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菊花賞の記憶~何もかもが違いすぎた馬、ナリタブライアン~

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naritaburaian.jpgナリタブライアン(JRA公式サイトより)

 1990年代のJRA(日本中央競馬会)はオグリキャップが作り出した空前の競馬人気とバブル経済に支えられ、右肩上がりの急成長を遂げていた。1985年に1兆6458億円だった売上が1994年には3兆8065億円を突破、まさに競馬産業はわが世の春を謳歌していたのだ。

 その1994年には、1984年のシンボリルドルフ以来実に10年ぶりとなるクラシック三冠馬が誕生した。それがナリタブライアンである。

 クラシック三冠とは皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞を意味し、この3レースを勝利した馬には「三冠馬」の称号が与えられる。三冠馬は1941年のセントライトに始まり、1964年シンザン、1983年ミスターシービー、1984年シンボリルドルフ、1994年ナリタブライアン、2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴルの7頭のみであり、それを達成することがいかに難解なことかわかるだろう。

 ナリタブライアンは当時3歳(今の2歳表記)に夏の函館でデビューして2着。2戦目で初勝利をあげ暮れの朝日杯3歳ステークス(現朝日杯フューチュリティステークス)でG1初勝利。年明け初戦の共同通信杯、スプリングステークス、皐月賞、東京優駿を圧倒的な強さで勝利して3つのG1レースを含む重賞5連勝を記録。シンボリルドルフ以来10年ぶりの三冠馬誕生が期待された第55回菊花賞は、前哨戦で敗退しながらも当日は1.7倍の断然人気に支持された。2番人気は東京優駿3着で秋初戦の福島民放杯で古馬相手に快勝したヤシマソブリン、そして3番人気は東京優駿2着のエアダブリンだった。

 ナリタブライアンはスタートから中団を走りじっと脚を溜めるが、一週目のゴール前を過ぎてからスティールキャストが後続を15馬身離す大逃げを見せレースが動く。そしてナリタブライアンを徹底マークしていたヤシマソブリンが4コーナーで早めに仕掛け3番手に上がる。ナリタブライアンの鞍上南井騎手はその動きを見て追い出し、直線ではコースのど真ん中を独走、2着ヤシマソブリンに1.1秒差を付ける圧勝劇で10年ぶりの三冠馬となった。

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