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JRA絶対王者ノーザンファームに「風穴」……9年連続の最優秀賞生産者も53年ぶりの大波乱

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 競馬とは、読んで字のごとく「馬の競走」だ。戦前の有利不利はあるものの、昨年末の有馬記念(G1)で大本命のアーモンドアイが敗れたように、結局のところは誰が勝つのかわからないところが魅力だ。そして、それこそが競争である。

 しかしその一方、最早“競争”の体すらほぼ保てていない競争がある。1年のレースにおける、獲得賞金額を争う最優秀賞生産者だ。

 この部門はノーザンファームが9年連続のトップとなったが、競馬ファンなら誰もが知っている……いや、知らなくとも「わかりきっている」ことだ。もし「では、2020年の最優秀賞生産者は?」と聞かれれば、10人が10人「ノーザンファーム」と答えるだろう。

 JRAには現在、障害レースを含めて26のG1競走があるが昨年、ノーザンファームはG1を19勝した。一昨年、これまでの11勝を超える16勝の新記録を達成したが、昨年はさらにその記録を更新したということだ。

 有馬記念では現役最強馬アーモンドアイが馬群に沈むショッキングなレースだったが、そのレースを勝ったリスグラシューもまたノーザンファームの生産馬である。圧倒的な質と物量で、どんな結果になっても結局勝つ。それこそがノーザンファーム最大の強みといえるだろう。

「これだけノーザンファームの生産馬がG1を勝つと、逆にノーザンファーム以外の馬が勝ったG1が気になりますが、案の定、賞金の低いレースがほとんどでした……」(競馬記者)

 記者が話す通り、同じG1でも重要度によって賞金額は大きく異なる。有馬記念やジャパンCのように1着賞金3億円の超ビッグレースもあれば、逆に障害はG1でも1着賞金が平地の一部G2を下回る状況だ。

 そんな中、ノーザンファームの生産馬以外が勝ったのは、やはり賞金が低い障害レースで2勝(中山グランドJ、中山大障害)。さらに短距離(高松宮記念、スプリンターズS)、そしてダート(フェブラリーS)と、まるで「このレースなら勝たせてあげるよ」と言わんばかりのマイナーG1ばかりである。

 これでは圧倒的という表現を超えて「支配」と述べても過言ではないだろう。一昔前は、ノーザンファームの母体となる「社台の運動会」といわれてきた競馬だが、今や完全に「ノーザンファームの運動会」と化している。

 しかし、そんな中、昨年は風穴を開ける出来事があった。

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