
ジャパンダートダービー「前半力んで掛かった」武豊ミトノオーはラスト150mでパタリ、道中“玉砕マーク”岩田望来は最下位惨敗……

12日、大井競馬場で行われたジャパンダートダービー(G1、以下JDD)は地元の雄ミックファイア(牡3歳、大井・渡辺和雄厩舎)が1番人気に応えて優勝。デビューからの連勝を「6」に伸ばし、見事に南関東の三冠馬に輝いた。
「もう最高ですし、もう今は言葉が見つかりません」
勝利ジョッキーインタビューでそう答えたのは鞍上を務めた御神本訓史騎手だ。
「今日のJRAのメンバーは、本当に超一流の馬が来ていたと思っていますし、そこをこの強い競馬で勝ち切ってくれたということは今後につながる光がかなり見えてきたと思う」とJRAの一線級相手に演じた2馬身半の快勝劇に終始興奮を隠しきれない様子だった。
御神本騎手とミックファイアが快挙を成し遂げた一方で、3着に敗れたのは武豊騎手とのコンビでG1初制覇に挑んだミトノオー(牡3歳、美浦・牧光二厩舎)である。
前走・兵庫チャンピオンシップ(G2)で6馬身差をつけるワンサイド勝ちを収めたミトノオーをファンは3番人気に支持。いつものようにハナを切ることが予想されていた。ゲートでは五分のスタートとなったが、武騎手が軽く促すと内枠勢を制し、先頭で1コーナーを通過していった。
ところが「前半力んで、掛かってしまった」という鞍上の言葉通り、レース序盤は掛かり気味。1ハロン目から3ハロン目までが全て11秒台というハイラップを刻んだ。
実際に前半600m通過タイムの34秒9は過去10年で最速。それでも、「ペースは悪くないと思いました」という武騎手の言葉から、想定通りのペースだったといえるだろう。
武騎手は4コーナー手前で2番手以下を引き離しにかかると、最後の直線を向いたときはそのまま粘り込む手応えに見えた。しかし、残り150mでパタリと脚が止まり、外から急襲したミックファイアに残り100m過ぎに交わされると、最後はキリンジにもクビ差交わされての3着。武騎手は「(前半に)力んだ分最後にスタミナが無くなりました」と敗因を分析した。
「ミックファイアには離されましたが、ペースを考えれば大健闘といっていいでしょう。前後半の3ハロンが34秒9-39秒4なので、4秒5の前傾ラップ。そんなハイペースで逃げれば最後に脚が上がるのは必然の結果です。
また、武騎手はレース前半に力んだことを敗因に挙げていましたが、2番手を追走した馬に突っつかれたのも最後の失速につながったように思います。道中もう少し楽な逃げになっていれば、もうひと踏ん張りできていたかもしれません」(競馬誌ライター)
3ハロン目まで11秒台を刻んだ異例のハイラップ。武騎手は4ハロン目から12秒8-12秒5-12秒3に緩めることに成功した。ところが、この区間で2番手から絡んで行ったのが、逃げ候補の1頭だったテーオーリカード(牡3歳、栗東・高柳大輔厩舎)である。

「逃げられたら行こうと思ったが出足が良くなくて番手に切り替えた」
レース後、『スポーツ報知』の取材にそう答えたのはテーオーリカードの鞍上を務めた岩田望来騎手だ。コメント通り、テーオーリカードはスタートが今一つだったため、1周目のゴール前ではミトノオーを先に行かせる形になった。しかし、ハナを奪うことに未練もあったのか、1コーナーから2コーナーにかけて逃げたミトノオーにプレッシャーをかけるような形となった。
「武騎手とすれば、レース中盤にもう少しペースを落ち着かせたかったはず。しかし、テーオーリカードにやや絡まれる形となったため、数字(ラップ)以上の消耗があったように思います。岩田望騎手の道中の“玉砕マーク”がなければ2着を確保していてもおかしくなかったと思います」(同)
大井にミックファイアという“怪物”が現れた一戦で、ハイペースを演出したJRA勢は、共倒れという残念な結果に終わった。それでもミトノオーが3着に粘ったことは高く評価すべきだろう。
一方の岩田望騎手とテーオーリカードは勝負所で徐々に後退すると、勝ち馬から大きく離れての入線。結局、ミックファイアから4秒8差の最下位11着に沈んだ。
来年から“ジャパンダートクラシック”に生まれ変わる最後のJDD。JRA勢にとってはやや悔いの残る一戦となったかもしれない。
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