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桃井はること地方ダート戦線とミニ四駆!? ミックファイア“無敗南関三冠”達成で思い出される過去の名馬と地方競馬の思い出【モモーイの超!大穴でグッジョブ! 南関クラシック】

桃井はること地方ダート戦線とミニ四駆!? ミックファイア無敗南関三冠達成で思い出される過去の名馬と地方競馬の思い出【モモーイの超!大穴でグッジョブ! 南関クラシック】の画像1

 数年前の休日、私はサスペンスものの2時間ドラマをぼーっと見ていました。殺人事件を捜査している途中、刑事二人がアリバイを探るうち、疑わしい人物が映りこんでいる写真を目にします。手に競馬新聞を持っていることに気づくとこう言いました。

「競馬って土日にしかやっていないんじゃ」

 もう一人の刑事のセリフはこんな感じでした。

「いや、これは地方競馬の新聞だ。平日でも我慢できずに地方競馬をするくらいのめりこんでいる可能性があるな」

 でもこの時私は思いました。

「いや、本当にハマってる人は、土日に、地方競馬をやるんやで」

 地方競馬はほぼ休みなく毎日開催されていますからね、ナイター競馬もありますから。世界的に見てもすごいことだと思います。

 競馬には地方競馬と中央競馬があるわけなんですが、地方競馬は中央で適性が合わなかった馬が輝きを見せてくれたり、長く引退しないで走ってくれるので、独特な楽しさ、感動があります。競馬場の雰囲気も、中央とはまた違った、地域密着のB級グルメしかり、庶民的なフランクさと、ナイターではライトアップがあったり、都会的なイメージが同居しているところが好きです。

 それから、テレビ中継はもちろん、無料のアプリやニコニコ生放送、YouTubeチャンネルなどリアルタイムのレース映像が見やすい環境が整っているのもいいですね。主に芝ではなく砂のダートコースで行われ、ナイター照明に照らされ砂をまきあげる競走馬の姿は美しくも力強いです。

 先日、南関東競馬3歳クラシックで22年ぶりに無敗の三冠馬が誕生しました。その名はミックファイア。羽田盃(S1)、東京ダービー(S1)をなんとどちらもレコード勝ちし、ジャパンダートダービー(Jpn1)でも劇的勝利を収め、この瞬間、2001年のトーシンブリザード以来のクラシック三冠馬となったのです。JDDは中央競馬の馬も参戦する中、大井競馬所属の御神本訓史騎手を背に見せた末脚にはシビれました。私はニコニコ生放送で観ていましたが、また大井に競馬を観に行くぞと思いました。

 現地観戦して印象に残っているレースといえば、2014年の第16回JDD。今改めて調べていて、もう9年前のことなのかと愕然としました、最近のことのようにありありと思い出されますからね。名勝負だったんです。注目馬は、ハッピースプリント。ホッカイドウ競馬でデビューして連勝後、中央競馬の第45回函館2歳S(G3)で5着。中央の馬に混ざって掲示板とはすごいと思いましたが、私は勝ってくれると思ってました……(ちなみにこの時の勝ち馬はクリスマス)。

 その後全日本2歳優駿でJpn1初制覇。連勝を続けると南関クラシックに挑戦するため、大井に移籍。クラシック戦線での鞍上は金沢の天才と呼ばれる吉原寛人騎手。一冠目・羽田盃、二冠目東京ダービーをともに1.1倍の1番人気で勝利。三冠の期待が高まる中、迎えたJDD……。この歴史的瞬間の証人になるしかないと、私は大井競馬場へと向かいました。

 この日の馬場発表は稍重、しかし雨が降ったり止んだり。レース前にはしっかりとした雨粒が落ちていました。そもそも野球観戦が昔から趣味の私、雨の日には慣れています。愛用のゴアテックス製のガチな青いレインポンチョを被り、ゴール前で発走を待ちました。スポーツ観戦では自分の傘で後ろの人の視界を遮らないようにポンチョを着るのがマナーですからね。

 しかし私の予想に反して、この日は人と人の間隔もありましたし、傘を差している人が多かったのです。今では信じられないことですがこの頃は、クラシック最後の大注目の一戦にも関わらず、競馬場はそんなには混雑していませんでした。パドックを見て馬券を仕込んでゴール前に行っても余裕でいい位置取りができるくらいです。大きなレンズのカメラを持った撮影を趣味とするファンはずっとコース脇にはりついていましたが、悪天候の中、気合が入っている人は指定席を買うか、多くの人は天気によって出たり入ったり、屋根がある場所から観戦する雰囲気だったように思います。

 私は現地観戦ならば、ゴールの瞬間を見届けられるゴール前が一番好きです。ゲート前でスタートを観るのもドキドキしますし、内馬場で座ってというのもいいんですけどね。生観戦で発走前に今か今かと待っている時は、お気に入りのバンドのライブで音が出る前のような、オールスタンディングのライブハウスのような、これから始まる歴史的瞬間を目に焼き付けるんだというワクワク感でいっぱいになり、来てよかったとしみじみ思います。とくに、記録のかかったレース、三冠馬が誕生する瞬間を目の当たりにできるかもしれないとあっては、どんな勝ち方をするのか、頭の中で何度もゴールの瞬間を想像するわけです。

 鼓笛隊のような衣装を着た東京トゥインクルファンファーレの生演奏のあと、約2分間に凝縮されたドラマのゲートが開きました。南関ファン誰もがハッピースプリントの勝利を信じていたと思います。最後の長い直線、中団から抜け出したハッピーに、外から猛烈な脚で襲い掛かる馬がいました。後に世界的ジョッキー、ライアン・ムーアに「武豊の次に上手い」と言われたという秋山真一郎騎手(参考:武豊の次に「上手い」のはアキヤマ!?「世界No.1」のR.ムーア騎手が「上手な日本人騎手」として武豊騎手の次に挙げた“意外”な名前)が鞍上の、カゼノコです。ゴール前「怪物」ハッピースプリントは、2人気カゼノコにハナ差で敗れました。まさかの2着。

 私はその瞬間、懸命に体を伸ばすハッピーに、後ろから迫ってくるカゼノコが、ゴール前で一瞬、重なったように見えました。重なっただけ……? 残したか、差されたか……その瞬間にはわかりませんでした。結局、ホッカイドウで育ち、期待され南関に転厩し、金沢の騎手を乗せた、地方の魂の結晶のような馬が、JRAの馬をおさえて三冠を制す……その夢は叶うことはありませんでした(今書いていても泣きそう)。

 長い時間の先の、ほんのハナ差。カゼノコはまさに颯のように走り去り、競馬ファンになりたての私にJRAの壁の高さを教えました。しかし、その名の通り夢を見せてハッピーを届けてくれたハッピースプリントは、古馬になっても善戦を続け、引退後、種牡馬入りしてくれたようですから、次はその産駒の活躍を楽しみにしたいと思います。

 そんなハッピーの名前を、今年、ミックファイアの活躍により多く耳にすることになりました。私の競馬ファン歴も気づけば10年。

 競馬を観ることを趣味としていると、ことあるごとに思います。人は誰も、ほんの数分後のことが平等にわからないのです。

桃井はること地方ダート戦線とミニ四駆!? ミックファイア無敗南関三冠達成で思い出される過去の名馬と地方競馬の思い出【モモーイの超!大穴でグッジョブ! 南関クラシック】の画像2

 今年のJDDのレースは、ざわざわとした気持ちで、ニコニコ動画のコメントをオンにして見守っていましたが、結果、ミックファイアは見事な勝利を収めました。とくに、最後の3ハロンの推進力は火を噴くよう、凄まじいものがありました。レース後はまるで、燃え盛る炎に煽られたように、わたしの体も熱くなっていました。

 来年から、南関3歳ダート戦線の形態が変わるそうです。今まで地方馬限定戦のS1だった羽田盃、東京ダービーは中央からの参戦も可能になり、Jpn1へ格上げ。そしてJDDという名前は今年限りでなくなり、ジャパンダートクラシックになるそうです。中央・地方の所属の枠を超えた3歳ダートチャンピオンを決定するというコンセプトによる変更だそうですが、強い中央馬が参戦してきて席捲されたりしたら……という不安もよぎります。しかし最後のJDDを地方馬が勝ち三冠馬が誕生したことを、新しい時代への明るい兆しと捉えましょう! 私は地方競馬びいきでい続けますよ。

 そしてこの改変で私が密かに楽しみにしていることは、大井の帝王・的場文男騎手の初の東京ダービー制覇です。御年66歳、数々の最年長記録を塗り替え今も騎乗されている的場騎手は、東京ダービーでは2着10回、未だ制覇がありません。

 ダービーだけが競馬ではないですし、東京大賞典(G1)など数々のレースを勝利されていますけど、的場騎手がダービーを勝ったら、大感動ですよね。中央馬地方馬入り乱れJpn1となった東京ダービーで、できれば逃げの脚質の馬で大井のゴールを先頭で駆け抜ける赤い勝負服が見たいです!

 そういえば、大井競馬所属の的場騎手はミニ四駆になったことがあるんですよね。2018年、大井競馬場に騎手とのコラボミニ四駆が展示されていたことがあったのですが、的場騎手のモデルは「レッドエンペラー(ブリッツァーソニック特別仕様)」で、数量限定で販売もされていました。矢野貴之騎手、笹川翼騎手など他のジョッキーのミニ四駆も、勝負服をモチーフにしたデザインでかっこよかったです。(参考:https://www.tokyocitykeiba.com/news/39845/)プレゼント限定のモデルは、超レアですね。

 ちなみに私、桃井はるこもミニ四駆になったことがあるんです! しかも、2回。「サンダーショットMk.II 桃井はるこSpecial」と「桃井はるこ Special Ver.2 ホットショットJr.」というモデルと、その2台から派生したイベント限定モデルがあります。私のミニ四駆への思い入れを知ったタミヤの方々が、私の気持ちと意見をも汲んで、マシンにしてくださいました。

 もう15年前くらいになると思いますが、発売された当時、模型ショップでのサイン会やタミヤさんのイベントで冠レースを開催させていただいたのは楽しい想い出です。それがうれしくて「Thunder Shot!」という楽曲も書き下ろしました。マシンも曲も、今でもレースに使ってくださっているという報告を頂いたりしますので、どなたか、大井ジョッキーズとモモーイミニ四駆の夢の対決を実現してみてください(笑)。

 競馬もミニ四駆も、速くてカッコイイもの。暑い夏ですが、この夏休みも、ワクワクする出会いがありますように!

告知

●パーソナリティを務める『THE WORKS』がFM NACK5(79.5MHz)にて毎週日曜日24時から放送中。
(https://www.nack5.co.jp/program/theworks/)


●2023/8/27(日)東京キネマ俱楽部にて開催の『えもーいフェス』出演。
チケット情報 パーフェクトミュージック(https://twitter.com/perfectmusicjp

●DU BOOKSより発売中の書籍「90年代アニメ&声優ソングガイド」コラム掲載
9/6(水)LOFT9 Shibuya『90年代アニソンを語る夕べ~「90年代アニメ&声優ソングガイド」出版記念~』出演(https://t.livepocket.jp/e/wgu62

その他最新情報
桃井はるこ公式ホームページ http://rg-music.com/momoi/
桃井はるこ X https://twitter.com/momoiktkr

桃井はるこ

桃井はるこ

シンガーソングライター、声優。2013年オルフェーヴルの引退レースに感動し、東京大賞典で競馬現地初観戦。中央、地方ともに好き。最強の思い出は2016年有馬記念フェスティバルで一列目を引き武豊騎手とルメール騎手の間の席で観覧したこと。落ち着いたら北海道の牧場にまたひとり旅に行きたいな。

Twitter:@momoiktkr

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