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イシノサンデー「皐月賞制覇」よりも大きな貢献。1996年初代ダート三冠を盛り上げた挑戦が2024年ダート革命へ至る【特別寄稿】

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ドゥラエレーデ
芝とダートの二刀流で有名なドゥラエレーデ 撮影:Ruriko.I

二刀流の先駆けイシノサンデーが死去

 今週、1996年の皐月賞(G1)を勝ったイシノサンデーが老衰のため亡くなったことが、公益社団法人日本軽種馬協会を通じてJRAから発表された。31歳の大往生だった。

 同じサンデーサイレンス産駒であるバブルガムフェロー、ダンスインザダーク、ロイヤルタッチと共に「サンデー四天王」として1996年の牡馬クラシック戦線を沸かせたイシノサンデー。皐月賞馬としての活躍が語り継がれている本馬だが、ここで取り上げたいのは「ダート競馬」への貢献である。

 JRAと地方競馬による交流元年と言われた1995年、これまで芝で敗れた馬たちが集う“2軍”のようなイメージだったダート競馬には、まさに革命が起きていた。地方競馬主催の重賞レースにJRA所属馬が参戦することで、ダート馬にも賞金を稼ぐ道が大きく開けたのだ。

 さらにその翌年、つまりはイシノサンデーが皐月賞馬になった1996年には、JRAのユニコーンS(G3)、大井競馬のスーパーダートダービー(当時重賞)、盛岡競馬のダービーグランプリ(当時重賞)からなる「ダート三冠」が誕生。

 その中心となるスーパーダートダービーに中央から参戦したのが、イシノサンデーだった。

 前年の皐月賞馬ジェニュインの天皇賞・秋(G1)挑戦が話題になった通り、当時はまだトップクラスの3歳馬はクラシック皆勤が当たり前の時代。そんな中、皐月賞馬が菊花賞(G1)に出走しないどころか、天皇賞・秋でもなく、まだ芝よりも格下に見られていたダートに参戦するというのだから、この選択がどれだけの話題を呼んだかは想像に難くないだろう。

 まだ産声を上げたばかりのダート三冠は、初年度から大きな注目を集めることとなったのだ。

 実はこの異例の決断には、陣営の明確な根拠に基づいた判断があった。この年の1月にジュニアC(OP)へ出走したイシノサンデーだったが、降雪のため急遽ダートでの開催へ変更に。陣営にとっても想定外の初ダートとなったが、本馬は5馬身差の圧勝を飾っていた。

 結果的にイシノサンデーはスーパーダートダービーこそ3着に敗れたが、ダービーグランプリを勝利して皐月賞馬の貫禄を示した。今でこそジオグリフやドゥラエレーデなど、若くして芝のG1を勝った馬がダートに参戦することは珍しくなくなったが、本馬はそんな馬たちの先駆者だった。

 イシノサンデーの極めて異例であり、かつ歴史的な挑戦から28年。かつてのダート三冠は消滅し、2024年は新たなダート三冠がJRA所属馬に解放された「ダート革命」の元年である。皐月賞、そしてダービーグランプリという“変則二冠”を達成したパイオニアは、その誕生を見届けるようにして生涯に幕を下ろした。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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