「負けたのは本当に僕のせい。勝ち運のなさです」武豊を経た再コンビで惜敗…150連敗以上でも穴党から絶大な支持、「持っていた」斎藤新と分かれた明暗
先週末の高松宮記念(G1)は6番人気の伏兵マッドクールが悲願のG1初制覇。同日の裏開催となったマーチS(G3)も7番人気ヴァルツァーシャルが勝利し、中京も中山もそろって波乱の結末となった。
お手馬とのコンビ復活を最高の形で締めくくった坂井瑠星騎手が、通算5度目のJRA・G1を勝利した一方で、ヴァルツァーシャルに重賞初制覇をもたらした斎藤新騎手は、今回が初コンビ。当初はお手馬のアサカラキングとのコンビで高松宮記念出走を狙っていたものの、パートナーが賞金不足で出走が絶望的なことが分かり、裏開催で嬉しい誤算といえる勝利を掴んだ。
「アサカラキングが出られるようなら、ヴァルツァーシャル陣営に不義理を働いてでも乗るつもりだったようですが、除外が濃厚と分かってそのまま中山で騎乗することになりました。結果的に阪急杯(G3)でハナ差の2着に負けたことが致命傷となりましたが、今回の勝利でヴァルツァーシャルの主戦騎手になれる可能性も高まりました。
アサカラキングに関しては、父である斎藤誠厩舎の管理馬ですから、おそらく今後のコンビ続行は問題ないでしょう。お手馬に重賞やG1を狙える候補がいると騎手のモチベーションも上がってくる相乗効果も期待できます。奇しくもマーチSの1番人気ブライアンセンスはお父さんの管理馬だったのですが、息子の重賞勝ちの喜びの方が勝ったかもしれませんね(笑)」(競馬記者)
そんな斎藤騎手に対し、勝ち運に見放されているのが木幡巧也騎手だ。デビューから4戦でコンビを組んでいたミトノオーだが、5戦目の兵庫CS(G2)からオーナーサイドの希望で武豊騎手へ乗り替わり。元主戦に手綱が戻ってきたのも実に1年ぶりのことだった。
レースでも持ち前の先行力を生かした積極的な競馬で勝利まであと一歩の2着。最終コーナーを先頭で回って押し切るかに思えたが、最後は鬼脚を披露したヴァルツァーシャルの軍門に下った。
とはいえ、近2走で粘りを欠く競馬だっただけに、ミトノオーらしさを見せた走りは完全復活を予感させる内容。ジャパンダートダービー(G1)で先着を許した同世代のキリンジにリベンジを果たしており、次走での勝ち負けを期待できそうだ。
ただ、当の木幡巧騎手は悔しさでいっぱいだった様子。表向きのコメントでは「運がなかった」と振り返っていたが、記者の話によると実際は「負けたのは本当に僕のせい。勝ち運のなさです」と自虐気味に言い切っていたという。
150連敗以上でも穴党から絶大な支持
その言葉の背景には自身が現在150連敗以上を喫している上に今年まだ1勝もしていないことも含まれているのだろう。実際、昨年12月23日の勝利を最後に勝ち星に見放されている状況が続いており、本人も胸中は複雑のはず。そんな折にかつてのお手馬に騎乗する機会が巡ってきたのだから、負けてしまったこと以上に自分の不甲斐なさに腹が立ったともいえそうだ。
ただ、毎年コンスタントに20勝前後を挙げる騎乗技術は確かなモノがあり、厩舎関係者の木幡巧騎手への信頼は厚い。連敗中の2着も7回あったように歯車さえ噛み合えば、流れに乗れそうな雰囲気もある。
ときにはアッと驚くような穴馬を馬券圏内に導いて単勝万馬券を出すなど、穴党から絶大な支持を集めている。ミトノオーで見せた強気な騎乗が続くようなら、連敗ストップは時間の問題かもしれない。
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