真剣勝負の裏にある真実に斬り込むニュースサイト・GJ
GJ
真剣勝負の真実に切り込むニュースサイトGJ
NEW
2021.02.23 18:00

JRA「史上初」蛯名正義と横山典弘が熱い抱擁――。「負けなくてよかった」12分間の写真判定が生んだ奇跡【蛯名正義引退寄稿】
文=浅井宗次郎
まるで時間が止まってしまったかのような、本当に長い長い審議だった。
鳴りやまないどよめきと、静かな雨に包まれた東京競馬場。二冠か、新女王誕生か――。
2010年5月23日。その年のクラシックを争う3歳牝馬の頂点を決める決戦となったオークスのゴール板を並んで通過したのは、大外枠を示すピンクの帽子の2頭だった。
内に、トライアルのフローラS(G2)を快勝した新勢力サンテミリオン。
外に、世代を牽引する立場として二冠を狙った桜の女王アパパネ。
残り200mを切ってからは完全に2頭の叩き合いになり、お互いがまったく譲らないままゴールに飛び込んだ。
勝ったと自信を持っていたのは、サンテミリオンの鞍上・横山典弘騎手だった。しかし、肉眼では到底確認できない大接戦。ウイニングランを行わなかったことからも、当然確信などなかったはずだ。
逆に負けたと思っていたのはアパパネの鞍上・蛯名正義騎手だった。引き揚げてくると「2着」の脱鞍場にアパパネを入れようとしたが、勝利を信じているアパパネの陣営に促され、とりあえず「優勝馬」の脱鞍場に入った。
一体、どれだけ時間が経ったのだろうか。実質は10分、いや、15分、20分か……。
雨と靄で景色と共に時間の感覚までぼやけてくる中、やがて、そしていつか必ず電光掲示板に浮かび上がる「審判の時」を、東京競馬場に居合わせたすべての人々が固唾を飲んで見守る。
写真判定のランプを灯したまま、今か今かと待たれる電光掲示板の一番上には、サンテミリオンが勝っていれば「18」が、アパパネが勝っていれば「17」が刻まれるはずだが……。
すっかり時間の止まってしまった東京競馬場の上を、雨だけがまるで他人事のように音もなく降り続いていた。
PICK UP
Ranking
11:30更新武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 引退・種牡馬入りが一転して現役復帰!? 数奇な運命をたどることになった競走馬たち
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- JRAマイネル軍団総帥・岡田繁幸さん逝く。武豊「僕の原点、この馬と一緒に全国区になった」絶体絶命だった天才を世に放った偉大な決断と信念【特別寄稿】
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
関連記事
JRA蛯名正義「ムチ15連打」戒告に込められた執念。小倉大賞典(G3)デンコウアンジュ「イン突き」あわや……“爆発”の予感秘め、ラストウィークへ
JRA蛯名正義「立場逆転」で引退目前に手繰り寄せた18年越しの悲願! ケガに泣いた1年前、「幻」となった大偉業達成に現実味
JRA武豊「非選択」で根岸S(G3)は蛯名正義! サンデーレーシング脅かす「名物オーナー」が重賞の先に見据えるのは……
有馬記念(G1)の風物詩が消えた!? 「持っていない」蛯名正義がもう見られない…… 伝説の公開枠順抽選3連敗
JRA武豊「これからもよろしくお願いします」調教師・蛯名正義へ“同期らしい”メッセージ。悲願・日本ダービー(G1)でコンビ結成の可能性は……