【小島武夫さん追悼企画】トップ女流プロ・二階堂姉妹が語る「ミスター麻雀」とは…… 「豪快エピソード」「実は〇〇派」意外な真実が明らかに
――あれだけのネームバリューがある方にもかかわらず、度量の広さというか。
亜樹:そうですね。本当に気さくで。プライドはすごく高くて、誰もが認めるプロじゃないですか。ただ、それを誇示することはなく、他人に押し付けることもなかったです。
完全に「人は人」「自分は自分」と区別がついているけど、人に寄り添って考えてくれて。とにかくその場の空気を和やかにしてくれました。どんな現場でも小島先生がいるだけで明るくなりましたね。
瑠美:完全にムードメーカー的存在です。みんなが気を使うわけじゃないですか。ただ、小島先生は「別に良いよ」って。気を使って「お疲れさま」といってスッと去って行くんですよ(笑)
――そこまで気を使える大物の方って滅多にいないかと思います! そんな大らかな小島さんですが、麻雀対局ではどのような感じなのでしょうか?
瑠美:一言でいえば「豪快」。「三色同順」や「役満」など、手役のイメージが強いじゃないですか。ただ、実は「勝負所」や「場の空気」を察するのが上手で、とにかく放銃(振り込み)が少ないんですよ。派手なイメージと思われがちですが、実際は「堅実なタイプ」だと思います。また、途中で「アガり」を諦めたとしても、そこまで形を作る”魅せ方”が上手なんです。
亜樹:豪快なイメージはあるけど、実際は繊細で綿密な要素があったのかなって思います。私自身、人の麻雀を見ることができるようになってから小島先生の麻雀を見た時、世間のイメージ(豪快さ)とは違うんだなとすごく思いましたね。
瑠美:そういえば、麻雀格闘倶楽部は東風戦一回なのですが、放銃がなくともラスになることが多々あるんですよ。それでも小島先生は「ははー参った、参った」と笑顔を振りまいていたね。
亜樹:負けた瞬間、相手を称えられるって凄いことだと思うんです。私だったら「参った」なんて口が裂けても言いたくない!(笑)。
――ものすごく寛容で度胸がある方だったんですね! 濃い時間を過ごされたとのことですが、小島さんから学んだことは何でしょう。
亜樹:そんなに多くを語る方ではなかったですが、麻雀の「打ち筋」「判断」や「プロはこうあるべき」というのを体現していた方だったので、すごく勉強になりました。麻雀を世間・ファンに対して「魅せる麻雀」、ファンが居てこその「麻雀プロ」ということを教えてもらい、私自身もそうあるべきだなと感じましたね。
例えば私と瑠美ちゃんの麻雀スタイルは全く違っていて、瑠美ちゃんの場合は「こういう風に目指すならこう打った方が良い」というスタイル。人を惹きつける麻雀といいますか、いわゆる「魅せる麻雀」ですね。
その一方で、私はロボットのような「スピード重視」「効率重視」の麻雀で、一言でいえば華がない(笑)。小島先生からすると好みのタイプではなかったです。それでも私のスタイルを否定することはなかったですが、「アマチュアの方でも打てる麻雀は打っていても麻雀プロとは言えない」と、プロとしての在り方を教えて頂きました。
ただ、いきなり自分の麻雀を180°変えることは難しいですし、アマチュアの方に「さすがだな」と思われるためには、麻雀の精度そのものを上げていかないと「麻雀プロ」としては認められないと感じました。その時、小島先生から「自分の在り方」を気づかせて貰いましたし、すごく為になるお話をしてもらいましたね。もう10年くらい前ですが、いまでも心に残っています。