JRA武豊「盟友」キーファーズに強敵出現!? 「ビジネス」でもライバル馬主が英ダービー1番人気をクールモアと共同所有
「まさか、凱旋門賞(G1)を勝負服を着ないで観戦することになるとは想像もしていませんでした」
昨年の凱旋門賞にジャパン(牡5歳、愛・A.オブライエン厩舎)で参戦予定だった武豊騎手。コロナ禍にもかかわらず渡航を決断し、9度目の挑戦で悲願達成を目論んでいた。
だが、オブライエン厩舎の飼料から禁止薬物のジルパテロールが検出され、尿検査を行ったところ陽性が判明。無念の出走取り消しとなり、レースに参戦することが叶わなかった。
武豊騎手が手綱を取る予定だったジャパンは、昨年の4着馬ということで優勝してもおかしくない存在である。また、世界的名門厩舎の管理馬に騎乗するとなれば、日本人騎手初の出来事となるだけに注目を集めた。
このお膳立てに一役買ったのが、キーファーズの松島正昭代表だ。
「武豊騎手で凱旋門賞を勝つ」を目標に掲げており、熱烈な武豊ファンとして有名な松島代表。元々、ジャパンの所有者は世界的に競馬界の最大勢力であるクールモアグループだったが、キーファーズが所有権を購入して共同所有することになった。
契約には「凱旋門賞は武豊騎手で」というリクエスト付き。そのおかげで武豊騎手はジャパンに騎乗する予定となっていたのだ。
まさかの出走取り消しに松島オーナーは「ここでめげず、今後とも夢に向かい邁進致しますので、あたたかく見守って頂けますようよろしくお願い申し上げます」と、夢に向けて再び強い決意を見せた。
クールモアと共同所有契約を結んだことで、日本の競馬界に衝撃を与えたキーファーズだが、世界ではそれを超える一大勢力が台頭しようとしている。
18日、海外ブックメーカーのオッズで英ダービー(G1)の1番人気ハイデフィニション、英オークス(G1)の1番人気サンタバーバラの所有権をクールモアからヴェステールベルフ社が取得したと『netkeiba.com』が報じた。
取得した権利はハイデフィニションが12.5%、サンタバーバラーが25%で、共同所有の形式となる。
クールモアから世界的な有力馬の一部権利を購入したヴェステールベルフ社はゲオルク・フォン・オペル氏の競馬組織だ。オペル氏はドイツの自動車メーカー・OPEL社の創設者であるアダム・オペル氏のひ孫にあたり、18年に競走馬を所有して以降、クールモアとの関係性を深めている。すでに20年の独オークス(G1)を制しており、今後はさらにビッグタイトルを獲得していくことになりそうだ。
ジャパンの全妹をクールモアと共同所有するなど、キーファーズにとって脅威の存在とも言えるだろう。実は、自動車という点でもキーファーズとも共通点があり、ライバル関係にありそうだ。
松島オーナーが代表を務める株式会社マツシマホールディングスは、京都を中心にディーラーを展開中。国産車であるMAZDA、SUZUKIのほかにも、Mercedes-Benz、Volkswagen、Audi、BMWなど外国車の取り扱いもある。だが、OPELを傘下に収めるグループPSA(Peugeot、CITROEN)は扱っておらず、競馬においても、ビジネスにおいても、宿敵と言えるかもしれない。
ドイツの強敵が競馬界で勢力を急拡大しているが、キーファーズもそれに負けじと夢へ前進していくだろう。
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