テーオーロイヤル、ドゥレッツァの骨折も無関係ではない!? タイムトライアルのような京都の高速馬場…宝塚記念前の「怪時計連発」に懸念の声
ゴールデンウィーク後半に開催された先週末の中央競馬。ファンの多くはジャンタルマンタルとアスコリピチェーノの直接対決に沸いたNHKマイルC(G1)に興味津々だったと思われるが、京都競馬場で行われた芝のレースにも触れておきたい。
まず、土曜京都のメインは日本ダービー(G1)行きのチケットをかけた京都新聞杯(G2)が開催。8番人気の伏兵ジューンテイクが波乱を演出したこのレースは、2着ウエストナウが1コーナー手前で外側に逃避したことにより平地調教再審査、騎乗していた横山典弘騎手には5月18日の騎乗停止処分が下された。
こちらについては物見をした馬を制御しようがなかった鞍上に同情する声があった一方で、ネットの掲示板やSNSなどでは、日曜東京のNHKマイルCでアスコリピチェーノに騎乗したC.ルメール騎手の斜行の方が悪質ではないかという声も出た。JRAの公式見解は承知の上でも、事の重大さを鑑みれば、ファンから物言いがついても仕方のなかった事象にも映った。
レコード級タイムが多発した京都開催
その一方で、注目したいのはレースの勝ちタイムである。ジューンテイクは芝2200mを2分11秒2で走った訳だが、時計面においては宝塚記念(G1)と遜色ない速さ。3歳馬限定のG2で、京都と阪神の違いこそあれ昨年の宝塚記念を制したイクイノックスの2分11秒2と変わらなかったのだから、やはり速いという印象が拭えない。
そしてこの伏線を回収したのが日曜京都である。9Rの烏丸S(3勝クラス)を勝ったジューンアヲニヨシが芝2400mを2分22秒6で走り、メインレースの鞍馬S(OP)を勝ったジャスティンスカイは芝1200mを1分6秒9の怪時計で駆け抜けたのだ。
実際、先週末の京都コースは芝1600mですら、未勝利や条件クラスの馬が1分32秒台で走っており、過去10年のマイルCS(G1)で優勝した馬たちと変わらないタイム。先述したジューンアヲニヨシの2分22秒6は、サンエムエックスがマークした2000年のレコードとタイ、ジャスティンスカイは2014年にヘニーハウンドがマークした1分6秒7と0秒2の差でしかない。※すべて良馬場。
「阪神競馬場がスタンドリフレッシュ工事をしている関係で今年の宝塚記念が京都で行われるため、10週連続のロングラン開催が予定されているんですよね。そういったことを見越した上で良好な馬場状態の保持に注力していると思われますが、さすがにレコードと変わらないタイムが連発すると怖さを感じますね。
中山の皐月賞(G1)でも1分57秒1という異常に速いタイムが出ていましたし、春の開催は時計の出る高速馬場が目立ちます。レコードのインパクトは盛り上がりにも一役買いますが、ファンからすればタイムトライアルのような“超速馬場”で故障のリスクが増えるよりも、人馬が無事にレースを終えてくれることに意味があると思います」(競馬記者)
JRAがクッション値を公表して高速馬場と故障の因果関係に否定的なスタンスを採っていることは確かだが、レースを見ている側としてはどうしても勘繰ってしまう。タイミング的にも天皇賞・春(G1)で人気を二分したテーオーロイヤルとドゥレッツァが骨折していたことが分かったばかり。ただでさえ騎手の落馬や競走馬の故障が報じられている時期だけに、心配するなという方が難しいのかもしれない。
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