JRA単勝1.9倍「幻の桜花賞馬」が痛恨の敗戦……川田将雅×中内田充正厩舎「黄金コンビ」に続く秋華賞(G1)制覇の試練
「黄金コンビ」の秋華賞(G1)制覇が、またしても一歩遠のいたのかもしれない……。
2日、小倉競馬場で行われた8Rの1勝クラスは秋山真一郎騎手の5番人気アメリカンスターが優勝。重賞初挑戦となった前走のクイーンC(G3)ではブービー負けを喫したものの、2走前に初勝利を決めた舞台で再び輝きを取り戻した。
「幻の桜花賞馬」が痛恨の敗戦…
その一方、単勝1.9倍の断然人気に推されながらも痛恨の2着に敗れたのが、川田将雅騎手のサンクフィーユ(牝3、栗東・中内田充正厩舎)だ。デビュー勝ちから久々となる良血馬の復帰戦に注目が集まったが、秋の大舞台を見据えた一戦は思わぬ結果となった。
10頭立ての芝1800mで行われた牝馬限定戦。6枠6番から無難にスタートを切ったサンクフィーユは道中を中団外目の4番手で追走。前半1000m通過タイム58秒3のミドルペースのなか、4コーナーでは早くも鞍上が懸命に追い出すも手応えがあまり良くない。
そのまま最後の直線に入り、先に抜け出していたアメリカンスターを必死に追いかけるも、その差は中々縮まらず。結局ゴールまでじわじわと詰め寄ったものの、最終的に2着確保が精一杯だった。
「うーん、周囲の期待も大きかっただけに残念な結果となりました。母のキャトルフィーユは現役時代に札幌芝1800mのクイーンS(G3)をレコード勝ちしていますし、距離的には問題なかったと思います。
ですが、サンクフィーユにとっては初の長距離輸送でしたし、この時期の暑さや大幅な馬体減も影響があったかもしれません。勝ったアメリカンスターと2着だったサンクフィーユは共に4か月ほどの休み明けでしたが、前者がプラス16キロだったのに対し後者はマイナス22キロ。ここまでの馬体減は陣営にとっても大きな誤算だったのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
思い返せば、同馬のデビューは今年3月の阪神芝1600m戦だった。当時は現3歳世代の新馬戦がすでに終了していたため、未勝利戦で既走馬たちが相手だったものの、最後の直線では内から鮮やかに抜け出し快勝。勝ち時計の1分33秒3は、同日に行われたチューリップ賞(G2)で勝ち馬ナミュールがマークした時計にコンマ1秒と迫る好タイムだった。
また、この時2着に負かしたハギノモーリスが先月2勝目を挙げるなど、破った相手にも決して不足はなく、ネット上の掲示板では「幻の桜花賞馬」と囁かれたほどの逸材である。久々の復帰戦でこれだけ人気を背負うのも納得がいく。
川田騎手と中内田厩舎のコンビで有力な3歳牝馬といえば、他にもアートハウスがいる。オークス(G1)では自身の手綱で桜花賞(G1)を制したスターズオンアースではなく、忘れな草賞(L)を勝ったアートハウスに跨った川田騎手。しかし結果はご存じの通り、スターズオンアースが牝馬2冠を達成した一方で、アートハウスは7着と明暗がくっきり分かれた。
秋華賞はまさに川田騎手がアートハウスの母パールコードに騎乗して2着に敗れた舞台だけに、最後の一冠に懸ける思いは強いはず。
それでも仮にアートハウスが順調さを欠いた場合、同じ中内田厩舎にサンクフィーユがいたことは鞍上にとっても心強かっただろう。桜花賞やオークスには間に合わなかったものの、秋はローズS(G2)経由で秋華賞出走が理想的な流れだっただけに、今回は手痛い黒星と言わざるを得ない。
これまでもダノンプレミアムとグレナディアガーズで朝日杯FS(G1)を、ダノンファンタジーで阪神JF(G1)を制すなど、2歳のG1では無類の強さを誇る黄金コンビも、クラシックではいまだ結果を残せていない。
最終的に川田騎手が秋華賞でどの馬に乗るかは定かではないが、黄金コンビの試練の道はまだ続きそうだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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