C.ルメールがハーツクライに捧げた魂の走り! ドバイを皮切りにイクイノックスが世界を制覇、脚光を浴びるキングヘイローの世界的名血【競馬ファンが選ぶ2023年競馬10大ニュース①】
第1位 イクイノックス無双 48.7%
様々なGORAKUを心から愛する「GJ」が、今回から先日アンケートした「競馬ファンが選ぶ2023年競馬10大ニュース」を1つずつ振り返る年末年始特別連載を開始したい。
さっそく投票率48.7%という圧倒的な1位を獲得した「イクイノックス無双」について、酒は飲まないがタバコがやめられない孤高の鬼デスク「K」と、GJ編集部一の「ウマ娘」好き「A」が徒然なるままに語り尽くした。
編集部「A」:天皇賞・秋(G1)と有馬記念(G1)を勝利して、2022年の年度代表馬として2023年を迎えたイクイノックスですが、始動戦は初の海外遠征となるドバイシーマクラシック(G1)でした。
デスク「K」:いやあ、今から振り返っても凄かったね。間違いなく日本だけでなく、ドバイの競馬史にも残るレースだったと思うよ。
編集部「A」:ハナを切った時はびっくりしましたね。
ハーツクライに捧げる魂の逃げ
デスク「K」:あの逃げはね、ルメール騎手がかつての相棒ハーツクライに捧げるレースをしたと勝手に思ってる。
編集部「A」:たしか、レースの2週間前くらいに亡くなっていたんですよね。
デスク「K」:そうなんだよ。あの馬もドバイシーマクラシックを勝ったんだけど、その前走の有馬記念でルメール騎手とコンビを組んで、当時無敗だったディープインパクトに勝ったからね。ルメール騎手にとっても日本G1初制覇だったし、ハーツクライへの思いはやっぱり強いと思う。
編集部「A」:当時のルメール騎手は上手いんですけど、何故かG1で勝てなかったんですよね。“相方”のM.デムーロ騎手が勝負強いこともあって「ルメ-ルは勝負弱い」って言われてた時期も……。
デスク「K」:それが、今年は1年でG1・7勝だからなあ。ルメール騎手が成長したのか、我々競馬民の目が曇ってたのか(笑)。まあ、いずれにせよルメール騎手が「このレース(ドバイシーマクラシック)を勝つのは、ハーツクライ以来。彼に敬意を表する機会を与えてくれたイクイノックスに感謝したい」と言った時は感動した。
編集部「A」:記録した2:25.65は従来のレコードを1秒も縮めるタイムで、叩き出したレーティング129は世界1位になりました。2着ウエストオーバー、3着ザグレイ、4着モスターダフらが後に次々G1を勝ったんですから、やっぱりレベルの高いレースだったんですね。
デスク「K」:イクイノックスが如何に強かったのかは、その後のウエストオーバーを見てればわかりやすいね。この馬、キングジョージ6世&QES(G1)と凱旋門賞(G1)でも2着するんだけど、それぞれアタマ差と1馬身3/4差。そんな強豪に3馬身半差をつけたんだから、やっぱり化け物だよ。
編集部「A」:(レーティングを決める)ハンデキャッパーの方々の目は確かだったということですね。レーティングといえば、引退レースになったジャパンC(G1)の133には驚きました。暫定とはいえ、世界1位だったドバイシーマクラシックの129を4ポンドも上回ったわけですから。
デスク「K」:関係者の話を聞いてると、わりと妥当な数値みたいよ。どちらかと言えば、ドバイシーマクラシックの129の方が上方修正される可能性があるとか。個人的には天皇賞・秋の方がインパクトがあったんだけど、やっぱりリバティアイランドという強い馬に4馬身差をつけたことが大きいんだろうね。
編集部「A」:最後も流し気味でしたしね。27日にX(旧Twitter)が2023年のトレンドランキングを発表していましたが、競馬からは「イクイノックス」が唯一のランクイン(11位)でした。
デスク「K」:まあ、あれは年間を通じてだから早めに話題になったものとか、シリーズものの方が有利だよね。「大谷翔平」でも10位で、その下にイクイノックスがいるって凄い。「競馬」って本来、マニアックなものなんだけどなあ。
編集部「A」:イクイノックスの人気ももちろんですが、改めて競馬人気の高まりを感じますよね。日本郵便からは、イクイノックス引退記念の切手セットも発売されるそうです。
デスク「K」:国民的な人気があったってことだよね。人気と言えば、ジャパンCを最後に引退して種牡馬になったイクイノックスだけど、初年度から種付料2000万円には驚いた。
再び脚光を浴びた世界的良血キングヘイロー
編集部「A」:父のキタサンブラックが来年度から2000万円にアップしたところに…ですからね。生産者の方々も実績のキタサンブラックか、勢いのイクイノックスか、迷うところだと思います。
デスク「K」:個人的なポイントとして挙げたいのは、イクイノックスの母父キングヘイローだな。母がG1・7勝の米国最高牝馬のグッバイヘイロー、父が1980年代の欧州最強馬っていわれるダンシングブレーヴ。世界的な良血馬として、現役時代から注目された存在だった。
編集部「A」:『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)のキングヘイローも絵に描いたようなお嬢様ですしね。そんな一見、才色兼備で完璧な人が壁にぶち当たっていくところが、また萌えるんですよ(笑)。
デスク「K」:萌えとか、久々に聞いたわ(笑)。まあ、『ウマ娘』の話はさておき現役時代、そして種牡馬としてもスペシャルウィークやエルコンドルパサー、グラスワンダーといった同期よりも下に見られていたキングヘイローだけど、このイクイノックスで再び脚光を浴びることに。この辺りも競馬の面白さだと思う。
編集部「A」:イクイノックスの活躍で、世界的良血馬という本来のポジションを取り戻したわけですね。米国の関係者は「あのグッバイヘイローか」と思って、欧州の関係者は「これもダンシングブレーヴのなせる業」とか思ってるわけか。
デスク「K」:そうそう。そういう意味でも、イクイノックスが世界から評価を受けたことは嬉しいよね。ちなみにキタサンブラックの母方に流れるPrincely Giftの血は、今はもう日本にしかないんじゃないかな。ディープインパクトの時も、その遺伝子が欲しくて海外から繁殖牝馬が来てたけど、イクイノックスでもそういうことが起こるんじゃないかな。
編集部「A」:今年の英国ダービー(G1)とブリーダーズCターフ(G1)を勝ったオーギュストロダンが、まさに海外産のディープインパクト産駒でしたね。
デスク「K」:いつか海外産のイクイノックス産駒と、日本産のイクイノックス産駒が英ダービーとか凱旋門賞で対戦する日が来るかもな。
編集部「A」:僕はイクイノックスとアーモンドアイの産駒が待ち遠しいです!
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