切り拓かれた大露天風呂は正真正銘の源泉かけ流し。ゆで卵の匂いがする日本有数の高濃度硫黄泉だが、初夏の山風に吹かれ体を沈めると、どんな病も治りそうな気がする。帰りは10:15のバスに乗れば、第4Rくらいには間に合う。温泉&競馬至福の旅を一度実践されてはいかがだろうか。

 おっと、七夕賞の話だった。今年で第59回を迎え、“白い美少女”ハクセツ、69戦13勝の豪傑ノボルトウコウ、芝ダート両G1制覇“の元祖二刀流”イーグルカフェらが優勝馬に名を連ねるが、1番人気は名馬百選にも選ばれた“みちのくの逃亡者”ツインターボで異論はない。

 しかし皆さま、その4年前に“もう一頭のターボ”がいたのはご存じか。その名はイダテンターボ。玉砕逃げ馬ツインターボとは血統も馬主も縁も所縁もないが1990年の七夕賞を勝利している。

 韋駄天の方の“ター坊”は平成元年4月に3歳(現表記)でデビュー。見どころなしの11着に敗れ、それからも3着を最高に泥沼13連敗。12月には未勝利戦の開催もなくなり1勝馬たちに挑み続け19戦目でやっと初勝利を手にする。

 鞍上は障害レースが主戦場の牧之瀬幸夫。レース中にどこへ飛んで行くかわからぬ気性の荒さから平地騎手にみな断られたらしい。そんなター坊は、福島で何とか2、3勝目を挙げ、格上挑戦となる第26回七夕賞に駒を進める。

 鞍上は全3勝をエスコートしてくれた牧之瀬。ハンデは軽量50キロ、15頭立て12番人気の気楽なター坊は、後方待機から最終コーナーで大外を回ると追い込みの“韋駄天ターボ”全開! 重賞勝ち馬で1番人気のタカラフラッシュをハナ差退け見事先頭でゴール。直線に織姫の幻影でも見たのか……? 不屈の彦星が生涯で最も輝いた瞬間であった。

 イダテンターボはこの後、重賞に挑み続けるも惨敗の繰り返し。4歳(現表記)の年末、33戦4勝で登録を抹消され、相棒の障害名手・牧之瀬にもこの七夕賞が最初で最後の平地重賞勝鞍となった。天の川に人知れず輝いた一番星として記憶されたい。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 ハンデ戦で難解なイメージが強いが、絶対的な東大式鉄則がある。「とにかく福島巧者を狙え」。前述イダテンターボは4勝中3勝が福島。本家のツインターボの方は七夕賞前年の福島・ラジオたんぱ賞(G3)で重賞初制覇。最近でもクレッシェンドラヴ(2020年)やゼーヴィント(2017年)ら枚挙に暇がない。

 ここは去年の福島・ラジオNIKKEI賞覇者、フェーングロッテンで連軸は固い。今年に入って重賞を3、2、2着。勝ち味に遅いが堅実無比。相手は休み明けでも5戦4勝、2着1回とパーフェクト連対のバトルボーン。2頭軸の3連単マルチで、「福島初見参のオープン実績馬」へ。東大式鉄則「ローカルでは格の違いがモノを言う」。去年覇者エヒトや2018年のメドウラークがそうだが、今年は8歳でもサンレイポケット、ガロアクリーク、セイウンハーデス、そしてエヒトへドカンと行こう!

 見事に大枚ゲットして、帰りは飯坂温泉に戻って大豪遊だ! 美しい織姫様と出会えるかも!? 翌朝は7:17の新幹線で会社には十分間に合うぜ!(一部敬称略)

尼崎昇

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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