JRA大阪杯(G1)エフフォーリアを襲う2つの「最悪データ」…父エピファネイアも屈した「血の宿命」に抗うことはできるのか!?
3日、阪神競馬場では大阪杯(G1)が行われる。いよいよ春の中長距離G1戦線が幕を開ける。いわゆる「古馬王道」路線の第1戦とあって、今年も錚々たるメンバーが名を連ねている。
中でも最大の注目はやはり昨年の年度代表馬エフフォーリア(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)である。昨年は日本ダービー(G1)こそシャフリヤールの2着に敗れたが、秋はコントレイル、グランアレグリア、クロノジェネシスといった年上の超一流馬たちを次々と撃破。皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念とG1・3勝を挙げ、「現役最強」の座に君臨した。
抜群の操縦性、安定して好位につける先行力を持つセンスの良さ、鞍上はパートナーを完全に手の内に入れている若武者・横山武史騎手と、エフフォーリアが崩れる要素は全く見当たらない。さらに宿命のライバル・シャフリヤールはドバイ遠征のため不在。ジャックドールとの「2強対決」と言われることもあるが、実のところはエフフォーリアの「1強」状態である。
勝利に向けて「死角無し」と思われるエフフォーリアだが、血統面を分析すると、2つの大きな不安材料が浮かび上がった。
1つ目の懸念は、エピファネイア産駒に早熟傾向が存在することである。産駒の全成績を年齢別にみると、勝率・複勝率ともに年を重ねるごとに低下していることは気になる。2歳時の複勝率が31.1%であるのに対して、5歳時の複勝率は10.0%にとどまっているのだ。
実績馬を見ても、デアリングタクト、シーズンズギフト、アリストテレス、オーソクレースなど、2~3歳時は活躍をしたものの、古馬になってから思うように結果を残せていない馬が多い。
エピファネイアの母シーザリオは日米のオークス(G1)を制した名牝であるが、怪我に泣き3歳での引退を余儀なくされている。また、エピファネイアは古馬になってジャパンカップ(G1)を制しているが、これ以外の古馬G1で好走はできなかった。
数字の落ち込みからも、こうした「早熟傾向」が産駒に伝わっているのは否定できないだろう。産駒の傾向を考えると、エフフォーリアも他人事ではないかもしれない。
2つ目の懸念は、大阪杯は父サンデー系の馬が圧倒的に優勢である点だ。G2時代を含む過去10年の大阪杯の勝ち馬は全て父がサンデー系。加えて過去10年で3着以内に入った馬30頭のうち、12頭はディープインパクト産駒であり、最多の5勝を挙げている。父方にサンデー系の血を持たず、ディープインパクトの血も内包していないエフフォーリアにとっては苦しいデータといえるだろう。
実は2014年の大阪杯(当時G2)には、父・エピファネイアも出走していた。この時は単勝1.9倍の圧倒的な支持を裏切る3着に敗れている。
そして、このときエピファネイアに先着したキズナ、トウカイパラダイスの2頭はいずれも父方にサンデー系の血を持っていた。
今年の大阪杯で最大のライバルと目されるジャックドールは非サンデー系のモーリス産駒のため、条件から外れているものの、レイパパレ、アカイイト、ヒシイグアスといった強敵は、それぞれ父方にサンデー系の血を引いており、脅威になり得る存在だ。
果たしてエフフォーリアは父・エピファネイアも苦しんだ「血の宿命」に抗い、2つの「最悪データ」を覆すことができるのか。古馬としての初陣に注目である。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
PICK UP
Ranking
5:30更新- 田辺裕信「痛恨ミス」に降板を期待する声も浮上?超大物馬主が「何やってんだよー」のご立腹…一石投じたファンとのやり取りに注目集まる
- 「G1馬5頭」でも盛り上がりを欠く今年の大阪杯…ドウデュース、リバティアイランド登場も国内は閑古鳥…いよいよ「最弱世代」疑惑は確信レベル?
- C.ルメール「12戦全敗」で連覇に審議ランプ点灯?ライバル川田将雅は7勝の猛チャージ…ドバイワールドカップデーで注目の直接対決
- 大阪杯は最強5歳世代に注目!イクイノックス、ドウデュース、アスクビクターモア、ジャスティンパレスを【完封】したジオグリフに復活の予感!
- 【大阪杯】ノーザンファームの「締め出し作戦」が大成功?フルゲート16頭に11頭の大攻勢…「幻の1番人気候補」が無念の門前払い
- 皐月賞馬サートゥルナーリア×桜花賞馬ハープスターで「シーザリオ×ベガ」の超名牝系タッグ! 2024年新種牡馬筆頭は「第二のスワーヴリチャード」を許さない?
- ダービー「当確級」の逸材が皐月賞参戦!過去にキズナ、シャフリヤールらが条件クリア、浜中俊VS坂井瑠星の「第2ラウンド」も勃発?
- 「競馬の神様」は実に意地悪だ!キャプテン渡辺のWIN5あるある…「これだけはやめてね」という相手が異常な確率で来る問題【徒然なる神のくず競馬トーク】
- 【大阪杯】エフフォーリア、タイトルホルダー引退でも最強世代に存在感!1週前追い切りから豪快リハ…酒井学ステラヴェローチェに絶好チャンス
- 【ドバイターフ(G1)展望】武豊×ドウデュース「凱旋門賞制覇の夢」に向けて仕切り直し!ロードノースの4連覇を阻んで“夢”実現へ
関連記事
JRA大阪杯(G1)福永祐一「責任転嫁」でファンから集中砲火!? エフフォーリア父が敗れた8年前、武豊との「二強対決」に待ち受けていた屈辱
JRA 大阪杯(G1)「代打の神様」池添謙一が再び炸裂!? 「去年の秋より良くなっています」負傷の“弟”の分まで結果を出せるか
JRA大阪杯(G1)「匂わせ発言」ジャックドールが伏線回収!? 前走は騙されたという声も…… 陣営「このままでは難しい」有言実行の条件整うならここ
JRA 大阪杯(G1)“父兄参観”とナメてかかるのは危険!? 「今までで一番」G1初挑戦のキングオブコージ陣営から強気な声が連発
JRA 大阪杯(G1)ジャックドールに「主導権争い」ライバル登場!? タッグ時の先行確率は「100%」、アフリカンゴールド以上に手強いコンビとは