【徹底考察】皐月賞(G1)アドマイヤダイオウ&ナムラシングン 「8馬身差圧巻の若葉Sの評価は……」
「考察」
人もまばらな昼下がりの阪神競馬場が、どよめきに包まれた。
「なんだ、これ……?」ちょうど20年前、同じような時期の土曜日の阪神で行われたマヤノトップガンVSナリタブライアンの”伝説の阪神大賞典”を彷彿とさせるような、ぶっちぎりの一騎打ち。
演じたのは、アドマイヤダイオウとナムラシングンの2頭だった。
若葉Sは皐月賞トライアルとして、弥生賞(G2)やスプリングS(G2)の陰に隠れて地味な存在だ。だが、歴代の連対馬を振り返るとペルーサ、ヒルノダムール、ハーツクライなどの名馬が並び、ウインフルブルームやワールドエース、トライアンフマーチやヴィクトリーなど皐月賞(G1)で馬券になった馬も数多くいる。
レースは稍重の中で行われ、ピースマインドが引っ張る前半の1000mは61.8秒。1番人気アドマイヤダイオウは最初中団後ろだったものの、早々に先頭を見る形の2番手に付け、後方にいた2番人気ナムラシングンも早め進出で直線入り口では先頭に並びかけている。
ただ、これは2頭が緩い流れを嫌って早めに動いたというよりは、1着と2着に与えられる皐月賞への優先出走権を”より確実に”得るため、やや強引に積極的に動いたと思われる。
その証拠に、早めに抜け出したアドマイヤダイオウに、ナムラシングンが競り掛けてからは後続が付いていけなくなり、ズルズルと差が開く一方。最終的に8馬身もの差がついたが、これは緩いだけの流れでは生まれない着差だ。1、2番人気が早めに動くという非常に厳しい流れになったため、力関係が顕著に表れる結果となったのだろう。
この2頭、実力はほぼ互角だったが、もともと評価の低い馬ではない。
勝ったアドマイヤダイオウは、これで4戦3勝。唯一の敗戦はデビュー戦で後の2歳王者リオンディーズと当たってしまったためだ。
その後は、未勝利で後に500万下を楽勝するヴァンキッシュランや、フラワーC(G3)で4着するギモーヴなどを寄せ付けず、続く梅花賞(500万下)では後のスプリングSの5着馬ミッキーロケットに2馬身以上の差をつけて完勝している。
ナムラシングンにしても未勝利を勝って挑んだ500万下で、皐月賞「三強」の一角サトノダイヤモンドにこそ敗れたものの、後のスプリングSの2着馬マイネルハニーには先着し、つばき賞(500万下)では先述したミッキーロケットを完封と、決して弱い馬ではない。
今年の3歳牡馬クラシックが、とにかく「ハイレベル」と言われているのは、こういった実力馬たちが順当に勝ち上がってくるからだろう。はっきり言って2頭とも皐月賞に出るべくして出てきた実力馬である。
その上で、この2頭の共通点は、ここまでくる過程で皐月賞の「三強」に完敗を喫した経験があることだ。
ただ、言い換えれば下級条件でのたった一度の敗戦。無論、相手が強いことに間違いはないだろうが、この頂上決戦でリベンジを果たす一幕があるかもしれない。
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