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ぼくらはあの頃、アツかった(22) 唐突に覚めた情熱。パチスロと人生はカバディに似ている。

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 ビジトジ。ご存知だろうか。人力舎所属の芸人が集って参加したお笑いプロジェクトをモチーフにした台である。パチンコとスロットでそれぞれリリースされていた。設定6の機械割は109%。マイホに4台ほど導入されていたので何度か打ったが、可もなく不可もなく──至って普通の台だった。

 仕事が休みの日に朝から晩までぶん回して4000枚ほど浮いた。どう考えても高設定である。最初はニコニコしながら打っていたが、途中で真顔になった。何かがおかしい。なんだかピンと来ない。ボーナスが揃う度。出玉が払い出される度に深刻な気分になった。

 パチスロに『飽きた』ことに気づいたのは、メダルを交換して居酒屋に行って家に帰ってからだった。

 それまで、寝ても覚めてもパチスロの事を考えていたのがウソのように、あまりホールに行かなくなった。
嫌いになったのではない。むしろまだ全然好きである。しかしその「好き」の形が変わったのだと思う。

 新台が出ればネットで仕様をチェックするし、チラシにホールのイベント情報が載っていればケータイにメモをとる。それらの習慣は今まで通り残り続けていた。ただ、それらの情報を確認するため、休日を心待ちにする事が無くなったのだ。

 生活の中心──背骨になる部分が失われた。

 パチスロの無い世界だ。それはとても空虚だった。

職場と自宅。あるいは学校と職場の往復。それだけが筆者の日常になった。

 パチスロに対する情熱を失って初めて、自分が本来典型的な無趣味人間である事に気づいた。このままではイカンと、筆者は色々な事に手を出した。セガのアーケードゲームである『三国志大戦』とか、あるいはネットゲームの『FF11』に無理くりハマった時期もある。

 あるいは何を思ったか友達とキャッチボールチームを結成したり、飲み屋で知り合った親父連中とビートルズのコピーバンドを結成してみたり。どれもそれなりに楽しかったが、パチスロの穴を完璧に埋めるまでには至らず。やがては、全て飽きてしまった。

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