またもG1当日に「異常事態」発生!? ファンを置き去りにしてJRAは一体どこに向かっているのか
今度は7Rの500万下で、またも1200mのレコードが更新される。この時点で中京競馬場の芝コースのレコードが、完全に価値を失ったと述べても過言ではないだろう。
ちなみに最終週の中京競馬で1200mのレースは、先述した岡崎特別とこのレース、そして高松宮記念の3鞍しかない。言い換えれば、最終週の中京競馬は「芝のスプリント戦が行われるたびに、レコードが塗り替えられ続けた」ということだ。
高松宮記念を勝ったビッグアーサーを批判する気は毛頭ないが、果たしてこんなレコードに本来の価値があるのだろうか。
今回の高松宮記念が行われた芝の状態が如何に”異常”だったのかは、レースに参加した騎手の話を聞いていれば想像がつく。エイシンブルズアイの石橋脩騎手が「特殊な馬場」と言葉を濁せば、ティーハーフの池添騎手が「馬場が固すぎる」と続き、ベテランの四位騎手に至っては「今日の馬場の固さは異常」と断言していた。
「実際にレースに乗っている騎手が『馬場が固い』と言う時は大抵、コースに整備用のローラーが掛けられた時です。JRAからも芝刈りや散水などの経過がホームページ上に掲載されますが、コンディショニングの詳細まではメディアにも明かされません」(競馬記者)
確かに、今年の最終週の中京競馬場は例年とは異なりBコースを使用するとの発表があった。だが、内柵が何メートルか移動しただけで、あれだけ時計が速くなった理由にはならないだろう。
仮に百歩譲って競馬が観戦だけを楽しむスポーツであれば、今回の件も大きな問題にはならなかったのかもしれない。しかし、競馬はスポーツであると同時に、参加者が金銭を賭けるギャンブルである以上、ホスト側には「正確な情報を伝える義務」があることに間違いはない。
そして、この「賭けをする上での正確な情報を参加者に伝える」というホスト側の義務をJRAが怠った疑惑が持たれているのは、決して今回が初めてではないからこそ、問題はさらに深刻で根深いのだ。
記憶に新しいのは、昨年5月の天皇賞・春(G1)のことだ。
当時の天皇賞が行われる京都の芝コースは先述したような固い高速馬場で、条件戦からレコードに迫るような好時計が続出していた。そして、だからこそ多くの競馬ファンは、これまで高速馬場で何度も惨敗を繰り返していたゴールドシップの苦戦を予感していたのだ。