JRA社台グループも諦めた? 北海道の競馬関係者が嘆く「札幌記念G2→G1昇格」は、もはや夢物語か
例年豪華メンバーが揃うことで有名な今週開催の札幌記念だが、その存在意義は関係者によって温度差があるようだ。というのも、この札幌記念を札幌競馬唯一のG1レースへ昇格させたい北海道の競馬関係者と、それにあまり前向きではないJRA(日本中央競馬会)に「考え」の相違があるという。
社台グループなど生産者を中心とした札幌競馬場の競馬関係者や一般社団法人札幌馬主協会は、かなり前から札幌記念をG1に昇格させるべく尽力してきた。北海道初のG1レース誕生となれば、セレクトセールと並ぶ夏の北海道競馬に関するビッグイベントとなりうるもので、関係者が力を入れるのも当然であろう。
もともと競馬の国際基準でG2からG1への昇格には、レースレーティングが過去3年で平均115、そして直近年(現時点では2019年が該当)のレースレーティング115以上が必要となっている。昨年の札幌記念のレースレーティングは118.75と高く、過去3年の平均も116を超えているので条件はクリアしている。
このレースレーティングとは、上位4着までに入線した馬の公式レーティングの平均値を表したもの。つまり基本的にはレーティングが高い実績馬が多数出走し、それらの馬が上位に入線すればレースレーティングが上がる仕組みとなっている。逆に実績のない格下馬が好走して波乱になれば、結果としてレースレーティングは下がってしまう。
ちなみにJRAのG2レースでもっとも高いレーティング(過去3年の平均値)を記録しているのは、札幌記念ではなく神戸新聞杯の117.0。次に毎日王冠116.92、中山記念116.67、そして4番目に札幌記念116.08となっている。
菊花賞トライアルである神戸新聞杯のレースレーティングが、実はG1の菊花賞116.25よりも高いというのは皮肉だが、神戸新聞杯の優勝馬ワグネリアンやサートゥルナーリアが菊花賞を回避したことが要因で、これも時代の流れというべきものか。
話を札幌記念に戻すが、札幌記念のレースレーティングを上げるためには、レースのレベルを上げる必要がある。そのために必要なのは、レーティングの高いG1馬を多く揃え、それらを上位に好走させることが必要だ。
そのため特に社台グループや関係者は、この札幌記念に多くの実績馬を出走させてきた経緯がある。ここ3年の主な出走馬とレースレーティングを見てみよう。
2017年 レーティング113.25
1着サクラアンプルール
2着ナリタハリケーン
3着ヤマカツエース
4着サウンズオブアース
その他
エアスピネル
※クイーンエリザベス2世カップ(G1)勝ち、2016年優勝馬ネオリアリズムが直前で回避
2018年 レーティング116.25
1着サングレーザー
2着マカヒキ
3着モズカッチャン
4着サウンズオブアース
その他
サクラアンプルール
ネオリアリズム
2019年 レーティング118.75
1着ブラストワンピース
2着サングレーザー
3着フィエールマン
4着ワグネリアン
その他
ペルシアンナイト
サクラアンプルール
ネオリアリズムが直前で回避し、レースレベルが一気に落ちてしまった2017年のレースレーティングは低かったが、2018年と2019年はG1馬が揃ってハイレベルだった。そしてこれだけの実績馬を揃えた効果もあり、札幌記念のレースレーティングは大幅にアップ。2019年だけで見てみると、
札幌記念 118.75
天皇賞(春) 117.25
大阪杯 117.50
ジャパンカップ 118.00
マイルチャンピオンシップ 117.50
など古馬のマイル~中距離路線のG1レースと比較しても上位だったのである。しかしこれほどの状況にあっても、JRAは札幌記念のG1レース昇格に前向きではないという。
その理由は……
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