水沼元輝「異例」9ヶ月間の騎乗停止…後輩を殴打に道路交通法違反、他の騎手も過去には重い処分
JRAは10日、競馬開催中の調整ルーム内にスマートフォンを持ち込んで使用したことにより、5月31日から騎乗停止となっている水沼元輝騎手に対し、来年2月28日まで9ヶ月間の騎乗停止処分とすることを発表した。
今年デビュー3年目の水沼騎手は3月2日から5月26日までの間、調整ルーム入室義務期間中にトレセンおよび競馬場の調整ルーム内に複数回に渡ってスマートフォンを持ち込み、ウェブサイト等の閲覧を継続的に行っていた。5月26日の東京競馬で騎乗の前日、美浦トレセンの調整ルーム内で他者と通話および通信を行ったことも判明したという。
JRAは以前から「ケースのみを預けるなど偽装工作があり、悪質性が高い」と説明し、重大な非行と判断していたが、結果的に騎乗停止期間は9ヶ月にも及ぶ異例の長さとなった。
また、中央競馬では過去にもジョッキーに対し、長期の騎乗停止処分が課せられた例が何件かある。
他の騎手も過去には重い処分
1999年には後藤浩輝元騎手が、美浦トレセン内の騎手寮において後輩の吉田豊騎手を呼び出し、木刀で殴打し怪我を負わせる事件を起こした。このときの後藤元騎手にはその後、4ヶ月間という騎乗停止処分が課せられることとなった。
2015年2月3日には、美浦に所属する大江原圭騎手が茨城県稲敷市で交通死亡事故を起こすと、同年6月に龍ヶ崎簡易裁判所で罰金刑に処される事例が発生。
これは日本中央競馬会競馬施行規程第147条第20号に該当することから、大江原圭騎手には事故翌日の2月4日から7月3日まで、5ヶ月間にわたる騎乗停止処分が言い渡されることとなった。
その2年後となる2017年2月には、昨年12月に現役を退いた松田大作元騎手が、京都府京都市内において道路交通法を違反(免許停止中の無免許運転及び速度超過)したことにより、同年3月、向日町簡易裁判所において罰金刑に処されることとなる。
こちらも大江原圭騎手のケースと同じく、日本中央競馬会競馬施行規定第147条第20号に該当したことで、松田元騎手には同年2月から半年間の騎乗停止が下った例もあった。
「近年でも昨年春に、若手騎手6名がスマートフォンの不適切使用により一斉に騎乗停止となる例も発生していましたが、処分の期間は1ヶ月でした。今回の水沼騎手のケースは確認できる範囲において、JRAで過去最長となる騎乗停止処分が課せられることとなってしまったようです」(競馬記者)
重い処分が言い渡された水沼騎手は10日、師匠の加藤和宏調教師とともに会見を行った。「自分の行動によって関係者やファンの皆様、多くの方に迷惑と信頼を失う行為をしてしまったと反省しております」と謝罪。自身の行動や考えなどを見つめ直す決意を語っていた。
やってしまったことはもう取り返しはつかないが、水沼騎手は21歳とまだ若い。しっかりと反省した上で心身ともに成長した姿で戻ってきてくれることに期待したい。
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