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「絶妙ラップ」でメジロパーマー以来32年ぶり快挙!成績不振&名伯楽からの卒業…ピンチをチャンスに変えた「花の35期生」新人王

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斎藤新騎手 撮影:Ruriko.I
斎藤新騎手 撮影:Ruriko.I

「花の35期生」の新人王・斎藤新騎手に復活の兆し

 岩田望来、菅原明良、団野大成―――。

 2019年に騎手デビューを果たした彼らは、時に「花の35期生」と呼ばれる黄金世代の面々だ。

 出世頭は通算454勝(以下6日現在)の岩田望騎手。2年目に早くも76勝を挙げ全国リーディングトップ10入り(9位)を果たすと、その後も6位→6位→4位と順調に成長を遂げている。近い将来に川田将雅騎手やC.ルメール騎手とリーディング争いを演じることも期待されているほどだ。

 296勝の菅原明騎手はトップ10入りこそ果たせていないが、通算重賞勝利数は岩田望騎手と並ぶ9勝。時に穴馬で腹の据わった騎乗を見せ、高配当をもたらすことも珍しくない。

 239勝の団野大成騎手は同期で唯一のG1ジョッキー。昨年3月の高松宮記念をファストフォースで制し、その後も順調に勝ち鞍を重ねている。

 そして勝ち鞍の数で3人に続くのが通算191勝の斎藤新騎手だ。実は1年目に42勝を挙げ、最多勝利新人騎手の栄誉を授かったのが斎藤騎手だった。

 2年目の7月にはラブカンプーに跨ってCBC賞(G3)を勝利。同期一番乗りで重賞制覇を遂げたのもまた斎藤騎手である。

 ところが、2年目以降は年間30勝台と安定はしているものの、1年目の42勝を超えることができず。昨年は自己ワーストの32勝に終わってしまった。今年に入ってからはさらに成績を落とし、1月と2月に1勝ずつと出だしで躓いてしまった。

 そんな斎藤騎手に追い打ちをかけたのが3月上旬。デビュー時から所属していた安田隆行厩舎の解散である。斎藤騎手はフリーとなって再スタートを切ることを強いられたのだ。

 名伯楽の元を巣立ち、騎乗数減少の可能性もあった斎藤騎手。しかし、そんな逆境をチャンスに変え、3月は騎乗数を大幅に増やし、同時に成績も右肩上がりになった。

「3月6日にフリーとなった時点で今年わずか3勝だった斎藤騎手ですが、その後の2か月間で重賞2勝を含む10勝をマークしています。3月には7番人気ヴァルツァーシャルでマーチS(G3)を差し切り。そして5日の新潟大賞典(G3)は、同じく7番人気のヤマニンサルバムで逃げ切り勝ちを収めました。

特に後者は大外枠から58kgを背負ってのもので、非常に価値が高いと思います。実戦で初コンビだったにもかかわらず、鞍上の巧みなレース運びが光りましたね」(競馬誌ライター)

絶妙なペース配分が呼んだハナ差の勝利

 5日の新潟大賞典で斎藤騎手とヤマニンサルバムは好発を決めると、内の馬の出方を見ながら序盤は2番手を追走。しかしスローペースになると見るや、600mを過ぎたところでデビッドバローズを交わしてハナに立った。3ハロン目から12秒3-12秒3-12秒4-12秒4と測ったようなラップを刻むと、そのまま4コーナーへ。

 新潟外回りの長い直線。斎藤騎手は残り600m地点から11秒3-11秒0と一気にギアを上げ逃げ込み態勢に入った。

 残り200mを切ったところで外からキングズパレスが豪脚を繰り出して一完歩ずつ詰め寄る。しかし、ヤマニンサルバムも斎藤騎手の右ムチに応えて必死に抵抗。最後は2頭が全く並んでゴール板を駆け抜けたが、ハナの差で前に出ていたのがヤマニンサルバムだった。ラスト1ハロンこそ12秒1と脚色がやや鈍ったが、最後まで交わさせなかったのは、鞍上のペース配分が絶妙だったからに他ならない。

「前々走の中日新聞杯を勝ったように、力があることはわかっていました。(中略)ヤマニンサルバムの力を出して、上手くエスコートできれば勝ち切れるのではないかと、自信をもって臨みました」

 レース後、斎藤騎手は重賞2勝目を挙げた愛馬の底力をそう評した。また、管理する中村直也調教師は「ジョッキーには、ゲートを出た感じで臨機応変に競馬をしてほしいと話していました。向正面を走っていて2番手にいた時、力んでいたので、無理に抑えるより前に行ったのが結果的に良かったです」と、鞍上の好判断に舌を巻いている。

 ちなみに新潟で開催された新潟大賞典を逃げ切ったのは1992年のメジロパーマー以来の出来事。同馬はその1か月後に宝塚記念(G1)、暮れには有馬記念(G1)を勝利し、春秋グランプリ制覇を達成している。

 32年の時を経て、斎藤騎手とヤマニンサルバムは令和の名逃亡者と呼ばれるような出世街道を歩むことになるのか。今後の大目標は得意の左回り2000mで行われる天皇賞・秋(G1)が濃厚となりそうだが、斎藤騎手とともに5歳馬の更なる成長にも期待したい。

GJ 編集部

GJ 編集部

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