
「世界一の息子」に託す宝塚記念制覇、“キタサンブラック黄金時代”の幕開け迫る

2023年も折り返し地点が近づき、25日には阪神競馬場で上半期の総決算・宝塚記念(G1)が行われる。
昨秋から今春にかけて大舞台で主役を張ってきた精鋭たちが阪神・芝2200mに集う頂上決戦。何と言っても注目を集めるのは、ファン投票1位でこの舞台に臨むイクイノックス(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)だろう。
昨年の有馬記念(G1)を制し、史上16頭目の有馬記念と宝塚記念のグランプリ両制覇に挑む現役最強馬。今年は3月にドバイシーマクラシック(G1)を完勝して海外G1初制覇を成し遂げ、昨年の天皇賞・秋(G1)から続くG1の連勝を3に伸ばしている。
特に前走の圧勝ぶりは世界に衝撃を与え、4月13日にIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表された最新の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」では129ポンドを獲得した。これは世界の並み居る強豪を抑えて単独トップに君臨する高評価であり、今回のレースは押しも押されもせぬ“世界No.1ホース”としての凱旋レースとなる。

本馬の父とは今をときめくキタサンブラック。自身が昨年のJRA年度代表馬に輝いてその価値を高めただけでなく、今年は3歳世代にソールオリエンスという新星が登場した。
新馬戦から無傷の3連勝で皐月賞(G1)を制し、産駒初のクラシック制覇を成し遂げた逸材は、続く日本ダービー(G1)では惜しくもクビ差の2着に敗れたものの、2年続けて牡馬の大物を輩出したインパクトから、近未来のリーディングサイアー候補として大きな注目を集めている。
特にこの2020年代は大種牡馬・ディープインパクトが去った直後ということもあり、“ポスト・ディープ”の座に就くのがどの馬になるのか、生産界でも新たな戦いの火蓋が切られたばかりだった。
そんな中で存在感を発揮するキタサンブラックについては、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏が『週刊Gallop』が手掛ける雑誌『丸ごとPOG』の取材において「われわれの中ではキタサンブラックが頭ひとつ抜けたかなと思っています」と語ったことが大きな話題を呼んだ。
“キタサンブラック黄金時代”の幕開け迫る
その言葉の通り、イクイノックスをはじめとする大物の出現によって年々キタサンブラックを種付けする繁殖牝馬の質も向上しており、今年3月には海外を含めてG1を計9勝した歴史的名牝・アーモンドアイがキタサンブラックの仔を受胎したことが発表された。父母あわせて「16冠ベイビー」が来春にも誕生予定だという。
7月10日から2日間にわたって行われるセレクトセール2023でも大きな注目を集めることは確実。そんな空前の“キタサンブラックフィーバー”の波は、キタサンブラックの産駒だけではなく兄弟にも波及している。
この時期になると活発になってくるのは、一口馬主クラブの動向。募集馬ラインナップの発表や、早いところでは出資馬の申し込みスタートだが、クラブ法人「ユニオン・オーナーズ・クラブ」の2023年度1歳馬募集の目玉として打ち出されたのが、“キタサンブラックの弟”だった。
「シュガーハートの2022」は、その1頭だけで特設サイトが作られるほどの熱の入りよう。父には2017年のダービー馬・レイデオロを迎え、兄とよく似た流星を持つ1歳牡馬の募集価格は同クラブ過去最高額となる1億円。一口10万円で計1000口での募集が決まった。こうした強気な展開を可能にしたのも、競馬界に吹き荒れる“キタサンブラック旋風”があってのことだろう。
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