JRA コントレイル「最弱三冠馬」のレッテル回避へ崖っぷちのラスト2戦……天皇賞・秋、ジャパンCで示したい最後の威厳

昨年、史上3頭目の無敗の三冠馬に輝いたコントレイル(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)が、年内で現役を退くことが判明した。
コントレイルがラストシーズンに選んだレースは、31日に行われる天皇賞・秋(G1)と来月28日に行われるジャパンC(G1)の2戦。年末のグランプリである有馬記念(G1)には出走しない方針となった。
管理する矢作師は「秋は2戦に全力投球して、やめたいと思います」と、秋2戦へ向けて意気込みを語っている。目前に控えている天皇賞・秋について「負けられない気持ちでいます」と、自信を見せた。
この矢作師の発言を受けて、「そう言うのも無理はないでしょう」と、話すのは競馬記者だ。
「戦後の日本競馬ではコントレイルを含めて、これまで7頭の三冠馬がいます。そしてコントレイルを除いた6頭が三冠達成した後も、レースを勝利した経験があります」(競馬記者)
戦前唯一の三冠馬で菊花賞(G1)を勝利して引退したセントライトを除き、戦後の三冠馬は三冠を達成してからも現役を続けている。そして、総じて古馬でも1勝以上を挙げている。
国内G1を制し、日本代表として世界に挑戦したシンボリルドルフ、ディープインパクト、オルフェーヴルを始め、ナリタブライアンは菊花賞の後に有馬記念・阪神大賞典(G2)と連勝。その後、故障によって低迷期に入ったが翌年の阪神大賞典でマヤノトップガンに競り勝ち、三冠馬の“意地”を見せている。
また日本競馬史上初の三冠馬対決で敗れたことや、他の三冠馬に比べて成績が見劣りしていることから「最弱」の三冠馬とも揶揄されることのあるミスターシービーでさえ、4歳秋に天皇賞・秋を制している。
「仮にコントレイルが今秋1勝もできず引退となったら、三冠後に1勝もできないままターフを去ることになります。
そうなれば、古馬になって天皇賞を勝ったミスターシービー以下と評価する人も出てくるでしょうし、女王アーモンドアイが去った今年、競馬界の中心に君臨すると信じていた多くのファンがガッカリすることは明らか。心無い一部のファンから、史上“最弱”の三冠馬と揶揄されても仕方ないかもしれません」(同)
三冠競走は自分が生まれた世代の馬だけが相手だが、三冠競走が終われば世代を問わず戦うことになる。期待が大きい反面、未勝利が続けば「同世代でしか勝てない」や「世代弁慶」というレッテルを貼られても仕方がないだろう。
「コントレイルは父であるディープインパクトが他界したばかりなので、有力な後継種牡馬を残したいという陣営の思いもあるでしょう。
天皇賞・秋はグランアレグリア、エフフォーリアといった強豪馬が出走を表明しており、一筋縄ではいかないと思います。ただ、コントレイルには『三冠馬の名に恥じないレースを』と思っているのがファンの総意なのではないでしょうか」(同)
崖っぷちに立たされているコントレイルだが、まずは矢作師が最適距離と考えている2000mの天皇賞・秋で三冠馬の“意地”を見せてくれるか注目したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
PICK UP
Ranking
11:30更新
JRA 武豊は信頼度抜群!? 一球入魂ならぬ「一鞍入魂」の信頼度は本当か。川田将雅、横山典弘などトップジョッキーにみる「1日1鞍」限定の“勝負駆け”を探る!
JRA有馬記念(G1)「伝説の逃走劇」はキタサンブラックでも、ダイワスカーレットでもなく、あの馬!? 前走4馬身圧勝から狙うレジェンドの再現
アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?- JRA調教師の目標は「餌やり」からの卒業!? 競馬界の「影の王」ノーザンファーム外厩大成功に存在意義ズタズタ……
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 東京競馬場に約20万人が殺到!? 朝6時からの大行列、怒号飛び交う陣取り合戦、そして…競馬が最も熱い時代、歴代最多入場者を記録した当時の記憶
- 今の競馬ファンは「ハズレ馬券」を投げ捨てない? 競馬場から姿を消した「敗者の断末魔」と感情のままに宙を舞い続けた「ハズレ馬券」の現在
- 武豊騎手「パドック意味なし」発言に仰天……馬券購入セオリー「完全否定」のトップ騎手たちが語るパドック必勝法とは
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 巷に出回る川田将雅「長距離苦手説」をデータで検証、阪神大賞典(G2)で気になる「13年未勝利」の課題…リーディングジョッキーの意外な過去
関連記事

JRA「ダービー馬候補」コマンドラインはコントレイル2世となれるか!? G1馬の登竜門サウジアラビアRC(G3)、優勝馬が抱えていた共通の「不安」とは

JRA福永祐一「疎遠」が意味するものは……シャフリヤール、コントレイルという現実と、最愛シーザリオの忘れ形見の行方

JRA 「武豊×ノースヒルズ」も“キズナ”は深まらない!? コントレイルと同じ「秋競馬2週目デビュー」期待馬トゥデイイズザデイに圧し掛かる不安点とは

「コントレイル世代」は既に死語!? かつての“脇役”ディープボンドが凱旋門賞(G1)前哨戦勝利、主役が「とんずら」で立場逆転か

スノーフォール「神話崩壊」が意味するものとは? 凱旋門賞(G1)前哨戦でエルコンドルパサーを彷彿させる逃げ切り、コントレイルの「影武者」が勢力図に一石
















