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JRAの思惑はハズレ? 美浦関係者が嘆く「地獄の2週間」異例の変則開催が招いた“西高東低”の現実とは

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撮影:Ruriko.I

 今週の日本中央競馬会(JRA)は夏の新潟開催、そして札幌開催が行われる。古いファンであれば、小倉開催はどうなったのかと感じる方もいるだろう。2020年から始まったJRAの夏競馬対策の一環として、夏真っ盛りの新潟1週目と2週目の2週間で小倉開催は行われず、新潟と札幌のみの変則2場所開催となっている。

 これは小倉の猛暑を回避するための特別措置であるが、今週土曜の予想最高気温は小倉競馬場で33℃、新潟競馬場は33℃で同じ。さらに日曜にいたっては、小倉は34℃で新潟が35℃と皮肉にも逆転現象が起きている。

 つまり今週は小倉より新潟の方が暑い予報となっており、JRAの思惑はまったく外れた状況となっているのだ。これらの状況を踏まえると、来年以降はこの特殊開催が見直されることもあるかもしれない。

 兎にも角にも、週末の温度は新潟も小倉も差がないのだから、関東の美浦トレセン関係者から「小倉もやってくれ」という声が聞こえてきそうだ。

「地獄の2週間」異例の変則開催が招いた“西高東低”の現実とは

 というのも、今週と来週の2週間は札幌と新潟の2場所開催であり、遠く離れた札幌を抜きにして考えると、美浦トレセンと栗東トレセンの在厩馬はこの新潟開催に集中することになる。そして、通常は関東馬に優先出走権が与えられる条件戦であっても、関西馬も同様の扱いとなるわけだから、必然的に関東馬は関西の有力馬と条件戦でもガチで戦うことになるのだ。これは弱小厩舎にとって死活問題にも繋がりかねない。

 基本的にJRAでは何年も西高東低の力関係が続いている。確かに今年の日本ダービー(G1)や安田記念(G1)など、春のG1レースは関東馬が健闘し、関西馬を圧倒する部分もあった。しかし年間を通してみれば、2022年の関東馬はおよそ1400勝で、関西馬のおよそ2000勝に遠く及ばない。新潟でも、明らかに関西馬の成績が際立っている。

 実際に昨年は2週間の合計48レースで関東馬の17勝に対し、関西馬は31勝と差は歴然。特に新潟1週目は関西馬が19勝で関東馬5勝と圧倒的な差がついており、賞金の高い特別戦は関西馬6勝で関東馬は1勝となっている。

 この傾向を踏まえると、今年も関西馬は同様のパターンで勝負になる馬を集めることは明白。今週と来週の新潟競馬は、関西馬が関東馬を圧倒する状況になる可能性が高い。

 特に昨年好結果を出していた中内田充正厩舎、清水久詞厩舎、友道康夫厩舎、池江泰寿厩舎あたりは要チェック。今年も中内田厩舎が3頭、清水久厩舎は9頭、友道厩舎は5頭、池江厩舎は2頭を新潟1週目に出走させるので、ぜひ注目してほしい。

 また、この傾向は厩舎だけでなく騎手も同様だ。

 昨年もこの新潟2週間は、関西所属騎手が48戦中33勝をあげたのに対し、関東所属騎手は13勝、残り2勝は短期免許で来日していたC.ホー騎手であった。関東馬に関西所属騎手が騎乗するケースもいくつか見受けられ、関東所属騎手の肩身はますます狭くなっている印象だ。

 今年もその流れは変わらず、例えば関東のベテラン田中勝春騎手は今週の騎乗がゼロ。先週土日で14鞍に騎乗した石川裕紀人騎手は4鞍のみ。吉田豊騎手はわずか1鞍と騎乗依頼が激減している。ある美浦のエージェントは

「オーナーサイドの意向もあって、小倉がなく空いているなら、川田や岩田望来、坂井瑠星といった関西のトップジョッキーに乗ってもらいたいって声は聞く。実際に乗り替わりも多い。2週間我慢すれば元に戻るけど、これが西高東低の現実だね」

 と語っており、関東のジョッキーとすれば厳しい現実が待っている。

 馬券的に騎手で狙いたいのは、昨年勝ちまくった川田将雅騎手、岩田望来騎手、そして今村聖奈騎手。川田騎手は土日で10鞍騎乗するが、新馬戦で騎乗するダノンキラウェアを筆頭に有力馬ばかり。しかもほとんどが乗り替わりであるように、やはり関西のトップジョッキーにとって、この新潟は稼ぎどころといえるだろう。

 以上、小倉開催が行われないこの2週間は、関東の厩舎にとっても騎手にとっても「地獄ともいえるような2週間」となっている。この猛暑の中、どんな結末が待っているのか非常に興味深い2週間となりそうだ。

GJ 編集部

GJ 編集部

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