JRAディープインパクトの母にも「逸話」あり! ばんえい競馬でまさかの「出走取消」から「引退」へ

日本で唯一、北海道の帯広競馬場で行われるばんえい競馬。馬体重が約800~1200キロ前後のばん馬が、騎手と重量物を積載したソリをひいて、直線200mの途中に2つある山状の障害を越えるレースは迫力満点だ。サラブレッド競走とは違った魅力で、多くのファンが根付いている。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月から中央・地方競馬は無観客での開催となっていたが、一早く客入れを再開したのは、ばんえい競馬だった。7月11日から有観客開催を行っており、今のところ大きな問題は発生していない。
そんなばんえい競馬で“驚き”の出来事が発生した。
17日、第1レースに出走予定だったタケノセーイコー(牝3歳)の出走取消が発表された。この取消理由は「出走予定馬が出走の前日に『出産』していたことが判明したため」という異例のものだった。
タケノセーイコーは3日に馬体重958キロでデビューしたばかり。しかし、レースでは第2障害を越えられずに競走中止となっていた。関係者も妊娠に気づくことなく2走目に向けて調教を積んでいたが、17日に馬房内で仔馬が発見され、出産していたことが判明。当日のレースは急遽、出走取り消しとなった。
詳細は本記事を確認いただきたいのだが、『サンケイスポーツ』の報道によると、主催者である帯広市農政部ばんえい振興課は「受胎が判明した段階で競走馬としては扱えませんし、母子は一緒にいた方がいいという判断もありました」と話しており、タケノセーイコーは母親として育児に励むことになるという。驚きの事態だが、母子ともに健康なのは何よりである。
現役馬の出産は滅多にないことだが、過去にはサラブレッドでも同様のことは起きている。
1999年4月に船橋競馬所属のカズノコマチ(当時・3歳)が出産。同馬は3月にデビュー戦を終えたばかりで、関係者も妊娠には気づいていなかったという。カズノコマチの凄いところは、その後も現役を続行したことだ。出産から4か月後、レースに出走したときには「マイナス61キロ」と大きく馬体重を減らしていた。むしろ、これが本来の馬体重ということだろう。
また、海外ではお腹に仔を身ごもった状態でG1を勝った女傑もいる。ディープインパクトの母として知られるウインドインハーヘアだ。
4歳時にアラジと交配したウインドインハーヘアだったが、受胎後も現役を続行。なんと、この年にドイツのアラルポカル(G1)を優勝しているのだ。その後は、出産を機に正式に繁殖牝馬入り。日本で繋養されるようになってからは、キタサンブラックの父ブラックタイド、日本競馬の至宝ディープインパクトを輩出した名牝として大成功を収めた。
今回、ばんえい競馬で生まれたタケノセーイコーの仔は父親不明ということで、競走馬として登録されることはないだろう。だが、今後のタケノセーイコー産駒がばんえい競馬の歴史を変えるような名馬を輩出するかもしれない。
お腹に仔を宿しながらも、レースでは1つ目の障害を越えた勝負根性が仔に受け継がれていくことに期待したい。
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