
有馬記念、武豊と大観衆を打ち砕いたルメールの神騎乗 ~ハーツクライとディープインパクトの記憶~

その年はまさにディープインパクト旋風が巻き起こっていた。無敗でクラシック三冠を制し、鞍上には競馬界を代表するトップジョッキーの武豊。ファン投票1位で出走する第50回有馬記念も断然の人気が集まり、16万人を超える競馬ファンが「ディープインパクトによる無敗の有馬記念制覇」を見届けるために競馬場へ駆けつけたといっても過言ではなかった。しかしその期待は悲鳴と共にかき消された、ルメールが駆るハーツクライによって。
ハーツクライはディープインパクトと同じサンデーサイレンス産駒で、東京優駿(日本ダービー)2着など一世代前のクラシック戦線で活躍。前走のジャパンカップ(G1)は後方から追い込むも2着に惜敗、この第50回有馬記念はファン投票6位での出走となっていた。
これまで”豪脚”と評するに十分な追い込みを得意としていた同馬だが、勝ちきれないレースが多かったのも事実。多くの競馬ファン、そしてマスコミもいつも通りディープインパクトよりも後から追い込む戦法を取るだろうと考え、評価も単勝17.1倍の4番人気に甘んじていた。
この有馬記念にはディープインパクト、ハーツクライ以外にも、ゼンノロブロイ、デルタブルース、タップダンスシチー、スズカマンボ、コスモバルクといった実力馬が揃い、誰もがタップダンスシチーが逃げ、ハーツクライは追い込む展開を思い描いていた。しかしレースが始まりゲートが開いた瞬間、競馬場はどよめきに包まれた。
「ハーツクライが先行しているぞ」
「ルメールは何やってんだ、暴走か」
今まで追い込むことでそれなりの結果を見せていたハーツクライがまさかの先行する展開。これには観客だけでなく、実際にレースに乗っていた他15名の騎手、もちろん武豊騎手も意外な展開だったに違いない。
しかしハーツクライとルメール騎手は周囲に惑わされることなく折り合い、淡々としたペースで飛ばしていく。残り1000mを通過した時点で他の騎手は仕掛けることなく、ハーツクライは余力を残して直線へ向く。
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