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JRA『ウマ娘』で掴んだ新規ファン流出か。「競馬バブル」崩壊の危機、盛り上がるはずの秋競馬が一転…売り上げが軒並み減少

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撮影:Ruriko.I

 本格的に秋競馬のシーズンを迎え、来るG1戦線へ向けて盛り上がりも増す一方の競馬界…と言いたいところだが、重賞レースにおける馬券の売り上げを見ると不穏な空気を感じてしまう。

 以下は秋競馬が始まった先々週、そして先週に行われた重賞5レースにおける馬券の売り上げと前年比である。

紫苑S(G3) 35億8880万8500円(前年比17%減)
京成杯オータムH(G3) 54億1334万5400円(19%減)
セントウルS(G2) 55億945万9800円(14%減)
ローズS (G2) 67億9782万6400円(6%減)
セントライト記念(G2) 75億5508万6700円(6%減)

 このように、いずれの重賞に関しても売り上げが前年と比べて減少していることが分かる。中でも紫苑Sや京成杯オータムHといったG3レースでは減少幅が大きく、それぞれ2割近く売り上げが落ち込んでしまっている。

 近年はインターネット投票の普及やコロナ禍の巣ごもり需要の影響が追い風となり、公営競技全般で売り上げが増加傾向にあった。中でも代表格ともいえる競馬は「家でも気軽に楽しめる娯楽」として脚光を浴びていた面があり、大きな盛り上がりを見せていた。

 だが最近は“巣ごもり”から一転して“withコロナ”の取り組みが進んでいる。世間は徐々にコロナ禍から日常へと戻りつつあり、今年は各種イベントなどが感染症対策との両立を図りながら開催されるケースも増えている。

 こうした流れを考えれば、休日は外出して様々な娯楽を楽しむ人が増えているのは間違いない。“巣ごもり”を楽しむツールとして競馬に出会ったライトなファン層から「家で競馬を楽しむ」という習慣が薄れていくことは十分に考えられる。

『ウマ娘』で掴んだ新規ファン流出か…

 また、コロナ禍に加えて近年の競馬ブームに火をつける大きな要因となったのが、大人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)の存在である。

 リリース当初から大きな話題を呼び、その盛り上がりは社会現象と言える程であった。『ウマ娘』をきっかけに競馬を始めたというファンも数多く存在し、JRAが長年にわたり試行錯誤を繰り返してきた「新規ファン・若年層ファンの獲得」に貢献してみせた。

 だがこの『ウマ娘』も既にリリースから1年半が経過しており、未だに根強い人気があるものの、当初の勢いが落ち着きつつあることは否めない。

 特にソーシャルゲームは次から次へと新たなコンテンツが生まれる移り変わりが激しい市場であり、既に『ウマ娘』から他のゲームへと興味が移っているユーザーも多いはずだ。こうしたユーザーが『ウマ娘』から離れるとともに、競馬への関心も薄れていくことは避けられないだろう。

 近年の競馬ブームに火をつけた「巣ごもり需要」と『ウマ娘』、この2つがそれぞれ落ち着きを見せていることで、ライト層が徐々に離れていると考えられる。こうした背景を踏まえれば、重賞レースの売り上げが減少傾向にあることにも納得がいく。

 だが一方で、この秋競馬での売り上げの減少についてはファン離れとは別の部分に要因が存在するのかもしれない。先述の重賞5レースの昨年と今年の出走頭数を比較すると、以下のようになる。

紫苑S  (昨年)18頭→(今年)12頭
京成杯オータムH 16頭→13頭
セントウルS  17頭→13頭
ローズS  18頭→14頭
セントライト記念 14頭→13頭

 このように、各レースともに昨年から出走頭数が減少している。特に上の4レースは出走頭数が大きく減少し、それに伴って売り上げも15%~20%程度減少しているが、一方で出走頭数が大きく変化していないセントライト記念は売上減少率も6%と微小な数字に留まっている。

 一般的に出走頭数が減少すると最大オッズも減少し、必然的に馬券を購入する妙味も薄れてしまう面がある。こうした点を踏まえれば決して競馬人気が薄れたわけでは無く、偶然にも少頭数のレースが続いたことが各レースの売り上げ減少に影響しているとも捉えることができるだろう。

 G1へ向けて盛り上がるはずが一転、現状では重賞レースの売り上げが下火となってしまっている秋競馬。はたして近年の「競馬バブル」は崩壊してしまったのか、ライトなファンを繋ぎとめることはできているのか。来る秋のG1戦線の売り上げを見れば、答えが見えてくるはずだ。

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