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JRA ナリタタイシン、ウイニングチケット、ビワハヤヒデ「BNW」は何故ファンに愛されたのか。天皇賞・春(G1)27年前の阪神開催は「3強対決」の最終章

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「BNW」のライバル・ナリタタイシンが皐月賞を、ウイニングチケットが日本ダービーを勝った以上、ビワハヤヒデにとって菊花賞は残された最後のチャンスだったからだ。

 そこで陣営はビワハヤヒデをあえて夏の放牧に出さず、徹底的に鍛え直すことを決意した。目指すは「坂路の申し子」と言われた前年の春二冠馬のミホノブルボンだ。陣営はこの年の5月に亡くなった戸山為夫調教師に倣い、本馬を“サイボーグ”化。その結果、ビワハヤヒデは春とは見違えるほどに成長した。

 そんな陣営の尽力もあって、菊花賞で1番人気に支持されたのは本格化を遂げたビワハヤヒデだった。続く2番人気にはダービー馬のウイニングチケット。3番人気ナリタタイシンは、運動誘発性肺出血(EIPH)を発症するなどの影響で明らかに本調子ではなかった。

 結果はビワハヤヒデの独壇場だった。最後の直線入り口を先頭で迎えたビワハヤヒデは、そのまま後続を大きく突き放し、5馬身でゴール。ライスシャワーのレコードを更新するなど、圧倒的なステイヤーの資質を見せつけた。距離が長かったウイニングチケットは3着、体調不良のナリタタイシンは17着に大敗した。

 そして翌年、「BNW」がワンツーした最後のG1が、27年前に阪神で行われた天皇賞・春だった。

 ウイニングチケットが休養中だったこともあり、前走の京都記念(G2)を7馬身差で圧勝したビワハヤヒデが1.3倍の1番人気。一方でナリタタイシンも58.5kgを背負いながらも目黒記念(G2)を勝利しており、復調は明らかだった。

 さらに前年の有馬記念でビワハヤヒデを負かしたトウカイテイオー、前年の覇者ライスシャワーらが不在ということもあって、レースは「BNW」の2頭の一騎打ちといったムードだった。

「兄貴も強い、兄貴も強い!」

 という杉本清アナの名実況は2週前の皐月賞を勝ち、三冠確実と見られていた弟ナリタブライアンを意識してのものだろう。好位から力強く抜け出したビワハヤヒデは、競走馬としてまさに完成期を迎えており、向かうところ敵なしといった状況。一方のナリタタイシンもビワハヤヒデを超える末脚で追い上げたものの、2着までが精一杯という内容だった。

 クラシックレースが終わった後にそれぞれの王者を「3強」と呼ぶのは簡単だが、皐月賞時点の“3強”がクラシック終幕まで続いた例は、そう多くない。

 ビワハヤヒデこそ古馬の頂点に立ったが、古馬G1勝ちのないナリタタイシンやウイニングチケットら「BNW」が今なお多くのファンから愛されているのは、まさに3頭がクラシックを通じてファンの期待に応え続けた結果だろう。

 今年のクラシックは、桜花賞も皐月賞も無敗の王者が生まれた。果たして1強時代が続くのか、それとも新たな3強時代が幕を開けるのか。3歳馬による熾烈な争いは、まだ始まったばかりだ。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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