M.ミシェル「悲願」JRA通年免許のカギは成績!? 今年わずか5勝…理想についてこない現実
「JRAの騎手になるのは私の夢です――」
かつて「美人すぎるジョッキー」として話題になったフランス人女性騎手M.ミシェルが、今年もJRA通年騎手免許試験を受験することが話題になっている。
2019年のWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)で日本初参戦を果たし「日本に恋をしました」と日本の競馬に惚れ込んだミシェル騎手。その後も積極的にJRA参戦を試みるものの新型コロナウイルスの関係などもあって実現せず。昨年は1次試験(筆記試験)で不合格となってしまったが、再び日本の地に降り立った際は大粒の涙を流して喜んでいた。
来日が叶わない中でも、自身のSNSなどを通じて“日本愛”を発信し続けていたミシェル騎手だけに、今回の挑戦を応援するファンも少なくない。現在は日本語を猛勉強するなど試験対策に励んでおり、“二度目の正直”に期待する声も大きい。ミシェル騎手のJRA通年参加が決まれば、さらに競馬界が盛り上がることは間違いないだろう。
ただ、それでも記者はミシェル騎手のJRA入りは「厳しいかもしれない」と話す。
「ミシェル騎手が今年も受験してくれることは、日本の一競馬ファンとしても嬉しいですし、過去にはM.デムーロ騎手が2度目の受験でJRA入りを果たしています。ただ外国人のJRA所属騎手の誕生は、そのデムーロ騎手とC.ルメール騎手が最後。JRA史上2人しかいませんし、あれが2015年ですから、もう8年も2人が“最初で最後”になっています。
特に2018年に香港No.1のJ.モレイラ騎手が受験したときは合格確実とさえ言われていただけに、不合格になった際は本人も涙をこらえきれない様子だったとか……。
試験が簡単でないことはもちろんですが、外国人にとって最大の壁になる日本語が本格的に求められるのは2次試験から(1次試験は英語での受験が可能)。にもかかわらず、1次を突破することさえできない背景には『JRAの意向が絡んでいるのでは』と指摘する識者も少なくありません」(競馬記者)
JRAにとって新たな外国人ジョッキーに通年免許を発行することは、日本競馬のグローバル化はもちろん、レベルの高い騎手が参戦することで日本競馬や関係者のレベル向上に繋がるなどのメリットがある。
だがその一方、腕利きの外国人ジョッキーに有力馬が集中することで煽りを受けるのは既存の日本人ジョッキーたちだ。
昨年、キャリア初のリーディングに輝いた川田将雅騎手が、かつてデムーロ騎手とルメール騎手の通年参戦が決まった際、「黒船」に例えたのは有名な話。実際に川田騎手の初リーディングは、3年連続でルメール騎手に次ぐ2位という悔しさを味わった後だった。
短期免許であればまだしも通年になると、その影響がますます大きくなることは想像に難くない。前出の記者もモレイラ騎手の不合格には「強すぎる影響力が考慮されたのでは」と考えられていたようで、外国人ジョッキーの通年免許については「JRAが慎重な姿勢を見せている」とのことだ。
また、別の記者はここ最近のミシェル騎手の成績がネックになる可能性を指摘している。
「現在、主に北米で騎乗しているミシェル騎手ですが、その成績は決して褒められたものではないようです。JRAも推奨しているEQUIBASE(エクイベース)によると、2023シーズンにおけるミシェル騎手の成績は、わずか5勝(29日現在)。ちなみにリーディング1位のI.オルティスJr.騎手は238勝です。昨年も7勝に終わっていることを鑑みても、低迷していると言わざるを得ません」(同)
JRAが短期免許の条件に各国のリーディング上位騎手であることを盛り込んでいるように、外国人ジョッキーに門戸を開くメリットの1つに日本の競馬関係者のレベル向上が期待されている以上、JRAで騎乗する外国人ジョッキーには極めて高いスキルが求められている。通年免許であれば、なおさらだろう。
だが、ここ2年のミシェル騎手の成績は残念ながらトップジョッキーとは言えないもの。試験対策に重きを置いている影響と取れなくもないが、JRAがどう判断するのかは「微妙」と言わざるを得ないようだ。
南関東の短期免許を取得して来日した2020年には30勝を挙げ、1回の短期免許期間歴代1位という快挙を成し遂げたミシェル騎手。だが北米での昨年、今年の成績はJRAが女性騎手のために緩和した賞金リーディング50位以内はもちろん、年間10勝以上という短期免許の最低条件さえ満たせていない。
「私は決して諦めません」
昨年、不合格となった際もさらに強い意欲を燃やしていたミシェル騎手だが、果たしてその思いは届くだろうか。外国人へのJRA通年参戦の扉は、もうずっと閉ざされたままだ。
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