「逃げ恥」どころか「逃げ勝ち」だった武豊騎手の2016年。かつての「溜め殺し」代表騎手が晩年に花咲かせた新たな才能 ~2016年プレイバック3~
今年は特に数多くのテレビドラマの明暗が大きく分かれた一年だったように思えるが、最大の勝ち組はおそらく好視聴率を保ち話題を独占した、本日20日に大団円を迎える『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)ではないだろうか。
だが、こと今年の競馬に関しては「逃げるは恥」どころか「逃げるは勝つ」といえるほど逃げ馬が強い一年だった印象がある。そして、その中心にいたのは間違いなく競馬界のレジェンド・武豊騎手だったはずだ。
そこで今回のプレイバックはこの2016年、逃げに逃げまくった武豊騎手の騎乗を振り返りたい。
武豊騎手が「逃げ」でJRAのG1を制したのは、実は今年が初めて
現在、前人未踏のJRA・G1競走71勝という金字塔を築き上げている武豊騎手。その大きな特徴は「4番人気以上でしか勝利がない」こと、そして「逃げて切った勝利がない」ことだった。
このような特殊な傾向が出たのは、紛れもなく「武豊騎手だからこそ」といえる。
武豊騎手だからこそ人気馬に乗る機会が多く、かつ騎乗馬が必要以上に人気し、武豊騎手だからこそ大舞台で逃げの奇襲も裏目に出てしまう。つまるところ何かと「目立ち過ぎること」が要因なのではないだろうか。
無論、他にも様々な外的要因が重なっているが、武豊騎手自身の要因としては概ねそんなところだろう。
だからこそ、9番人気のエイシンヒカリで鮮やかな逃げ切りを決めた昨年の香港Cは、武豊騎手の名声が特別に轟かない海外だからこその勝利だったといえる。
その一方で、あえて目に見える外的要因を挙げるのであれば、それは逃げ馬が圧倒的に強い「平坦」な「ダート」のG1がJRAに存在しないことが挙げられるのではないだろうか。
実際に「平坦」な「ダート」が主流のアメリカでは逃げ、先行馬が圧倒的に強く、だからこそレース前半からハイペースで展開されるレースが多い。そして、同じく日本の地方競馬では、武豊騎手も交流G1で6勝したスマートファルコンを始め、数多くの逃げ切り勝ちを収めている。
ただその一方で中央競馬では、なかなかG1を逃げ切ることができなかった武豊騎手。武豊騎手の逃げ馬といえば、稀代の快速馬サイレンススズカがあまりに有名だが、本馬が宝塚記念を逃げ切った時、武豊騎手は前年の年度代表馬エアグルーヴに騎乗していた。
その後の天皇賞・秋では武豊騎手にとって、非常に辛い結果が待っていたように「縁」にも恵まれなかったということだ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- 羽田盃(G1)8頭立てに中央競馬と地方競馬の「温度差」浮彫り…3歳No.1フォーエバーヤング不在でも「敵前逃亡」続々、ダート革命に早くも失速の危機
- NHKマイルCに「史上最高メンバー」集結!? 2歳女王アスコリピチェーノVS2歳王者ジャンタルマンタルに加え「あの大物」参戦も…役割を終えたマル外ダービーに脚光
- 目を掛けた愛弟子の「造反」に師匠がブチ切れ!? 今村聖奈、角田大河の謹慎中に存在感発揮も…安田記念前に師弟関係で遺恨勃発か
- 横山武史「乗り替わり」の無念を晴らす重賞勝利に会心ガッツポーズ! 初のメイン勝ちなど大暴れ「妹弟子」の活躍も刺激に?
- 「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
- スキルヴィングの非業の死から1年…懸念される青葉賞(G2)の超高速化と歴代最速馬の悲劇
- 【天皇賞・春(G1)】馬券圏内100%の激走で5万馬券的中!? 四位洋文が福永祐一に授けた「金言」とは… 11番人気2着スティッフェリオにあった鉄板級の法則
- 「ニューヒロイン候補」小林美駒が見せた著しい成長!リーディング争いに敗れても勝負強さでベテランを圧倒…女性騎手戦線に「新時代到来」の予感
- UAE競馬史上「最強」のジョッキーが短期免許で日本初参戦! ステレンボッシュ、シックスペンスの名門も「いい馬を用意している」
- 須貝尚介厩舎「重賞50連敗」ゴールドシップ、ソダシら手掛けた名門が苦戦…相次いだ誤算と見えてきた光明
関連記事
武豊も警戒か……「STOP THE キタサンブラック!?」に巨大牧場が送り出す「刺客」が!?
武豊騎手と田中将大投手が本格対談!「今でも夢に見る」ディープインパクトとの凱旋門賞敗戦の借りを返すのは、やはりあの馬?
武豊騎手「一度はコンプリートしておきたい」JRA全G1制覇の大偉業に向けて心中を告白!来年大阪杯のG1昇格前の「ラストチャンス」に勝負をかける!
武豊の「悪夢」が抽選突破!『JRA全G1制覇』が懸かる天才騎手が「最も警戒すべき」は怪物の娘ではなく「空気が読めない」あの男!?
武豊騎手「衰えゆく競馬の象徴」を競馬界はどう活かすのか。2016年はその「モデルケース」となった一年 ~2016年競馬界プレイバック2~