JRA 「競馬は社台・ノーザンだけじゃない!」 日高生産馬にこだわる頑な男
クラシックとは縁遠い短距離戦、地味なメンバー構成ということもあり、さほど注目されることもなかった8月4日の札幌競馬場 芝1,200mで行われた5Rの新馬戦で、アドレ(栗東・牡2歳)が、横山典弘騎手を背にして勝ち上がった。
横山典弘騎手がふわっとスタートを出すも、快速血統馬を相手についていくのがやっととも思える前半。だが、3〜4コーナーにかけてポジションを上げていったかと思うと、その勢いのまま直線では、3F34.4という他馬と1秒以上も違う末脚で、前残りを図る3頭をまとめてかわし、勝利した。レースタイムこそ、1:10.3と遅いものの、同日行われた全芝レースでの最速上がりが、12R 芝1,200m、HBC賞(1000万下)での、3F34.2であり、2歳新馬の同馬がそれについでの2番目の上がりタイムというのだから能力はかなりのもの。
レース後、「馬込みに入れることも意識して乗ったが、それで勝つのですから大したもの。父もよい馬でしたが、本馬も奥がありそうな良い馬」と大ベテランの横山典弘騎手がその能力を褒め立てた。
アドレは、日高の橋本牧場の生産。後に一口馬主クラブのユニオンオーナーズクラブにおいて、募集総額600万円という安価で募集された1頭。母ダッチェスドライヴはJRAで2戦して未勝利、産駒も中央ではまだ勝ち星すらない。同馬は3頭目の産駒で、その父は2011年の天皇賞春(G1)を勝って、海外挑戦を敢行、前哨戦のフォワ賞を2着して凱旋門賞にも出走したヒルノダムール。
そのヒルノダムールは、日高のアロースタッドで、2013年から種牡馬生活を始めるも初年度の種付け頭数は25頭、2014年24頭、2015年19頭、2016年15頭、2017年7頭とかなり少ない。その産駒は2016年からデビューするも中央戦では、2016年31戦0勝、2017年43戦1勝と活躍馬どころか、勝ち星すらまともに出せていないのが現状である。ある意味「日高の生産者の恩情」で種牡馬になったような馬だ。
そんな種牡馬成績の父から「もしかすると……」とも思える産駒が、新馬戦を快勝したのだ。
このアドレを管理するのは、アドレの父ヒルノダムールのトレーナーでもあった栗東の昆貢調教師である。ジョッキーとしては活躍することができなかった昆師だったが、2000年から調教師に転身、開業7年目の2006年にはローレルゲレイロで朝日フューチュリティS(G1)で2着すると、2008年には同馬で、東京新聞杯(G3)、阪急杯(G3)を勝利。そして同じ年に、NHKマイルカップ(G1)、日本ダービー(G1)勝ちという変則2冠馬ディープスカイを誕生させた。その後もヒルノダムール、ジャパンダートダービー(G1)勝馬のハタノヴァンクールと大舞台での活躍馬の輩出を始め、年間成績20勝、連対率2割とコンスタントな良績を収める。一見、数字だけで比較すると、同様の成績を収める調教師も少なくはない。が、それは良質な社台・ノーザンファーム生産馬の預託があってこそだ。
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