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福永祐一「伝説」これまでの記録、達成間近の記録とは?

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福永祐一騎手

■衝撃のニュースだった

 既報のとおりJRAに所属するトップジョッキー福永祐一騎手が調教師試験に合格。来年2月をもって騎手を引退し、調教師になることが発表された。

 武豊騎手が53歳、横山典弘騎手は54歳、対して福永騎手は46歳になったばかり。ただ、調教師として大成するためには、早い時期からの“転職”が理想的だ。

 そんな福永騎手を騎手として見られるのは、来年2月まで。ファンとしても華麗な手綱捌きを目に焼き付けておきたいところだ。

 今回は福永騎手がどんな騎手か、これまでどのような実績を残してきたのか。そして、今年の残りのG1レース、朝日杯FS、有馬記念、ホープフルSの騎乗馬と展望についてもまとめてみた。

■「天才」の血を受け継ぐ者

 福永騎手は周知の通り、天才騎手としてJRAで数々のレースを勝利した福永洋一氏を父に持ち、親戚にも多くの調教師や騎手が並ぶ競馬一家に育った。騎手のデビューは1996年。北橋修二厩舎に所属し、初騎乗で初勝利を挙げるという快挙を達成。さらに続くレースでも勝利を収め、史上2人目のデビュー2連勝という快挙を成し遂げる。その年は年間53勝を達成し、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞した。

 1997年には地方交流重賞エンプレス杯(G2)で重賞初制覇。さらに11月の東京スポーツ杯3歳S(G3当時)でキングヘイローに騎乗し、JRA重賞初制覇。翌1998年には皐月賞(G1)に騎乗し2着、そして日本ダービー(G1)に騎乗する。ただし本人が「頭が真っ白になった」と語っていたように、日本ダービーはコントロール不能の逃げとなり大敗。その騎乗内容には、ファンやマスコミから心ない言葉が浴びせられた。

 しかしそういった逆境を乗り越え、1999年には桜花賞(G1)をプリモディーネで制し、JRAのG1を初勝利。その後も2001年にエイシンプレストンで香港マイル(G1)、2005年にはシーザリオでアメリカンオークス(G1)とデビュー6年目で海外のG1を勝利。またジャスタウェイで制した2014年のドバイデューティーフリー(G1)は、世界に衝撃を与える圧勝劇であった。

 待望の日本ダービーは2018年にワグネリアンで初制覇とすると、2020年にコントレイル、2021年にシャフリヤールと立て続けに勝利。これまで勝利した重賞は196勝。JRAは全160勝で、そのうちG1は34勝。デビュー2年目に重賞を勝利し、その重賞連続勝利は今も途切れていない。

 さらに2010年から2021年まで12年連続で100勝以上を記録するなど、通算勝利数はJRAが2615勝、地方77勝、海外5勝の合計2697勝。今年も12月11日の時点で98勝となっており、13年連続100勝はほぼ確実な状況である。

 また優秀騎手賞は2002年から各部門合計21回も受賞。落馬による左腎臓摘出手術やアメリカ遠征、元フジテレビアナウンサーの松尾翠と結婚するなどさまざまな経験を経て、トップジョッキーの地位を確立した。

 一方でここまで勝利していないJRAの芝G1は大阪杯、ヴィクトリアマイル、宝塚記念、マイルCS、有馬記念の5レース。有馬記念以外のレースは騎乗ができないため、完全制覇は不可能。しかし来週末に行われる有馬記念を勝利すれば、JRA八大競走(桜花賞・皐月賞・オークス・日本ダービー・菊花賞・天皇賞春と秋・有馬記念)をすべて制することになる。最後のチャンスとなるため、本人も力が入っているかもしれない。

 今後注目されるのは、来年2月までにどんな記録を達成できるか。幾つか挙げれば、まずあと3勝でJRA地方海外合わせて2700勝となる。またあと98回の騎乗で JRA地方海外合わせて2万回騎乗という区切りになる。いずれも引退までに達成可能な数字と思われるだけに、ぜひとも注目したい。

■コントレイルとノースヒルズ

 福永騎手を語る上で忘れてはならない名馬は何頭もいる。エイシンプレストン、ラインクラフト、シーザリオ、エピファネイア、ジャスタウェイ、ワグネリアン…。しかし近年ではやはりコントレイルだろう。無敗の三冠馬であり、令和を代表する名馬である。そしてコントレイルを生産したノースヒルズと、オーナーである前田晋二氏や前田幸治氏との繋がりも大きい。先週のカペラS(G3)を勝利したリメイクも、ノースヒルズの生産馬で前田幸治氏の所有馬であった。

 ちなみに今年、福永騎手が前田晋二氏の馬に騎乗した場合、5戦3勝で勝率60%。また前田幸治氏の騎乗馬は10戦5勝で、こちらも勝率50%と破格の数字となっている。つまりノースヒルズの前田オーナーにとって福永騎手は、絶対的な勝負ジョッキーなのである。

■朝日杯FS、有馬記念にチャンスあり?

 これは今週末に行われる朝日杯FSのティニアにも言えること。同馬はノースヒルズの生産馬で前田幸治氏の所有馬。前走は2着だったが、上がり最速の脚で勝ち馬と差のない競馬だった。ここで福永騎手がカペラSに続く相性の良さを見せても決して不思議ではない。

 また有馬記念のボルドグフーシュもチャンスは十分。前走の菊花賞(G1)2着から乗り替わりになるが、現在6戦連続で上がり最速を記録。菊花賞は勝ち馬と同タイムの2着となっており、イクイノックスに次ぐ3歳馬の中心的存在である。

 またホープフルSに騎乗するファントムシーフは、デビューから2戦2勝で底を見せておらず、福永騎手も高評価。コントレイルに続くホープフルS制覇となるか、こちらも期待である。

 2022年の競馬はさまざまな出来事があったが、福永騎手のニュースですべてが吹っ飛んだ感さえある。その福永騎手が残り2ヶ月半となった騎手生活でどんな成績を残すか、そして区切りとなる記録を達成できるか注目したい。

仙谷コウタ

仙谷コウタ

初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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