JRA武豊の「GWスケジュール」にブラック企業も真っ青!? 「騎手はムチ1本でどこでも」全国津々浦々……53歳「鉄人」の1週間
世間はゴールデンウィークの真っ只中だ。今年は天候にも恵まれ、新型コロナウイルスによる制限もほぼ解除。中には2日(月)と6日(金)も休みを取って、合計10連休という羨ましい人もいるようだが、当然そんなのお構いなしに仕事をしている人間もいる。筆者もその1人だ。
どこどこが大渋滞だの、どこどこが大盛況だの……この時期ならではの景気のいいニュースに、思わず目を背けたくなる人もいるだろう。だが、そんな時は長年競馬界を牽引し続けている武豊騎手の活躍に注目してみるのもいいかもしれない。
騎手業を「ムチ1本でどこでもできる仕事」と認識している今年53歳のレジェンドジョッキー。キャリア35年でJRA通算は4346勝、騎乗回数は23465回(いずれも3日現在)に上る。海外遠征にも精力的で、すでに16か国で騎乗するなど、まさに自身の格言をそのまま体現している存在だ。
そんな武豊騎手だが、このゴールデンウィークも鉄人ぶりを遺憾なく発揮している。
ハード過ぎる武豊騎手の「GW」スケジュール
ゴールデンウィークの幕開けとなった先月29日に、関西から東京都の東京競馬場へ移動している武豊騎手。そのまま翌30日は東京で騎乗すると、5月1日には天皇賞・春(G1)が開催された兵庫県の阪神競馬場にその姿があった。
ここまでなら普通のジョッキー(騎手は元々がハードな職業)だが、その2日後の3日はかきつばた記念(G3)に騎乗するために愛知県の名古屋競馬場へ。わずか1分20秒程度のレースに全力を尽くす(2着)と、翌日4日は兵庫チャンピオンシップ(G2)に騎乗するために兵庫県の園田競馬場へ移動しなければならない。
また、さらに翌日の5日はかしわ記念(G1)に騎乗するために千葉県の船橋競馬場へ。ちなみに4日、5日は週末の出走馬の追い切りが滋賀県の栗東トレセンで行われる。
そんなこんなで7日から開催となる中央競馬では、東京競馬場にて土日騎乗。ジョッキーはレース開催の前日までに競馬場の調整ルームに移動しなければならない。G1のNHKマイルCでは、サイバーエージェントの藤田晋オーナーの有力馬ジャングロに騎乗する見込みだ。
これらを簡単にまとめると以下の通りである。
日付 騎乗する場所 主なレース
4/30(土)東京競馬場 青葉賞(G2)
5/1(日) 阪神競馬場 天皇賞・春(G1)
5/3(火) 名古屋競馬場 かきつばた記念(G3)
5/4(水) 園田競馬場 兵庫チャンピオンシップ(G2)
5/5(木) 船橋競馬場 かしわ記念(G1)
5/7(土) 東京競馬場 プリンシパルS(L)
5/8(日) 東京競馬場 NHKマイルC(G1)
世間のブラック企業も、ハードワーカーも真っ青の働きぶりである。移動距離だけを換算しても、一体どれくらいになるのだろうか。ゴールデンウィークなど一切関係といった働きぶり……いや、全国で競馬が開催されるゴールデンウィークのような大型連休こそ、武豊騎手のようなジョッキーにとっては稼ぎ時なのだろう。
これでただ“仕事”をするだけでなく「結果」も残してしまうのが武豊騎手が「武豊」たる所以なのだろう。繰り返しになるが、この人は53歳だ。
世間では、ゴールデンウィークも仕事に支配された人々が大勢いることだろう。ただ、その大方は同じ場所に通って、同じようなことをするだけだ。皆、様々な事情があると思われるし、言いたいことも多々あるだろうが、そんな時は黙ってレジェンドジョッキーの背中を見よう。愚痴っているのがバカらしくなったのは、筆者だけではないはずだ。
皆さん、頑張りましょう!
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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